スマートフォンへの道を歩むWindows 8
+D PC USER 9月19日(月)13時16分配信

Windows 8に追加されたMetroスタイルのスタートスクリーン
BUILD:
Windows 8にはスマートフォンからの影響が強く見られるが、その先に何があるのか? Windows Phoneとの関係も含め、本田雅一氏が今後のWindowsを占う(最後に“To Go”の情報も)。
【BUILD:スマートフォンへの道を歩むWindows 8】
MicrosoftはWindowsの領域を、いずれはスマートフォン向けにまで広げようと考えているのか。
米カリフォルニア州アナハイムで開催されている、Microsoftのソフトウェア開発者向け会議「BUILD」では、スマートフォン用OSに求められる要素がWindowsへと取り込まれていることが明らかになった。タブレット型のWindows端末をよりよいものにするための対策だが、その徹底ぶりはさらにその先を見据えてのことなのかもしれない。
●スマートフォン的な機能を取り込むWindows 8
Windows 8で導入されるMetroスタイルアプリケーションは「キーボードやマウスでの操作にも100%対応している」とMicrosoftが強調しているものの、スマートフォンやタブレットのタッチユーザーインタフェースを強く意識していることは明らかだ。
しかし、意識しているのはユーザーインタフェースだけではない。Windowsの動作やハードウェアを含む製品開発の手法にも、スマートフォン的なアプローチを取り入れている。
そのうちの1つとして、アプリケーションの状態に「サスペンド」モードが追加されたというのは既報の通りだ。Metroスタイルアプリケーションがサスペンドに入ると、メインプログラムは活動を停止し、電力を消費しなくなる。アプリケーションを終了することなく、“省電力制御の面では終了した場合と同じ状態になる”わけだ。
しかし、アプリケーションがサスペンドしてしまうと、新しいメールや情報の通知を受けることができなくなる。例えば、スタートスクリーンのタイル上に表示している情報(これらはLive Tileと言われるもので、ネット上の情報をリアルタイムに反映して表示する)も、サスペンドすればライブ性を失うことになる。
3Gなど携帯電話網への接続機能を持つタブレット型端末を作っても、サスペンド中はネットワークからの情報が遮断されるのは当たり前……と考えがちだが、携帯電話やスマートフォンは違う。SMSやメール、そして音声通話の着信など、常に電源オンのまま通知を受けることが可能だ。
そこでWindows 8には、省電力モード中(サスペンド中)にも、ネットワークからの通知を受けることができるよう改良が加えられている。それどころか、PC本体がスタンバイモードに入っていたとしても通知を得ることができる。それがConnected Standby(コネクテッドスタンバイ)だ。
●通知を受ける条件をネットワークインタフェースに登録
コネクテッドスタンバイとは、その名の通り、ネットワークに接続したままでWindowsハードウェアをスタンバイ状態する機能だ。そのためにはネットワークインタフェースの協力が必要になるため、コネクテッドスタンバイに対応するPCは対応ネットワークインタフェースを内蔵しなければならない。
例えば、SMSなどの通知を即時受け取りたいといった場合、Metroスタイルアプリケーションは、Windows 8システムに対象となるサービスのサーバIPアドレスとメール受信通知を知るためのパケット受信パターンを登録する。するとWindows 8はそのパターンを、ネットワークインタフェースへと知らせる。
PCがスタンバイモードに入ると、ネットワークインタフェースはネットワークへの接続を保ちながら省電力動作し、定期的にアクセスパターンがマッチするかを監視し続ける。PC本体のプログラムは動作しないため、そもそも通知を受けるためにPCがスタンバイから復帰する必要はない。
そして登録された通知パターンに合致した場合に、はじめてWindowsが登録対象のアプリケーションを呼び出して処理を決定。必要な処理を行った後は、速やかにスタンバイへと戻る。これで、ネットワークサービス側から省電力モード中のPCに対して、通知を“プッシュ”可能にした上で、省電力性も確保した。
