実らない角膜提供の意思 遺族、知らずに葬儀
読売新聞(ヨミドクター) 9月21日(水)14時37分配信

 死後に角膜を提供する意思を持ち、アイバンクに登録しながら、移植手術に結びつかなかった富山県内の登録者が、今年1~8月で61人に上ることがわかった。

 提供する意思を遺族が知らず、移植手術を仲介する公益財団法人「県アイバンク」(富山市杉谷)に連絡がなかったためだ。県内では8月末現在、19人が移植手術を待ち望んでおり、同法人は、登録者や家族に献眼の意思確認を始めた。

 20日の県議会予算特別委員会で県が明らかにした。県医務課などによると、アイバンクへの登録者数は、同法人が設立された1991年12月以降で累計1万9408人。本人や家族から取り消しや死亡の連絡がない限り削除ができないため、現在も生存し、献眼可能な実数は1万4000人程度という。今年8月末現在で255人が献眼し、396人が移植出術を受けた。

 正確な登録者数を把握しようと同法人が今年1月、新聞のお悔やみ欄と登録者を突き合わせたところ、すでに61人が死亡していた。登録者が死亡後に移植手術を行うには、遺族か主治医が同法人に連絡する必要があるが、遺族が登録していたことを知らず、葬儀が行われてしまうケースが多いという。

 同法人は今年8月、登録者1万9408人から任意に3900人を選び、調査を始めた。献眼の意思を本人や家族に確認することで、死亡後に移植手術につなげる狙いだ。

 同法人のコーディネーターの入江真理さん(49)は、「移植手術を受けることで早期に社会復帰ができる人がいる。移植したことで、どこかで生きていると感じる遺族もいる。家族でもう一度、献眼について話し合ってもらいたい」としている。


■アイバンク 死後に眼球を提供してもらう人を、角膜の移植患者に仲介する公的機関で、本部は財団法人「日本アイバンク協会」(東京)。登録には年齢制限はなく、誰でも可能。ただ、感染症がある場合など移植できないケースもある。

最終更新:9月21日(水)14時37分

折角意思表示してもそれが実らないというのも…。

暗黒の稲妻