<ユーロ圏財務相会合>ギリシャ追加支援で一致
毎日新聞 9月16日(金)22時48分配信
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ユーロ圏財務相会合に出席したガイトナー米財務長官=2011年9月16日、AP
【ロンドン会川晴之】欧州連合(EU)のユーロ圏17カ国の財務相は16日、ポーランドのブロツワフで、会合を開き、10月上旬までにギリシャへの追加支援を実施する方針で一致した。ギリシャのデフォルト(債務不履行)懸念が再燃、世界的な金融危機を警戒する声も高まる中、ギリシャ支援と危機拡大阻止に向けた政治的決意を示した形。だが、実行に必要な加盟各国の議会承認など、なおハードルが残されている。
同会合に初めて出席したガイトナー米財務長官は「リーマン・ショックの再発を防ぐため、米欧は緊密に連携する」と強調、「欧州諸国と欧州中央銀行(ECB)は危機に一致して当たるよう要請する」と述べた。
今回のユーロ圏財務相会合では、ギリシャが約束通り財政赤字を削減することを条件に、80億ユーロ(約8500億円)の融資を実施する方針で一致した。支援が固まれば年末までの資金繰りが確保されることになる。
ギリシャ経済は、緊縮財政の影響で景気後退が予想以上に進み、11年の成長率は、政府予想(3.5%マイナス)を上回る5%超のマイナスに落ち込む見通し。税収の急減で、デフォルト懸念が高まり、危機収束の出口が見えない状況が続いている。
◇厳しい見方根強く
16日開かれた欧州連合(EU)のユーロ圏財務相会合はギリシャへの追加支援で一致。米財務長官の異例の出席で、米欧が欧州債務危機を封じ込める姿勢を打ち出した。日米欧の主要中央銀行が15日夜、ドル資金を協調して金融機関に供給することを決めたこともあり、16日のアジアの株式市場は上昇が目立ち、市場の過度な不安はやや薄らいだ。ただ、「9月末の支援を10月に先延ばしした」(欧州系証券)との見方もあり、市場には「ギリシャ国債のデフォルト(債務不履行)懸念は何ら解消していない」との厳しい見方が根強い。
財務相会合では、レーン欧州委員(経済・通貨担当)がギリシャへの追加支援ですべての国に議会承認を加速するよう求めることで、ユーロ圏が一致団結して対応する姿勢を強調した。ただ、議会承認を受けたのはわずか5カ国で、10月までに残り12カ国が承認を受けられるのか不透明だ。またギリシャ側も税収が急激に落ち込む中、約束通り財政赤字を減らすことができるのかも見えない。さらに今回、仮にEUと国際通貨基金(IMF)から融資を受けられても、資金は3カ月分に過ぎない。「いずれかの段階で抜本策が取られなければさらに深刻な危機に見舞われかねない」との見方は根強い。
市場は、債務危機に端を発した金融危機も懸念する。金融機関同士が資金を融通しあうロンドン銀行間取引金利(LIBOR)のドル3カ月物金利は、ギリシャの債務危機が再燃した7月以降、じりじりと上昇。今週に入ってからは昨年8月以来、1年1カ月ぶりに0.35%を上回った。リーマン・ショック直後の4%台に比べれば大幅に低い。だが、「不安の底にはギリシャのデフォルト懸念」(野村証券金融経済研究所の木内登英経済調査部長)があり、ギリシャ国債などを多く保有する銀行への疑心暗鬼は強い。
特にフランスの銀行は、主要24カ国の対ギリシャ向け債権の約4割に当たる約569億ドルを保有、「一部はドル調達が困難な状態」(米大手証券)だ。また欧州の銀行はコマーシャルペーパー(CP)を、米投資信託などに購入してもらうことでドルの資金繰りをつけてきた。だが危機再燃で「米投信は資金を絞っている」(日銀関係者)。中央銀行によるドル資金供給は、こうした金融不安の封じ込めを狙ったものだ。
欧州中央銀行(ECB)も昨年5月からギリシャやイタリアなどの国債を1400億ユーロも買い支え、資金繰り支援をしてきた。だが、最近はシュタルク専務理事が任期前に辞任するなど足並みの乱れも目立つ。クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストは「協調姿勢とは裏腹に、(支援の担い手となる)ドイツでは国民の間に不満が蓄積している。ギリシャ支援に積極的な南欧各国と、意見の相違が先鋭化する可能性もある」と指摘する。【田畑悦郎、大久保渉、ロンドン会川晴之】
最終更新:9月17日(土)9時4分
玉石混合の国々が単一通貨で纏まろうというのが土台無理だったという事か。
ピGS諸国(ポルトガル、アイルランド、ギリシャ、スペイン)も独自の通貨を持っていれば自国通貨安で危機を乗り切れたはずだと思うが。
全盛期の壮大な実験が失敗したという事で、失敗は失敗と認め、ギリシアは破たんさせ、各国通貨に戻すべきかと。
今ならまだ傷口は浅い方が治りも早いのではないだろうか。