この機能は3Gに対してだけでなく、無線LANや有線LANでも利用できる。例えば無線LANに接続し続けながら、省電力モードに入るといった場合も想定している。
しかし通常、LANの中にはブロードキャストパケットが流れ続けており、ネットワークに接続された機器はブロードキャストパケットの内容をいちいち検査しなければ、コネクテッドスタンバイ中に必要な応答ができない。応答をしなければ、そもそも“コネクテッドじゃない”となるため、ブロードキャストパケットを監視しなければならないが、そのための電力消費はバカにできない。
そこで、ネットワークインタフェース側にブロードキャストパケットのフィルタ機能を設け、コネクテッドスタンバイ中に拾わなければならないパケットは、それを扱うアプリケーション側がWindowsに登録する、という方法を用いる。
●“OSのみの提供”にとどまらなくなるタブレット向けWindows 8のライセンス
コネクテッドスタンバイ時の省電力化に関しては、さらに細かくスマートフォンと同様の手法による省電力テクニックが使われている。例えば通知を受けるため、定期的にネットワークインタフェースが起きることになるが、このとき無線通信後、通知がないと分かった段階で即座に無線通信を一時遮断する、などの工夫をしている。
これらで重要なことは、ハードウェアとソフトウェアを綿密にすり合わせることだ。従来のWindowsは、どんなハードウェアでも動作するよう、汎用性を重視して開発してきた。OPK(OEM Pre-installation Kit)と呼ばれるツールを用い、PCメーカーはWindowsを自社PC向けに簡単にカスタマイズし、プリインストール版のインストールイメージを自分たちだけの手で作成できる。
しかし、汎用性が高い半面、チューニングのレベルを一定以上にすることは困難だ。そこでMicrosoftは、タブレット型のWindows 8のみ、ノート型やデスクトップ型とは異なるライセンス形態を採る。これは粗製乱造を防ぐためにメーカーを絞り込むというのではなく、薄型・軽量でなおかつ省電力なコネクテッドスタンバイ対応のタブレット型Windowsを実現するには、Microsoft、システムチップベンダー、PCベンダーが協力しなければならず、必然的にコミュニケーションできる範囲は決まってくるためだ。
Windows 8対応タブレット向けにシステムチップを提供するとみられるのは、Intel、AMD、TI、NVIDIA、Qualcommの5社。それぞれのシステムチップベンダーには、共同開発できるメーカー数に限りがあるため、最大で10社程度しかWindows 8対応タブレットを作るメーカーはないはずだ。AMDを使って開発しようとしているメーカー名は現時点では聞こえてこないため、8社程度に限られると推察される。
基調講演ではOSの起動が8秒で終わる、といったデモが行われたが、こうした高速起動が行えるのも、タイトなハードウェアとソフトウェアの統合があるからだ。
このような開発方法は、Android採用携帯電話など、汎用OSと組み込みOSの両側面を持つシステムで採用されている。Microsoftは、いよいよWinodwsを携帯電話へと進出させようとしているのだろうか。
●Windows Phone “8”とWindows 8
ご存じのようにMicrosoftはスマートフォン向けにWindows Phone 7.5をプロモート中だ。Windows Phoneは現行版の後に、小改良を加えた“Tango”といわれるバージョンを出荷後、メジャーアップデートとなる“Apollo”を用意している。
Microsoft内部でも、Windows Phoneに関する詳しい予定について正確に把握している人間は少ないとのことだが、ApolloがWindows Phone 8と呼ばれることは間違いないようだ。
Apolloは現在のWinodws Phoneにない、企業向けにリモート管理や業務で必要なアプリケーションを配布する機能などを備え、実行アプリケーションの面でWindows 8とのマッチングが取られるという。
現在のWindows Phoneは、アプリケーションをSilverlightで作ることになっている。一方、Windows 8のMetroスタイルアプリケーションは、開発コードをほぼ共有できるとはいえ別の枠組みだ。おそらく、ApolloではMetroスタイルアプリケーションの実行をWindows Phoneの中でサポートするようになるだろう。
