<東日本大震災>在来線復旧、道険し 津波被害で7路線運休
毎日新聞 7月9日(土)19時18分配信
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不通のままのJR在来線
東日本大震災の津波で破壊され、今も運休が続くJR在来線の復旧を巡る話し合いが、自治体とJR東日本の間で始まった。今後は津波の被害を受けないよう、内陸部へのルート変更も検討されているが、莫大(ばくだい)な費用が必要なことや、路線や駅ごとに被災状況が異なることなどから、再建への道筋は定まっていない。【川上晃弘】
【新幹線は復活】東北新幹線 被災から復活まで
運休中のJR線は、青森、岩手、宮城、福島県の太平洋沿岸を走る常磐線や石巻線など7路線。延べ60キロの線路が流失し、女川駅(石巻線)など23の駅舎が流された。沿線自治体とJR東は5月から、路線ごとに意見交換する「復興調整会議」を順次スタートさせている。
最大の課題は、資金を誰が負担するかだ。
JR東の清野智社長は4月の定例会見で、「責任を持って復旧させる」と明言した。同社は国土交通省に用地確保など復旧に向けた公的支援を要請。国や自治体の協力のもと、鉄道の再建を進める方針を固めている。
被災した鉄道の復旧には、国と市町村が事業者に事業費の4分の1ずつを補助する制度がある。しかし、「原形復旧」が条件で、ルート移転も検討される今回の復旧は対象にならない。さらに、黒字企業は補助金を受けられないという制約もあり、JR東は対象外。国交省の担当者は「JR東については、補助金の枠組みは何もないのが現状」と話す。
そこで浮上しているのが、「まちづくり交付金」の活用だ。市町村が作成した都市再生整備計画に基づき、市街地再開発事業や道路・公園整備などの公共事業を進める場合、事業費の一部を交付する制度。ただ、国の負担割合は原則4割にとどまり、残りを地元自治体が賄う必要がある。省内の検討では「何らかの救済措置をとり、資金難にあえぐ自治体の負担割合を減らさなければならない」との意見が出ているが、結論は得られていない。
実際、自治体の財政に余裕はない。福島県のある町の担当者は「うちが負担するのは無理。国とJRさんにお願いするしかないと思っている」と話す。
そんな中、宮城県気仙沼市の菅原茂市長は「莫大な金をかけ鉄道を再建する意味はあるのか」と問題提起する。同市内を走る気仙沼線は、市内11駅のうち5駅の駅舎が完全に流失。市は復旧に向けて動き始めてはいるが、「鉄道が必要なのか、もっと議論があってもいい」と強調する。
市内で最も乗車人数が多い本吉駅でも、1日平均360人にすぎない。菅原市長は鉄道が持つ交通ネットワークの重要性は認めながらも、「道路やバスなども含め、市民にとって最も大切な交通機関は何なのか、じっくり考えたい」と話す。
◇ルート選定にも課題
ルートを決める際にも、紆余(うよ)曲折が予想される。例えば、宮城県山元町にあるJR常磐線坂元駅と山下駅。坂元駅と周辺の住宅はほとんどが流失した。一方、北に約4キロ離れた山下駅は駅舎が浸水したものの、流された家屋はほとんどない。同駅と周辺は町が避難指示区域に指定しているが、住民数十人が戻り、従来の生活を再開しつつあるという。
ルート選定にあたっては、「きついカーブや傾斜は避ける」(国交省)のが原則とされる。坂元駅を内陸部へ移すことになると、山下駅も移動対象になる可能性が高い。山下駅周辺の住民は「駅を絶対に動かさないで」と要望しているといい、山元町の担当者は対応に苦慮している。
同様のケースは、駅舎や周辺の住宅が全て流された常磐線新地駅(福島県新地町)と、南隣で被害が比較的軽微だった駒ケ嶺駅(同)にも言える。新地町の担当者は「復旧しつつある集落から駅だけを移すと言っても、納得してもらえるだろうか。住民の意見を十分に聞いて結論を出したい」と頭を悩ます。
最終更新:7月10日(日)0時49分
出来れば復旧する事を願ってますが・・。
