<東日本大震災>「高台移転」に限定せず 復興基本方針案
毎日新聞 7月21日(木)2時34分配信


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津波で倒れた「津波浸水想定区域ここまで」の看板=宮城県気仙沼市本吉町で2011年3月12日、手塚耕一郎撮影
 政府は20日、東日本大震災の復興基本方針の骨子案をまとめた。復興構想会議が6月にまとめた提言を受け、津波災害から「逃げる」ことを前提とした「減災」の考え方をまちづくりの基本としたが、提言が重点を置いた「高台移転」の文字が消えた。平地から高台や内陸への集団移転を奨励するのではなく、津波の想定浸水区域を設定して避難路・避難場所を整備するなど、従来の市街地を復興させる選択肢も示したうえで市町村に判断を委ねる方向となった。

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 政府は全閣僚で構成する復興対策本部(本部長・菅直人首相)の会合を21日に開いて骨子案を示し、月内の基本方針決定を目指す。方針内容は9月に編成する11年度第3次補正予算案に反映させる。

 骨子案は「地域ごとの特性を踏まえ、ハード・ソフトの施策を組み合わせた『多重防御』を推進する」として、防波堤・防潮堤などの整備と避難態勢の構築による「逃げる」ためのまちづくりメニューを提示。そうした市街地の復興や集団移転を支援するため、土地利用手続きの一元化・迅速化などを図る「復興特区制度」を導入し、復興の主体となる市町村に対し「税・財政・金融上の支援を検討」することを明記した。

 高台移転を進めるに当たっては、被災した土地の買い上げを国に求める声が市町村側には強いが、国が事業費の一部を補助する「防災集団移転促進事業」の再検討が盛り込まれるにとどまった。構想会議の提言には復興財源として基幹税(所得税、法人税、消費税)中心の増税が盛り込まれたが、骨子案では復興期間や事業規模、財源確保策については「調整中」とされた。

 高台移転には新たな市街地・住宅地の大規模な造成が必要で、巨額の財政負担と長期の事業計画が求められる。復興の主体となる市町村側にも、支援する国側にもためらう雰囲気があり、松本龍前復興担当相が辞任に追い込まれた7月3日の宮城県庁訪問の際、「それぞれの地域の伝統や産業や文化が違う。どう復興していくか意見を聞くのが大事だから、高台移転とか気にしなくていい」と高台移転にこだわらない考えを示していた。

 骨子案は各府省にまたがる復興事業の実施権限を集約する「復興庁」に関して「全体像について年内に成案。設置法案を速やかに国会に提出」するとし、来春設置を目指すスケジュールを示した。

 農林水産業の復興へ向けた農地の大規模化・漁港集約も盛り込まれた。宮城県の村井嘉浩知事が求めた水産業の特区創設も明記されたが、特区で民間企業が漁業権を取得しやすくする特例措置には触れず、規制緩和に慎重な農水省の意向が働いたとみられる。【中井正裕、坂井隆之】

 ◇復興基本方針の骨子案(要旨)

(1)基本的考え方

 ・復興を担う主体は市町村が基本。国は基本方針を示し、人材、ノウハウ、財政面から支援

(2)復興期間

 ・関係閣僚会議で調整中

(3)対象施策

 ・被災地の復旧復興。全国的に緊急に実施する必要性が高く、即効性のある防災、減災のための施策

(4)あらゆる力を合わせた復興支援

 ・区域限定で規制の特例や経済的支援をする復興特区制度を創設

 ・土地利用手続きの一元化、迅速化などの特例措置を講じ、税・財政・金融上の支援を検討

 ・自治体が使い勝手の良い交付金の仕組みを創設

 ・事業規模と財源確保は調整中

(5)復興施策

 ・「減災」の考え方から「逃げる」ことを前提とした地域づくりが基本

 ・土地利用の調整を迅速に行うため、ワンストップで処理する特例措置を検討

 ・権利者の不明な土地は自治体が一時管理する措置を講じる

 ・農業経営再建のための金融支援を実施。多角化戦略で力強い農業を実現

 ・木質系廃棄物を活用した熱電併給をモデル的に推進

 ・漁港の機能集約を図るほか、漁業者が企業と提携できるよう特区制度を創設

 ・被災地に再生可能エネルギー関連産業集積を促進

 ・子どもたちが受ける(放射)線量を低減させる

 ・原発災害からの復興のための国と自治体の協議の場を設置

 ・福島県に放射性物質の汚染除去の研究拠点を形成

 ・大震災の調査研究、災害記録の収集保存

 ・鎮魂と復興の象徴となる森や丘の整備を検討

(6)復興支援の体制

 ・復興庁創設までの間、復興対策本部が企画・立案 ・総合調整を実施

 ・復興庁の全体像について年内に成案。設置法案を速やかに国会提出

(7)フォローアップ体制

 ・毎年度、復興基本方針のフォローアップを行い、公表

最終更新:7月21日(木)10時48分

何だろうかね。
何時迄経っても進まない復興。
そしてその上にいる首相の言ってる事は総て適当としか思えない上に信念だと微塵の欠片すらなさそうだ。
その場しのぎの思いつきでコロコロ変わる。
これの何処に信念があるというのだろうかね。
その場の思いつきだけで政権運営して欲しく無いのだが・・当の本人(豚珍管)は何処吹く風だから余計質が悪い。
何時も被害を被るのは国民だ。
これからもそれは続くのだろうか。

暗黒の稲妻