さて、ここで少し話の方向を変えてみたい。
一部にはWindows Phone 8はWindows 8をベースに作られるといううわさがある。しかし、Apolloが登場する2012年、Windows 8そのものと同時期にリリースするとは考えにくい。まずはWindows 8とWindows Phoneの間にある開発モデルの整合性をApolloの世代で取り、その後にカーネルを含めた両プラットフォームの統合へ向けての開発が進むといったプロセスを踏むことになるだろう。まずは枠組みを整えることから始めるはずだ。
なぜなら、Windows 8の段階では互換性なども重視する必要があるため、OSの核となる部分(いわゆるカーネル)やサブシステムに大きな変更を加えづらいためだ。Microsoftが示した図を見ると、カーネルサービスの上に従来システムと新しいWinRTが横並びに併存することになっているが、実際には従来のAPIの上に、Metroスタイルのアプリケーションを動かすためのランタイムが載っている形だ。
Windows PhoneをWindows 8ベースにするのであれば、少なくともデスクトップアプリケーション用の各種APIを整理し、システム全体をスリム化しなければ、目的を達成できなくなる。現状、WinRTがカーネルの上に直接載っていないということは、まだ両プラットフォームのアーキテクチャ統一は先(あるいはやるつもりがない)と考えるべきだと思う。
Windows 8が、スマートフォンを発信源とするトレンドを捕まえるため、そのシステムを大きく様変わりさせようとしていることは間違いないが、果たしてスマートフォンにまでWindowsの世界を広げようとしているかどうか。おそらく、この世代での統合はないと思うが、まだ断言できるほどの情報はない。
しかし、長期的な視野に立つならば話は変わってくる。“Metroスタイルアプリケーション”の実行環境は、間違いなくWindows Phoneにも入っていくだろう。またWindows PhoneとWindowsの境目も、従来以上にあいまいになっていくに違いない。
そうしたとき(おそらく2~3年後になるだろう)、両OSのアーキテクチャの違いをことさらに意識する必要はなくなっているはずだ。
●追伸――Windowsの実行環境をUSBメモリで持ち出せる“Windows To Go”
BUILDでは、「Windows To Go」という機能に関するセッションが開かれたが、参加希望者多数で締め切られてしまった。この機能はWindowsの実行環境をUSBメモリに保存し、USBメモリから起動して利用する機能だ。
参加者にはWindows 8をTo Goで使うために最低限必要な32GバイトのUSB 3.0対応メモリが配布されていた。このUSBメモリを用いると、簡単に出先のPCでも自分だけのWindows 8を起動できる。To GoのためのUSBメモリ作成は、バックアップ機能のイメージバックアップから行えるという(筆者はすでに評価PCを返却したため、帰国まで試すことができない)。
わざわざテストマシンを1台作らなくとも、いつでも好きなPCでWindows 8を起動できるのはなかなか便利。UBSメモリが抜けてしまった場合にもシステムがハングアップしないよう、USBメモリを抜いて1分間はそのままの状態を保持、再び挿入すると続きから動作する。1分以上経過すると、コンピュータは自動的にシャットダウンされる。
ユーザーデータはUSBメモリに保存されるので、使っているコンピュータには何のデータも、履歴も残らない。ネットカフェのPCなど、あらゆるPCを使って、いつでも自分の環境を開けるのだから、なかなか便利そうだ。
このTo Go用メモリにはマシンごとに固有の情報が保管されるので、動かすPCのハードウェア構成が変化しても、いちいちドライバの組み直しが行われることなどはない。開発者向けプレビュー版を試している方は、To Go用のUSBメモリ作成に挑戦してみてはいかがだろうか。
【本田雅一,ITmedia】
最終更新:9月19日(月)13時16分
Meでコケて、XPで復活。
Vistaはダメダメで、7で完成。
この順序でいくと、次の8はコケ・・そうな気がするんだが。
