<節電の街>「停電しない施設」六本木ヒルズに注目
毎日新聞 6月4日(土)11時58分配信


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節電のため廊下の照明を落とした六本木ヒルズ森タワーのオフィス。夏場は余った電気を再び東京電力に融通する=東京都港区で、須賀川理撮影
 東京都港区の六本木ヒルズが東日本大震災後、「停電しない施設」として注目を集めている。03年の開業時から、約2万人が働くオフィスや店舗、ホテルと約2000人が暮らす住宅の電気を、都市ガスによる自家発電で賄っているからだ。

 ◇三重の備えで安定供給

 「電力不足でコールセンターを関西地方に移した会社もあると聞くが、うちは全く支障がなかった」。入居する外資系パソコンメーカー「レノボ・ジャパン」の吉松義明総務部長は語る。外資系証券「バークレイズ・キャピタル」の長谷川康一マネージングディレクターも「停電すれば業務が止まる。発電機のないビルには入らない」と言い切った。

 運営する森ビルは災害に強い施設を目指し、約100億円かけて地下にガスタービン式発電機(最大電力約3万9000キロワット)などを整備。廃熱を冷暖房に利用しエネルギー効率も高い。ガスが止まれば東京電力の電気を使い、それもだめなら灯油で非常用発電と、三重の備えを持つ。

 震災後、電力不足とは無縁だったが施設全体で照明を落とすなどし、日中4000キロワット(約1100家庭分、夜間は3000キロワット)の余剰電力を4月まで東京電力に融通した。その後も15%の節電が続く。入居者の省エネ意識が高まり、ほの暗さが普通のことになっているという。

 4~5月、自治体や企業の視察は20回近くに上った。東京都の猪瀬直樹副知事は「都の電力需給のあり方を考えるため参考になると思った」と視察の様子をブログに記す。企業からの賃貸問い合わせも増えた。森ビルの広報担当者は「以前は『六本木で営業したい』という理由だったが、今は電気の安定供給に着目してもらっている」と語る。

 ガスを供給する東京ガスの土方教久エネルギー計画グループマネージャーは分析する。「これまでは経済成長に応じ電気の大量供給システムが作られてきた。今後はエネルギー供給の分散化についても議論が進むだろう」【馬場直子】

最終更新:6月4日(土)14時20分

日々のくらし ガスによる自家発電は知らなかった。
流石に眠らない街だなぁ(笑。

暗黒の稲妻