<東日本大震災>撤去遅れ 魚介類の腐敗臭、深刻に 
毎日新聞 5月27日(金)18時32分配信


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水産加工会社の倉庫から出され、処分を待つ腐敗した魚の山=岩手県大船渡市で、曹美河撮影
 津波で打ち上げられた養殖設備や水産加工施設から流れ出るなどした魚介類の腐敗臭が、岩手県内の被災地で深刻な問題になっている。廃棄場所の確保が困難なうえ、行政はがれき撤去などに追われて回収作業もままならない。大量発生したハエが避難所に入り込んだり、悪臭で被災者が頭痛を訴えるケースも出ており、衛生面での不安の声も上がっている。

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 「今日はまだいい方。風向きによっては体育館の窓も開けられないよ」。大槌町の赤浜小学校。約90人とともに避難している佐藤寿さん(64)によると、最近は気温の上昇とともにハエの数も多くなっているという。

 避難所から300メートルほどの船着き場では、養殖に使われる浮きや漁網、ロープでできた巨大な山が腐敗臭を放っていた。腐ったホタテやワカメがそのまま残っているのが見える。サーッという音とともに、地面を黒く染めていたハエの大群が飛び立った。

 津波被害を受けた養殖設備などは、地元漁協の依頼を受けた県沿岸広域振興局がクレーン付きの大型船で回収し、陸に揚げている。連日の作業でそれらの山の幅は40メートルほどに広がり、頂上は2階建ての建物ほどに達した。

 振興局によると、漁業が主産業の大槌町は回収量が特に多く、作業が長期化している。担当者は「揚げた以上、分別して別の場所に持って行きたいのだが、置き場所がない」と困惑する。移動のめどは立っておらず、「このままなら、消毒薬の散布も考えないといけない」と話した。

 大船渡市では、サンマやサバなどを冷凍保存していた水産加工施設が被災した。市によると、魚は残っていただけで計約1万5000トン。4月から市内8カ所で埋設処分を進めているが、土地の確保や運送用トラックの手配が進まず、今も約2000トンが残る。がれきの中には倉庫から流出した魚が散乱しており、こちらは回収のめども立っていない。

 腐敗臭は港から1キロ以上離れた避難所まで漂う。家族で身を寄せる女性(60)は「最近は臭いが気になって洗濯物を外に干せなくなった。でも、みんながんばってるんだし我慢しなきゃ」。港を見下ろす高台に立つ大船渡保育園の富沢郁子・主任保育士は「ハエなどの発生で健康への影響が心配」と話す。

 こうした中、市は6月初めから、殺虫や防臭効果のある薬剤の散布を始める方針だ。「これまではがれき撤去などが優先で、水産物まで手が回らなかった。夏までにはなんとか処理を終わらせたい」と話している。

 陸前高田市でも事態は深刻で、住民は市に腐敗した魚の早期回収を要望した。約80人が避難生活を送る気仙町長部地区コミュニティーセンターの世話人、菅野征一さん(66)は「頭痛を訴える人もいる。これから暑くなるのに、窓も開けられないような状況はつらい」と話す。【町田結子、曹美河、松本光央】

最終更新:5月27日(金)20時33分

魚介類が腐ると可也の悪習を放つらしいが、これから気温が上がるにつれ大変な事態も予想される。
一刻も早い採択が急がれると思うのだが・・・。

暗黒の稲妻