暗黒の稲妻
+D PC USER 9月19日(月)13時16分配信

Windows 8に追加されたMetroスタイルのスタートスクリーン
BUILD:
Windows 8にはスマートフォンからの影響が強く見られるが、その先に何があるのか? Windows Phoneとの関係も含め、本田雅一氏が今後のWindowsを占う(最後に“To Go”の情報も)。
【BUILD:スマートフォンへの道を歩むWindows 8】
MicrosoftはWindowsの領域を、いずれはスマートフォン向けにまで広げようと考えているのか。
米カリフォルニア州アナハイムで開催されている、Microsoftのソフトウェア開発者向け会議「BUILD」では、スマートフォン用OSに求められる要素がWindowsへと取り込まれていることが明らかになった。タブレット型のWindows端末をよりよいものにするための対策だが、その徹底ぶりはさらにその先を見据えてのことなのかもしれない。
●スマートフォン的な機能を取り込むWindows 8
Windows 8で導入されるMetroスタイルアプリケーションは「キーボードやマウスでの操作にも100%対応している」とMicrosoftが強調しているものの、スマートフォンやタブレットのタッチユーザーインタフェースを強く意識していることは明らかだ。
しかし、意識しているのはユーザーインタフェースだけではない。Windowsの動作やハードウェアを含む製品開発の手法にも、スマートフォン的なアプローチを取り入れている。
そのうちの1つとして、アプリケーションの状態に「サスペンド」モードが追加されたというのは既報の通りだ。Metroスタイルアプリケーションがサスペンドに入ると、メインプログラムは活動を停止し、電力を消費しなくなる。アプリケーションを終了することなく、“省電力制御の面では終了した場合と同じ状態になる”わけだ。
しかし、アプリケーションがサスペンドしてしまうと、新しいメールや情報の通知を受けることができなくなる。例えば、スタートスクリーンのタイル上に表示している情報(これらはLive Tileと言われるもので、ネット上の情報をリアルタイムに反映して表示する)も、サスペンドすればライブ性を失うことになる。
3Gなど携帯電話網への接続機能を持つタブレット型端末を作っても、サスペンド中はネットワークからの情報が遮断されるのは当たり前……と考えがちだが、携帯電話やスマートフォンは違う。SMSやメール、そして音声通話の着信など、常に電源オンのまま通知を受けることが可能だ。
そこでWindows 8には、省電力モード中(サスペンド中)にも、ネットワークからの通知を受けることができるよう改良が加えられている。それどころか、PC本体がスタンバイモードに入っていたとしても通知を得ることができる。それがConnected Standby(コネクテッドスタンバイ)だ。
●通知を受ける条件をネットワークインタフェースに登録
コネクテッドスタンバイとは、その名の通り、ネットワークに接続したままでWindowsハードウェアをスタンバイ状態する機能だ。そのためにはネットワークインタフェースの協力が必要になるため、コネクテッドスタンバイに対応するPCは対応ネットワークインタフェースを内蔵しなければならない。
例えば、SMSなどの通知を即時受け取りたいといった場合、Metroスタイルアプリケーションは、Windows 8システムに対象となるサービスのサーバIPアドレスとメール受信通知を知るためのパケット受信パターンを登録する。するとWindows 8はそのパターンを、ネットワークインタフェースへと知らせる。
PCがスタンバイモードに入ると、ネットワークインタフェースはネットワークへの接続を保ちながら省電力動作し、定期的にアクセスパターンがマッチするかを監視し続ける。PC本体のプログラムは動作しないため、そもそも通知を受けるためにPCがスタンバイから復帰する必要はない。
そして登録された通知パターンに合致した場合に、はじめてWindowsが登録対象のアプリケーションを呼び出して処理を決定。必要な処理を行った後は、速やかにスタンバイへと戻る。これで、ネットワークサービス側から省電力モード中のPCに対して、通知を“プッシュ”可能にした上で、省電力性も確保した。
