グルジア紛争3年 2地域独立めぐり譲らぬ米露
産経新聞 8月8日(月)7時56分配信

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グルジア(写真:産経新聞)
 【モスクワ=遠藤良介】ロシアと旧ソ連の親欧米国、グルジアが交戦した「グルジア紛争」の勃発から8日で丸3年となる。双方は自らの行動を正当化する主張を崩しておらず、両国関係は膠着(こうちゃく)状態が続いている。紛争後のロシアがグルジアの親露独立派2地域を事実上の支配下に入れている状況には米国も非難を強めており、グルジア問題が「リセット」と称される米露関係の改善にも影を落とす。

 ロシアのメドベージェフ大統領は露メディアのインタビューで「紛争の全責任はグルジアのサーカシビリ大統領にある」とし、サーカシビリ氏との対話は拒否する考えを強調。ロシアが紛争後、グルジアの南オセチア自治州とアブハジア自治共和国の独立を一方的に承認したことも、両地域を防衛する上で「完全に正しかった」と述べた。

 ロシアはこの紛争で欧州連合(EU)との和平合意に署名し、部隊を戦闘前の位置まで撤退させることを約束した。しかし、その後は「独立承認」を盾に両地域に軍事基地を構え、EU停戦監視団の立ち入りも認めていない。

 米国上院は先月末、アブハジアと南オセチアを「ロシアに占領された地域」とし、ロシアが「グルジアの領土保全」を尊重して和平合意を履行するよう求める決議を採択した。

 メドベージェフ大統領は和平合意と2地域の独立承認を別問題とし、米上院決議には「根拠がない」と批判する。

 ロシア以外で両地域の独立を承認しているのはニカラグア、ベネズエラ、ナウルの3カ国にとどまる。

 両国関係の「リセット」をうたう米露は2月、新戦略兵器削減条約(新START)の発効にこぎ着けたものの、米ミサイル防衛(MD)計画をめぐっては対立が和らいでいない。

 ロシア内務省幹部らの大規模不正を告発したマグニツキー弁護士が2009年に獄死した事件をめぐり、米国が先月、事件に関係する役人ら約60人の入国拒否を決めたことについてもロシアは強く反発、対抗措置の準備に入った。

 グルジア紛争から3年の節目は、米露間のこうした暗雲をさらに濃くしている形だ。露科学アカデミーのカフカス地域専門家、アレシェフ氏は最近の公開討論会で「グルジア紛争をめぐって米露には譲れない一線があり、『リセット』には明確な限界があろう」との考えを語った。

 グルジアではサーカシビリ大統領が開戦責任を回避して政権を保持している。グルジアは、米国が総論で支持するロシアの世界貿易機関(WTO)加盟に反対しており、これも米露関係を複雑化させる要因になっている。

 【用語解説】グルジア紛争… 2008年8月8日未明、グルジアが親ロシア独立派地域の南オセチア自治州を再統一しようと攻撃を開始し、ロシアが「自国民保護」を掲げて報復。死者は約850人、難民は3万5千人にのぼった。欧州連合(EU)の調査委員会は09年、紛争がグルジア側の攻撃で始まったと断定する一方、ロシアが南オセチア住民にパスポート(市民権)を与えるなど武力衝突の素地を作ったとする報告書をまとめた。

最終更新:8月8日(月)17時13分

この問題まだまだ長い引きそうな気もするんだけど・・。

暗黒の稲妻