暗黒の稲妻
毎日新聞 7月9日(土)19時18分配信

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不通のままのJR在来線
東日本大震災の津波で破壊され、今も運休が続くJR在来線の復旧を巡る話し合いが、自治体とJR東日本の間で始まった。今後は津波の被害を受けないよう、内陸部へのルート変更も検討されているが、莫大(ばくだい)な費用が必要なことや、路線や駅ごとに被災状況が異なることなどから、再建への道筋は定まっていない。【川上晃弘】
【新幹線は復活】東北新幹線 被災から復活まで
運休中のJR線は、青森、岩手、宮城、福島県の太平洋沿岸を走る常磐線や石巻線など7路線。延べ60キロの線路が流失し、女川駅(石巻線)など23の駅舎が流された。沿線自治体とJR東は5月から、路線ごとに意見交換する「復興調整会議」を順次スタートさせている。
最大の課題は、資金を誰が負担するかだ。
JR東の清野智社長は4月の定例会見で、「責任を持って復旧させる」と明言した。同社は国土交通省に用地確保など復旧に向けた公的支援を要請。国や自治体の協力のもと、鉄道の再建を進める方針を固めている。
被災した鉄道の復旧には、国と市町村が事業者に事業費の4分の1ずつを補助する制度がある。しかし、「原形復旧」が条件で、ルート移転も検討される今回の復旧は対象にならない。さらに、黒字企業は補助金を受けられないという制約もあり、JR東は対象外。国交省の担当者は「JR東については、補助金の枠組みは何もないのが現状」と話す。
そこで浮上しているのが、「まちづくり交付金」の活用だ。市町村が作成した都市再生整備計画に基づき、市街地再開発事業や道路・公園整備などの公共事業を進める場合、事業費の一部を交付する制度。ただ、国の負担割合は原則4割にとどまり、残りを地元自治体が賄う必要がある。省内の検討では「何らかの救済措置をとり、資金難にあえぐ自治体の負担割合を減らさなければならない」との意見が出ているが、結論は得られていない。
実際、自治体の財政に余裕はない。福島県のある町の担当者は「うちが負担するのは無理。国とJRさんにお願いするしかないと思っている」と話す。
そんな中、宮城県気仙沼市の菅原茂市長は「莫大な金をかけ鉄道を再建する意味はあるのか」と問題提起する。同市内を走る気仙沼線は、市内11駅のうち5駅の駅舎が完全に流失。市は復旧に向けて動き始めてはいるが、「鉄道が必要なのか、もっと議論があってもいい」と強調する。
市内で最も乗車人数が多い本吉駅でも、1日平均360人にすぎない。菅原市長は鉄道が持つ交通ネットワークの重要性は認めながらも、「道路やバスなども含め、市民にとって最も大切な交通機関は何なのか、じっくり考えたい」と話す。
◇ルート選定にも課題
ルートを決める際にも、紆余(うよ)曲折が予想される。例えば、宮城県山元町にあるJR常磐線坂元駅と山下駅。坂元駅と周辺の住宅はほとんどが流失した。一方、北に約4キロ離れた山下駅は駅舎が浸水したものの、流された家屋はほとんどない。同駅と周辺は町が避難指示区域に指定しているが、住民数十人が戻り、従来の生活を再開しつつあるという。
ルート選定にあたっては、「きついカーブや傾斜は避ける」(国交省)のが原則とされる。坂元駅を内陸部へ移すことになると、山下駅も移動対象になる可能性が高い。山下駅周辺の住民は「駅を絶対に動かさないで」と要望しているといい、山元町の担当者は対応に苦慮している。
同様のケースは、駅舎や周辺の住宅が全て流された常磐線新地駅(福島県新地町)と、南隣で被害が比較的軽微だった駒ケ嶺駅(同)にも言える。新地町の担当者は「復旧しつつある集落から駅だけを移すと言っても、納得してもらえるだろうか。住民の意見を十分に聞いて結論を出したい」と頭を悩ます。
最終更新:7月10日(日)0時49分
出来れば復旧する事を願ってますが・・。
暗黒の稲妻