暗黒の稲妻
毎日新聞 9月16日(金)22時48分配信

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ユーロ圏財務相会合に出席したガイトナー米財務長官=2011年9月16日、AP
【ロンドン会川晴之】欧州連合(EU)のユーロ圏17カ国の財務相は16日、ポーランドのブロツワフで、会合を開き、10月上旬までにギリシャへの追加支援を実施する方針で一致した。ギリシャのデフォルト(債務不履行)懸念が再燃、世界的な金融危機を警戒する声も高まる中、ギリシャ支援と危機拡大阻止に向けた政治的決意を示した形。だが、実行に必要な加盟各国の議会承認など、なおハードルが残されている。
同会合に初めて出席したガイトナー米財務長官は「リーマン・ショックの再発を防ぐため、米欧は緊密に連携する」と強調、「欧州諸国と欧州中央銀行(ECB)は危機に一致して当たるよう要請する」と述べた。
今回のユーロ圏財務相会合では、ギリシャが約束通り財政赤字を削減することを条件に、80億ユーロ(約8500億円)の融資を実施する方針で一致した。支援が固まれば年末までの資金繰りが確保されることになる。
ギリシャ経済は、緊縮財政の影響で景気後退が予想以上に進み、11年の成長率は、政府予想(3.5%マイナス)を上回る5%超のマイナスに落ち込む見通し。税収の急減で、デフォルト懸念が高まり、危機収束の出口が見えない状況が続いている。
◇厳しい見方根強く
16日開かれた欧州連合(EU)のユーロ圏財務相会合はギリシャへの追加支援で一致。米財務長官の異例の出席で、米欧が欧州債務危機を封じ込める姿勢を打ち出した。日米欧の主要中央銀行が15日夜、ドル資金を協調して金融機関に供給することを決めたこともあり、16日のアジアの株式市場は上昇が目立ち、市場の過度な不安はやや薄らいだ。ただ、「9月末の支援を10月に先延ばしした」(欧州系証券)との見方もあり、市場には「ギリシャ国債のデフォルト(債務不履行)懸念は何ら解消していない」との厳しい見方が根強い。
財務相会合では、レーン欧州委員(経済・通貨担当)がギリシャへの追加支援ですべての国に議会承認を加速するよう求めることで、ユーロ圏が一致団結して対応する姿勢を強調した。ただ、議会承認を受けたのはわずか5カ国で、10月までに残り12カ国が承認を受けられるのか不透明だ。またギリシャ側も税収が急激に落ち込む中、約束通り財政赤字を減らすことができるのかも見えない。さらに今回、仮にEUと国際通貨基金(IMF)から融資を受けられても、資金は3カ月分に過ぎない。「いずれかの段階で抜本策が取られなければさらに深刻な危機に見舞われかねない」との見方は根強い。
市場は、債務危機に端を発した金融危機も懸念する。金融機関同士が資金を融通しあうロンドン銀行間取引金利(LIBOR)のドル3カ月物金利は、ギリシャの債務危機が再燃した7月以降、じりじりと上昇。今週に入ってからは昨年8月以来、1年1カ月ぶりに0.35%を上回った。リーマン・ショック直後の4%台に比べれば大幅に低い。だが、「不安の底にはギリシャのデフォルト懸念」(野村証券金融経済研究所の木内登英経済調査部長)があり、ギリシャ国債などを多く保有する銀行への疑心暗鬼は強い。
特にフランスの銀行は、主要24カ国の対ギリシャ向け債権の約4割に当たる約569億ドルを保有、「一部はドル調達が困難な状態」(米大手証券)だ。また欧州の銀行はコマーシャルペーパー(CP)を、米投資信託などに購入してもらうことでドルの資金繰りをつけてきた。だが危機再燃で「米投信は資金を絞っている」(日銀関係者)。中央銀行によるドル資金供給は、こうした金融不安の封じ込めを狙ったものだ。
欧州中央銀行(ECB)も昨年5月からギリシャやイタリアなどの国債を1400億ユーロも買い支え、資金繰り支援をしてきた。だが、最近はシュタルク専務理事が任期前に辞任するなど足並みの乱れも目立つ。クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストは「協調姿勢とは裏腹に、(支援の担い手となる)ドイツでは国民の間に不満が蓄積している。ギリシャ支援に積極的な南欧各国と、意見の相違が先鋭化する可能性もある」と指摘する。【田畑悦郎、大久保渉、ロンドン会川晴之】
最終更新:9月17日(土)9時4分
玉石混合の国々が単一通貨で纏まろうというのが土台無理だったという事か。
ピGS諸国(ポルトガル、アイルランド、ギリシャ、スペイン)も独自の通貨を持っていれば自国通貨安で危機を乗り切れたはずだと思うが。
全盛期の壮大な実験が失敗したという事で、失敗は失敗と認め、ギリシアは破たんさせ、各国通貨に戻すべきかと。
今ならまだ傷口は浅い方が治りも早いのではないだろうか。
暗黒の稲妻