この機能は3Gに対してだけでなく、無線LANや有線LANでも利用できる。例えば無線LANに接続し続けながら、省電力モードに入るといった場合も想定している。
しかし通常、LANの中にはブロードキャストパケットが流れ続けており、ネットワークに接続された機器はブロードキャストパケットの内容をいちいち検査しなければ、コネクテッドスタンバイ中に必要な応答ができない。応答をしなければ、そもそも“コネクテッドじゃない”となるため、ブロードキャストパケットを監視しなければならないが、そのための電力消費はバカにできない。
そこで、ネットワークインタフェース側にブロードキャストパケットのフィルタ機能を設け、コネクテッドスタンバイ中に拾わなければならないパケットは、それを扱うアプリケーション側がWindowsに登録する、という方法を用いる。
●“OSのみの提供”にとどまらなくなるタブレット向けWindows 8のライセンス
コネクテッドスタンバイ時の省電力化に関しては、さらに細かくスマートフォンと同様の手法による省電力テクニックが使われている。例えば通知を受けるため、定期的にネットワークインタフェースが起きることになるが、このとき無線通信後、通知がないと分かった段階で即座に無線通信を一時遮断する、などの工夫をしている。
これらで重要なことは、ハードウェアとソフトウェアを綿密にすり合わせることだ。従来のWindowsは、どんなハードウェアでも動作するよう、汎用性を重視して開発してきた。OPK(OEM Pre-installation Kit)と呼ばれるツールを用い、PCメーカーはWindowsを自社PC向けに簡単にカスタマイズし、プリインストール版のインストールイメージを自分たちだけの手で作成できる。
しかし、汎用性が高い半面、チューニングのレベルを一定以上にすることは困難だ。そこでMicrosoftは、タブレット型のWindows 8のみ、ノート型やデスクトップ型とは異なるライセンス形態を採る。これは粗製乱造を防ぐためにメーカーを絞り込むというのではなく、薄型・軽量でなおかつ省電力なコネクテッドスタンバイ対応のタブレット型Windowsを実現するには、Microsoft、システムチップベンダー、PCベンダーが協力しなければならず、必然的にコミュニケーションできる範囲は決まってくるためだ。
Windows 8対応タブレット向けにシステムチップを提供するとみられるのは、Intel、AMD、TI、NVIDIA、Qualcommの5社。それぞれのシステムチップベンダーには、共同開発できるメーカー数に限りがあるため、最大で10社程度しかWindows 8対応タブレットを作るメーカーはないはずだ。AMDを使って開発しようとしているメーカー名は現時点では聞こえてこないため、8社程度に限られると推察される。
基調講演ではOSの起動が8秒で終わる、といったデモが行われたが、こうした高速起動が行えるのも、タイトなハードウェアとソフトウェアの統合があるからだ。
このような開発方法は、Android採用携帯電話など、汎用OSと組み込みOSの両側面を持つシステムで採用されている。Microsoftは、いよいよWinodwsを携帯電話へと進出させようとしているのだろうか。
●Windows Phone “8”とWindows 8
ご存じのようにMicrosoftはスマートフォン向けにWindows Phone 7.5をプロモート中だ。Windows Phoneは現行版の後に、小改良を加えた“Tango”といわれるバージョンを出荷後、メジャーアップデートとなる“Apollo”を用意している。
Microsoft内部でも、Windows Phoneに関する詳しい予定について正確に把握している人間は少ないとのことだが、ApolloがWindows Phone 8と呼ばれることは間違いないようだ。
Apolloは現在のWinodws Phoneにない、企業向けにリモート管理や業務で必要なアプリケーションを配布する機能などを備え、実行アプリケーションの面でWindows 8とのマッチングが取られるという。
現在のWindows Phoneは、アプリケーションをSilverlightで作ることになっている。一方、Windows 8のMetroスタイルアプリケーションは、開発コードをほぼ共有できるとはいえ別の枠組みだ。おそらく、ApolloではMetroスタイルアプリケーションの実行をWindows Phoneの中でサポートするようになるだろう。
