<ギリシャ>EU追加融資7兆円規模か IMFも支援継続
毎日新聞 6月4日(土)19時54分配信

 【ロンドン会川晴之】欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)から総額1100億ユーロ(約13兆円)の金融支援を受けたギリシャが再び窮地に陥り、追加支援策の協議が本格化している。3日には既存の支援策から120億ユーロの融資を7月に実施すると発表され、月内には新たな救済措置が打ち出される見通し。しかし、ギリシャが迫られる公営企業の民営化や増税を巡っては野党が反発しており、決着までには難航が予想される。

 ◇20日ユーロ圏財務相会合で決定へ

 ユーロ圏財務相会合のユンケル議長(ルクセンブルク首相)は3日、ギリシャのパパンドレウ首相と会談後、ユーロ圏諸国が追加支援策で合意することに期待を示した。欧米メディアによると、追加融資は600億ユーロ(約7兆円)程度と想定され、今後内容を詰める。20日のユーロ圏財務相会合で決定される見通し。

 昨年5月に決定されたギリシャ財政支援策は3年計画。2年目後半の12年からは市場から資金調達を始める計画だったが、財政改革は進まず、格付け会社各社は断続的にギリシャの格付けを引き下げてきた。

 ギリシャ国債は、指標となる10年物国債の利回りが昨年5月中旬には7%まで下がったが、その後、徐々に上昇し、今年5月には一時18%を超す水準に達した。「市場への早期復帰は極めて困難」(在英エコノミスト)な情勢で、今後2年間で市場から調達予定だった600億ユーロ以上の資金を支援で手当てする必要がある。

 IMFは5月、EUなどと対応を協議。ギリシャが国有財産の売却加速など新たな財政再建策を約束したため、3日に支援継続を発表した。追加支援策が決まれば国債の「債務不履行(デフォルト)」は当面回避される。

 しかし、ギリシャ政府が立案した新たな財政再建策では、公務員の人員・給与削減や一段の増税などを実施する方針で、アテネ市内では労組主導の大規模デモが起きており、政権批判が勢いを増している。

 ◇東欧支援策ベースに

 ギリシャが市場で資金調達ができない状態が続く場合、EUなどから支援を受けるアイルランド、ポルトガルに加え、スペインやイタリアの南欧諸国に信用不安が再び拡大する懸念が強い。

 EUは当初、国債償還期限の延長など債務再編を検討したが、欧州中央銀行(ECB)が「デフォルトに当たる」と強硬に反対。デフォルトした国債はECBのオペの担保として認めない、と再考を迫った。

 このため、EUはギリシャ国債を多額に保有する欧州の金融機関に対し、国債の満期償還を迎えた場合、ギリシャが新たに発行する国債に買い替えるよう求める案を模索中だ。08年のリーマン・ショック時の東欧諸国支援に使われた手法で、オーストリアの首都ウィーンで調整された経緯から「ウィーン方式」と呼ばれるものだ。

 レーン欧州委員(経済・通貨担当)は1日、ニューヨークでの講演で、ギリシャ新救済措置では、追加的な財政再建と「ウィーン方式」を組み合わせる考えを表明。今後はこの線に沿った調整が本格化するとみられる。

最終更新:6月4日(土)23時33分

ギリシャは財政危機から脱する事が出来るだろうか。
一つの分岐点になりすな気がしてならない。

暗黒の稲妻