<台風12号>106歳女性を救助 和歌山県新宮市で
毎日新聞 9月13日(火)9時38分配信


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消防署員らに助けられた木村カメノさん(中央)を囲む彰己さん夫妻=和歌山県新宮市熊野川町で2011年9月8日午前9時59分、石戸諭撮影
 台風12号による豪雨で地域の大半が浸水した和歌山県新宮市熊野川町の日足地区では、多くの人が消防署員らの誘導によって紙一重で助かった。市内最高齢の106歳の女性は署員のこぐボートで濁流を渡り、背に負われて難を逃れた。家族は「あと一歩遅かったら命はなかった」と感謝する。消防幹部は迅速な避難の背景を「東日本大震災の記憶と東南海・南海地震への危機感から、住民に心の備えがあった」と説明する。【石戸諭】

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 木村彰己さん(72)は妻(73)と寝たきりの母カメノさん(106)との3人暮らし。自宅は熊野川から約200メートル離れ、過去の台風では庭先までしか水につからなかった。しかし、「今回は今までとは水かさの増すスピードが違った」(彰己さん)。消防に助けを求めようと思ったが、電話が不通。困っていると、3日夕、消防署員と市職員が担架を携えてカメノさんを迎えに来てくれた。

 3人を含め住民約45人が3階建ての集会所に避難した。水かさは次第に増し、4日午前3時半過ぎには3階に迫った。市職員はボートで裏山に避難する方針を告げた。彰己さんは「母は足が悪い。一緒にいても迷惑になるだけ」と、とどまる考えを伝えたが、消防署員に「おぶって連れていくから」と説得された。署員が前後を固めたボートは住民を数人ずつ乗せ、3階から裏山まで約10メートルの濁流を十数回往復した。

 ボート上や署員に背負われた山道でカメノさんは「寒い、寒い」とつぶやき続けたが、高台の知人宅に着き、体を温めると、落ち着いたという。夜が明けて彰己さんが自宅を見ると、屋根近くまで水に沈んでいた。戻ると、室内は泥まみれで、カメノさんのベッドはひしゃげていた。

 ボートで避難した約45人は全員無事だった。新宮市消防署熊野川消防出張所の新家守司(しんや・もりし)所長は「東日本大震災の発生で東南海・南海地震への恐れが高まり、災害では想定外のことが起こり得るという意識が住民と共有できていた。乱れなく避難できたのはそのおかげだろう」と話している。

最終更新:9月13日(火)11時16分

何はともあれ無事助かってよかったですね。
長生きしてください。

暗黒の稲妻