さて、ここで少し話の方向を変えてみたい。
一部にはWindows Phone 8はWindows 8をベースに作られるといううわさがある。しかし、Apolloが登場する2012年、Windows 8そのものと同時期にリリースするとは考えにくい。まずはWindows 8とWindows Phoneの間にある開発モデルの整合性をApolloの世代で取り、その後にカーネルを含めた両プラットフォームの統合へ向けての開発が進むといったプロセスを踏むことになるだろう。まずは枠組みを整えることから始めるはずだ。
なぜなら、Windows 8の段階では互換性なども重視する必要があるため、OSの核となる部分(いわゆるカーネル)やサブシステムに大きな変更を加えづらいためだ。Microsoftが示した図を見ると、カーネルサービスの上に従来システムと新しいWinRTが横並びに併存することになっているが、実際には従来のAPIの上に、Metroスタイルのアプリケーションを動かすためのランタイムが載っている形だ。
Windows PhoneをWindows 8ベースにするのであれば、少なくともデスクトップアプリケーション用の各種APIを整理し、システム全体をスリム化しなければ、目的を達成できなくなる。現状、WinRTがカーネルの上に直接載っていないということは、まだ両プラットフォームのアーキテクチャ統一は先(あるいはやるつもりがない)と考えるべきだと思う。
Windows 8が、スマートフォンを発信源とするトレンドを捕まえるため、そのシステムを大きく様変わりさせようとしていることは間違いないが、果たしてスマートフォンにまでWindowsの世界を広げようとしているかどうか。おそらく、この世代での統合はないと思うが、まだ断言できるほどの情報はない。
しかし、長期的な視野に立つならば話は変わってくる。“Metroスタイルアプリケーション”の実行環境は、間違いなくWindows Phoneにも入っていくだろう。またWindows PhoneとWindowsの境目も、従来以上にあいまいになっていくに違いない。
そうしたとき(おそらく2~3年後になるだろう)、両OSのアーキテクチャの違いをことさらに意識する必要はなくなっているはずだ。
●追伸――Windowsの実行環境をUSBメモリで持ち出せる“Windows To Go”
BUILDでは、「Windows To Go」という機能に関するセッションが開かれたが、参加希望者多数で締め切られてしまった。この機能はWindowsの実行環境をUSBメモリに保存し、USBメモリから起動して利用する機能だ。
参加者にはWindows 8をTo Goで使うために最低限必要な32GバイトのUSB 3.0対応メモリが配布されていた。このUSBメモリを用いると、簡単に出先のPCでも自分だけのWindows 8を起動できる。To GoのためのUSBメモリ作成は、バックアップ機能のイメージバックアップから行えるという(筆者はすでに評価PCを返却したため、帰国まで試すことができない)。
わざわざテストマシンを1台作らなくとも、いつでも好きなPCでWindows 8を起動できるのはなかなか便利。UBSメモリが抜けてしまった場合にもシステムがハングアップしないよう、USBメモリを抜いて1分間はそのままの状態を保持、再び挿入すると続きから動作する。1分以上経過すると、コンピュータは自動的にシャットダウンされる。
ユーザーデータはUSBメモリに保存されるので、使っているコンピュータには何のデータも、履歴も残らない。ネットカフェのPCなど、あらゆるPCを使って、いつでも自分の環境を開けるのだから、なかなか便利そうだ。
このTo Go用メモリにはマシンごとに固有の情報が保管されるので、動かすPCのハードウェア構成が変化しても、いちいちドライバの組み直しが行われることなどはない。開発者向けプレビュー版を試している方は、To Go用のUSBメモリ作成に挑戦してみてはいかがだろうか。
【本田雅一,ITmedia】
最終更新:9月19日(月)13時16分
Meでコケて、XPで復活。
Vistaはダメダメで、7で完成。
この順序でいくと、次の8はコケ・・そうな気がするんだが。
暗黒の稲妻