民自対決・原発政策が争点に…青森県知事選
読売新聞 5月21日(土)17時38分配信

 東日本大震災で大きな被害を受けた東北地方で初めての知事選となる青森県知事選(19日告示、6月5日投開票)は、原子力政策の見直しを追い風にしたい民主党と、過去のエネルギー政策への批判に神経をとがらせる自民党が候補を推薦する「与野党対決」の構図となっている。

 黒雲に覆われた陸奥湾から、強風が吹き付けていた。

 「下北半島に集中立地する原子力発電所は、計画段階のものは凍結したい。安全なくして経済や地域振興なし、だ」

 民主、国民新推薦で新人の山内崇は20日、下北半島の西端近くにある、むつ市脇野沢で、15人の聴衆に声を張り上げた。

 むつ市の周辺には、稼働中の東北電力東通原発1号機に加え、東京電力東通原発、大間原発など建設中・計画中の原発が2基ずつ存在する。市内では使用済み核燃料中間貯蔵施設の建設が進行中で、下北半島には原子力関連施設がひしめきあっている。

 民主党は、4月の統一地方選で惨敗した。山内が原発政策の見直しを前面に掲げるのは、菅首相が中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の原子炉運転停止を求めた「政治決断」を追い風にしたい思惑がある。読売新聞社の世論調査では7割近くが「決断」を評価した。脇野沢地区に住む50代の男性漁師は「一番聞きたいのは原発の安全性だ」と語った。

 ただ、再処理事業者が納める核燃料税は、県税収入の13%を占めており、山内の凍結表明には戸惑いも広がっている。電力系労組や建設業者の一部からも、「応援できない」といった声が上がっているという。

 さらに、15日に大間原発を視察した民主党の岡田幹事長が「既にできているもの、できつつあるものは安全性を高めながら利用していかなければ、日本の電力は賄えない」と発言するなど、原発を巡る民主党のスタンスは定まっていない。

 一方、3選を目指す三村申吾を推薦した自民、公明両党は、大差の勝利をねらう。自民党は衆院への内閣不信任決議案提出のタイミングを計っており、今回の知事選を「菅降ろし」の決定打にしようとしている。大島理森副総裁(衆院青森3区)も告示日から地元に陣取り、「民主党内の『菅降ろし』を勢いづかせる好機だ」と県連幹部にげきを飛ばす。

 自民党にとって気がかりなのは、東京電力福島第一原子力発電所の事故が、原子力政策を推進してきた同党への逆風になりかねないことだ。谷垣総裁も「過去の原子力政策には盲点もあったことは否定できない」としており、陣営幹部は「原発事故の影響は避けられない」と表情を曇らせる。

 19日の出陣式では、木村太郎・自民党青森県連会長が「我々は日本のエネルギー政策に責任を持つため、原子力政策に取り組んできた」と強調したが、原発立地に前向きだった三村は、原子力政策への言及は極力避け、経済振興に演説の力点を置いている。

 共産党公認の吉俣洋は、建設・計画中の原発の白紙撤回を主張している。(敬称略)(政治部 塩見尚之、青森支局 高橋勝己)

最終更新:5月21日(土)17時38分

民自対決といより元々青森って自民が強いと聞いているけど・・どうなるだろうけど。

暗黒の稲妻