<シリア>「死者2000人超」 米国務長官、弾圧巡り見解
毎日新聞 8月5日(金)11時19分配信
 【ワシントン白戸圭一】クリントン米国務長官は4日、民主化要求運動に対するアサド政権の弾圧が続くシリア情勢について「(シリア)政府は、2000人以上の死について責任を負っている」と述べ、米政府として初めて一連の弾圧による犠牲者が2000人を超えるとの見解を示した。訪米中のカナダのベアード外相との国務省での共同記者会見で明らかにした。死者は反体制派によって1700人超と推計されていたが、これを上回る犠牲者が出ている可能性が高まった。

 国連安全保障理事会は3日、シリア政府に武力行使の即時停止を求める議長声明を採択したが、弾圧は中部の都市ハマなどで一層、激化している。国際社会はこれを阻止する実効性のある手立てを講じておらず、犠牲者はさらに増えそうだ。

 クリントン長官は記者会見で「アサド大統領はシリア国民を統治する正統性を失っている」と指摘。カーニー米大統領報道官も4日の会見で「アサド氏がいない方が、国は良くなる」と述べたが、アサド政権崩壊後のシリア情勢について具体的な展望を描けないオバマ政権は、アサド氏に対する明確な退陣要求を避け続けている。

 一方、米財務省は4日、アサド政権に近いシリアの有力財界人、ムハマド・ハムショ氏を新たに制裁対象に加えた。ハムショ氏が経営する企業の米国内の資産を凍結し、米国内での商取引を禁止するもので、アサド政権の「資金源」を断つ戦略を打ち出した。

 また、オバマ大統領は4日、世界各地の「大虐殺」や「戦争犯罪」を防ぐ枠組みを構築するために、省庁横断型の「残虐行為防止委員会」を設置する構想を発表した。大統領は声明で「米国は今なお、大規模な残虐行為に対応する包括的な政策の枠組みを有していない」と指摘した。

 構想は、アサド政権やリビアの最高指導者カダフィ大佐による反体制派弾圧を念頭に置く一方で、今後、中東地域の他の国で事態が展開することに備える意味合いもあるとみられる。だが、アサド政権に対する制裁も含め、進行中の弾圧を阻止する措置とはほど遠く、米政権の手詰まり感が強まっている。

最終更新:8月5日(金)12時10分

今後アメリカはどう出てくるのだろうかね。

暗黒の稲妻