<追跡2011>どうなる!?名古屋テレビ塔 解体か保存・活用か
毎日新聞 8月7日(日)14時11分配信


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地上デジタル放送への完全移行によって役割を終えた名古屋テレビ塔。今後の活用策が議論されている=佐々木順一撮影
 ◇アナログ放送終了、役目終え 維持・改修に費用

 名古屋市のシンボル、名古屋テレビ塔。複数のテレビ電波を1カ所で放送する日本最初の電波塔で、市民に愛されてきた。しかし、7月24日のテレビアナログ放送終了で、一つの役割を終えた。半世紀前は多くの人が驚いた高さ90メートルの展望台も、林立する名古屋駅前などの超高層ビルに比べれば、観光名所として見劣りしてきたのも事実。維持・改修費用がかさむとして解体論さえささやかれるランドマークの現状を追った。【山田一晶、河出伸】

【瀬戸デジタルタワーの写真も】

 アナログ放送終了まで1カ月を切った6月30日の名古屋市議会。テレビ塔の存続に危機感を抱く議員が「記念写真からテレビ塔の姿が消えた名古屋の街を想像してほしい」と河村たかし市長に問いかけ、市が改修費などを支出することの是非をただした。市長は「存続させます」とは答弁したが、財政支援については「民間の人が買って、金もうけのシンボルになるぐらいのことをやっていかないかん」とけむに巻いた。

 運営会社の名古屋テレビ塔会社は今年3月、13年のリニューアルを目指す基本計画をまとめ、大株主の市にも提出した。

 アナログ放送終了で、テレビ局から得ていた年間約1億円のアンテナ設置料が消え、収益の3分の1を失うが、機材の撤去によって生まれる空きスペースと、増床工事によりテナント料の増収が可能としている。その増築、改修費用は約20億円だが、民間から調達できる見通しだ。

 問題は、耐震工事費などの15億円。テレビ塔は現在は鉄塔やアンテナと同じ「工作物」の扱いを受けているが、アナログ放送を終え、純粋な観光、集客施設になれば建築物扱い。建築基準法の対象となり、現行基準での耐震補強工事は欠かせない。同社は市に負担を求めているが、市観光推進室は「市の施設ではないので、改修費用を出す根拠づくりが難しい。公費支出には慎重な意見もあり、解体論が出てもおかしくない」として、回答を保留し、6月のテレビ塔会社役員会でも今夏から始まる予定だった基本計画実施の延期と内容の見直しを求めた。

 市は、今年度の市民調査などを通じ、テレビ塔のある久屋大通一帯の再開発を見据えた事業計画を作り、それから費用負担の是非を判断することになる。市観光推進室は「テレビ塔だけでも先行して再生支援できればいいのだが」としているが、視界は晴れない。

 ◇瀬戸デジタルタワーが開局

 これまでNHK名古屋放送局と在名民放5局のアナログ波を送信してきた名古屋テレビ塔に代わり、6局のデジタル波を東海地方の各世帯に流しているのが瀬戸デジタルタワー(瀬戸市幡中町)。名古屋テレビ塔にデジタル用アンテナを設置する余裕がなかったため、新たに建設された。03年12月に開局、運営も6局が行っている。入場はできないが、瀬戸市の施設「デジタルリサーチパークセンター」が隣接しており、地元特産の陶芸品などのデジタル情報を市役所や図書館に流したり、だれでも使える小さなテレビスタジオを備えている。

 ◇電波塔では全国7位

 開業済みの自立式電波塔でみると、世界一は、中国・広州テレビ観光塔(600メートル)。続いてカナダ・CNタワー(553メートル)、ロシア・オスタンキノ・タワー(537メートル)の順。12年開業予定の東京スカイツリー(東京都墨田区)は、すでに世界一の634メートルの高さに達している。

 国内では、東京タワー(333メートル)がトップで、瀬戸デジタルタワー(245メートル)が2位、名古屋テレビ塔は同7位。展望台のあるタワーとしては3位。なお、過去には、ワイヤで塔を支える方式の対馬オメガ局(長崎県対馬市、455メートル、00年解体)▽依佐美送信所(愛知県刈谷市、250メートル、97年解体)などの高い電波塔があった。

最終更新:8月7日(日)17時57分

名古屋のテレビ塔が完全デジタル放送に変わったことにより役目を終えたらしい。
まぁ解体するにもあんなでかいの・・(笑。

暗黒の稲妻