石油高騰でジェット燃料のバイオ化進む
ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト 5月23日(月)17時26分配信
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2011年3月、カリフォルニア州エドワーズ空軍基地において、重要な試験飛行が実施された。基地を飛び立ったアメリカ空軍の戦闘機F-22「ラプター」は、再生可能燃料を50%混合したジェット燃料によって超音速飛行を行い、この種の燃料が実用に耐えることを証明した。
(Photograph courtesy Kevin North US Air Force)
燃料費の高騰が世界の航空会社を圧迫するなか、民間航空業界が最も期待する代替エネルギーが近く実用化される見通しが出てきた。
標準化団体のASTMインターナショナルは、水素処理再生可能ジェット(HRJ)燃料の承認に関して、今夏に投票を行うことになっている。
HRJは、ありふれた植物から動物性油脂まで、多種多様な原料から精製可能な燃料であり、また従来の石油燃料と同様に実用に耐えることは、実験室でのテストと(ジェット燃料の最大級の消費者、アメリカ国防総省による)飛行テストの両方において証明されている。
◆跳ね上がる燃料費
中東、特に産油国であるリビアの情勢不安によって、世界の石油価格は最高値を記録した2008年以来の高水準となっている。しかしその影響は、時としてジェット燃料に最も大きく現れることがある。石油の供給が少なくなると、製油所はジェット燃料の製造量を減らし、より利益の大きいディーゼル燃料などを優先的に製造しようとする。さらには、3月に日本で発生した地震と津波によって3つの大きな製油所が停止したことも、ジェット燃料の出荷が不足する一因となった。
その結果、ジェット燃料の価格は前年から50%近く高騰し、2011年初頭以降だけで30%上昇している。2011年第1四半期において、ジェット燃料購入費はアメリカ航空大手各社の営業コストの33%に達し、人件費(25%)を上回る最大の割合を占めた。
◆実用化へ向けて
しかしその一方で、航空業界は石油依存から脱却し、バイオ燃料に転換するための大きな一歩を踏み出そうとしている。
自動車の燃料に使われるエタノールは、穀物やサトウキビから精製されるアルコール燃料だが、航空機には利用できない。エネルギー密度(リッター当たりのエネルギー)が低すぎるため、少なくとも現行のジェットエンジンには適さない。しかし現在、世界中の多くの新興企業が、植物や動物性油脂から精製したオイルを用いて、さまざまな燃料の開発を進めている。これらのオイルは水素処理を施されてHRJとなる。HRJは、従来のジェット燃料と化学的に同質の合成燃料だ。
HRJ技術のライセンスを保有するハネウェル傘下のUOP社(イリノイ州デスプレーンズ)によれば、HRJの利点のひとつは多様な原料から精製できることだという。HRJは現在、カメリナ・サティバ(和名:ナガミノアマナズナ)というアブラナ科植物の油分を含む種子や、ナンヨウアブラギリという自然に生える木を原料として製造されている。そのほか、余った動物性油脂や海藻なども、豊富なオイル源として検討されている。
しかし、そのような利点を活かすためには、まずHRJを商業航空に使用できることが確定しなければならない。その意味で、標準化団体のASTMインターナショナルが今夏に予定している承認投票は大きなカギを握っている。民間航空機へのHRJの使用が許可されるには、そのような承認を受けることが世界各国の航空規制当局から求められる。
燃料専門家によるHRJの検討会が6月に開かれ、その投票で予想通りに承認が決まれば、今夏中にもASTM全体での承認投票が行われる。
◆軍事面での需要
HRJが実用に耐えることを証明したテスト飛行のうち、最も重要なもののいくつかは、ジェット燃料の世界最大級の消費者であるアメリカ国防総省によって行われた。3月にカリフォルニア州エドワーズ空軍基地で実施された直近のバイオ燃料テストでは、アメリカ空軍のF-22戦闘機、通称「ラプター」が、HRJと化石系ジェット燃料を50%ずつ混合した燃料による超音速飛行を成功させた。
アメリカ軍は、代替燃料の開発は国防上の責務であり、また石油燃料への依存を減らすための手段だとみなしている。アメリカ国防総省の過去3年間における石油系ジェット燃料の年間消費量は、38億ガロン(144億リットル)にのぼる。ジェット燃料は航空機だけでなく、戦地でタンカーや発電機、兵器システムなどの動力としても用いられており、アメリカ政府全体の消費エネルギーの46%を占めている。
アメリカ海軍の運営エネルギー担当ディレクター、クリス・ティンダル氏は、5月初旬にカナダのオンタリオ州トロントで開かれたバイオテクノロジー業界の国際会議において、海軍では2020年までにエネルギー消費の半分を代替エネルギーで賄うことを目指しており、そのため今後はバイオ燃料の需要が高まるだろうと述べた。代替燃料を動力とする戦艦や航空機からなる「グリーン・エネルギー大艦隊(Great Green Fleet)」の配備を進める海軍では、再生可能ジェット燃料の発注量が2012年までに4000バレル(64万5950リットル)に達し、さらに2016年までにはその10倍に増える見通しだという。
Marianne Lavelle for National Geographic News
最終更新:5月23日(月)17時26分
普段飛行機に乗る事など皆無であるが今後はバイオ燃料に取って代わるのだろうかね。
将来亭にはバイオ燃料で格安で世界各地に飛べる・・時代ガ来るのであろうか。
