「禁煙」減速 大増税から半年、販売数回復傾向で厚労省やきもき
産経新聞 5月29日(日)23時45分配信

 31日は世界保健機関(WHO)が定めた「世界禁煙デー」。厚生労働省は同日から1週間を「禁煙週間」として、健康被害防止の啓発活動に力を入れていく。折しも1箱100円以上という過去最大の値上げが行われた昨年10月のたばこ税増税から半年。平成22年度のたばこの販売本数は日本たばこ協会の調査開始以来過去最低を記録しているが、「思ったより禁煙には結びつかなかった」という声も聞こえてくる。(油原聡子)

 「たばこと健康の問題について正確な情報に基づいて認識を深めてもらいたい」。世界禁煙デーを控えた28日、東京都内で開かれた厚労省共催のシンポジウム。健康維持に加え、医療費抑制の観点からも禁煙に力を入れている厚生労働省の小宮山洋子副大臣は、壇上でこう力を込めた。

 たばこ税増税の際には、禁煙治療の飲み薬が在庫不足で出荷停止になるなど、急激に高まった社会の禁煙意識。その流れを強めたい厚労省だが、期待していたようには動いていない現状もある。

 ■治療成功は7割

 昨年10月、禁煙外来受診者が通常の2倍にあたる延べ約200人に上った東京都中央区の中央内科クリニック。だが、今年4月の受診者は延べ約130人。増税前よりは増加しているものの、勢いは完全に鈍化している。「増税によって確実に禁煙を志す人が増えたのは間違いない」と村松弘康院長。だが、「アメリカのニューヨークなどの1箱千円以上に比べると、現在の日本は約400円。また吸い出してしまうこともある」とも。

 3カ月にわたる禁煙治療の成功率は7割。村松院長は「たばこはお金と時間をかけてもなかなかやめられない依存症。危険性を知らない人が多い」と訴える。

 日本たばこ協会によると、22年度の紙巻きたばこの販売数量は前年比10・1%減の2102億本で、同協会が調査を始めた2年度以降で最低を記録。減少幅も過去最大となった。

 ■震災、出荷停止も

 だが、月別でみると値上がりした昨年10月は、事前の買いだめの影響もあり61億本まで落ちたものの、11月には110億本に回復。今年3月は170億本と、21年度月別平均の約190億本に迫る数字になった。

 震災後の4月は110億本と大幅減になったが、これは日本たばこ産業(JT)の製造工場が被災し、出荷停止したためだ。

 WHOは「たばこの需要抑制には増税が有効」と指摘。厚労省の担当者も「今後のさらなる増税も…」とつぶやくが、当面は喫煙の健康被害についての啓発活動などの対策を強化。受動喫煙についても、事業所の全面禁煙や分煙対策を「努力義務」から「義務」に厳格化することなどを盛り込んだ労働安全衛生法の改正案を検討していく。

 禁煙活動に取り組む産業医大の大和浩教授によると、受動喫煙防止法を実施したスコットランドでは10カ月で急性心筋梗塞の患者が17%減少した。大和教授は「日本は受動喫煙対策で世界に乗り遅れている。国全体で行えば1年後には急性心筋梗塞が、10年後には肺がんが減るだろう」と話している。

最終更新:5月29日(日)23時45分

31日は世界保健機関(WHO)が定めた「世界禁煙デー」だそうだ。
稲妻はもう煙草辞めてるので・・余り関係無かったりするが(笑。

暗黒の稲妻