暗黒の稲妻
ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト 5月23日(月)17時26分配信
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2011年3月、カリフォルニア州エドワーズ空軍基地において、重要な試験飛行が実施された。基地を飛び立ったアメリカ空軍の戦闘機F-22「ラプター」は、再生可能燃料を50%混合したジェット燃料によって超音速飛行を行い、この種の燃料が実用に耐えることを証明した。
(Photograph courtesy Kevin North US Air Force)
燃料費の高騰が世界の航空会社を圧迫するなか、民間航空業界が最も期待する代替エネルギーが近く実用化される見通しが出てきた。
標準化団体のASTMインターナショナルは、水素処理再生可能ジェット(HRJ)燃料の承認に関して、今夏に投票を行うことになっている。
HRJは、ありふれた植物から動物性油脂まで、多種多様な原料から精製可能な燃料であり、また従来の石油燃料と同様に実用に耐えることは、実験室でのテストと(ジェット燃料の最大級の消費者、アメリカ国防総省による)飛行テストの両方において証明されている。
◆跳ね上がる燃料費
中東、特に産油国であるリビアの情勢不安によって、世界の石油価格は最高値を記録した2008年以来の高水準となっている。しかしその影響は、時としてジェット燃料に最も大きく現れることがある。石油の供給が少なくなると、製油所はジェット燃料の製造量を減らし、より利益の大きいディーゼル燃料などを優先的に製造しようとする。さらには、3月に日本で発生した地震と津波によって3つの大きな製油所が停止したことも、ジェット燃料の出荷が不足する一因となった。
その結果、ジェット燃料の価格は前年から50%近く高騰し、2011年初頭以降だけで30%上昇している。2011年第1四半期において、ジェット燃料購入費はアメリカ航空大手各社の営業コストの33%に達し、人件費(25%)を上回る最大の割合を占めた。
◆実用化へ向けて
しかしその一方で、航空業界は石油依存から脱却し、バイオ燃料に転換するための大きな一歩を踏み出そうとしている。
自動車の燃料に使われるエタノールは、穀物やサトウキビから精製されるアルコール燃料だが、航空機には利用できない。エネルギー密度(リッター当たりのエネルギー)が低すぎるため、少なくとも現行のジェットエンジンには適さない。しかし現在、世界中の多くの新興企業が、植物や動物性油脂から精製したオイルを用いて、さまざまな燃料の開発を進めている。これらのオイルは水素処理を施されてHRJとなる。HRJは、従来のジェット燃料と化学的に同質の合成燃料だ。
HRJ技術のライセンスを保有するハネウェル傘下のUOP社(イリノイ州デスプレーンズ)によれば、HRJの利点のひとつは多様な原料から精製できることだという。HRJは現在、カメリナ・サティバ(和名:ナガミノアマナズナ)というアブラナ科植物の油分を含む種子や、ナンヨウアブラギリという自然に生える木を原料として製造されている。そのほか、余った動物性油脂や海藻なども、豊富なオイル源として検討されている。
しかし、そのような利点を活かすためには、まずHRJを商業航空に使用できることが確定しなければならない。その意味で、標準化団体のASTMインターナショナルが今夏に予定している承認投票は大きなカギを握っている。民間航空機へのHRJの使用が許可されるには、そのような承認を受けることが世界各国の航空規制当局から求められる。
燃料専門家によるHRJの検討会が6月に開かれ、その投票で予想通りに承認が決まれば、今夏中にもASTM全体での承認投票が行われる。
◆軍事面での需要
HRJが実用に耐えることを証明したテスト飛行のうち、最も重要なもののいくつかは、ジェット燃料の世界最大級の消費者であるアメリカ国防総省によって行われた。3月にカリフォルニア州エドワーズ空軍基地で実施された直近のバイオ燃料テストでは、アメリカ空軍のF-22戦闘機、通称「ラプター」が、HRJと化石系ジェット燃料を50%ずつ混合した燃料による超音速飛行を成功させた。
アメリカ軍は、代替燃料の開発は国防上の責務であり、また石油燃料への依存を減らすための手段だとみなしている。アメリカ国防総省の過去3年間における石油系ジェット燃料の年間消費量は、38億ガロン(144億リットル)にのぼる。ジェット燃料は航空機だけでなく、戦地でタンカーや発電機、兵器システムなどの動力としても用いられており、アメリカ政府全体の消費エネルギーの46%を占めている。
アメリカ海軍の運営エネルギー担当ディレクター、クリス・ティンダル氏は、5月初旬にカナダのオンタリオ州トロントで開かれたバイオテクノロジー業界の国際会議において、海軍では2020年までにエネルギー消費の半分を代替エネルギーで賄うことを目指しており、そのため今後はバイオ燃料の需要が高まるだろうと述べた。代替燃料を動力とする戦艦や航空機からなる「グリーン・エネルギー大艦隊(Great Green Fleet)」の配備を進める海軍では、再生可能ジェット燃料の発注量が2012年までに4000バレル(64万5950リットル)に達し、さらに2016年までにはその10倍に増える見通しだという。
Marianne Lavelle for National Geographic News
最終更新:5月23日(月)17時26分
普段飛行機に乗る事など皆無であるが今後はバイオ燃料に取って代わるのだろうかね。
将来亭にはバイオ燃料で格安で世界各地に飛べる・・時代ガ来るのであろうか。
暗黒の稲妻