薄さは? 速さは? 使い勝手は? iPad 2の“進化”を徹底解剖
nikkei TRENDYnet 4月27日(水)21時59分配信


アップルのタブレット型端末「iPad 2」がいよいよ日本で発売になる。昨年5月に発売された初代iPadより薄く軽くなった本体には、新たに2つのカメラが付いた。頭脳であるプロセッサーは2つのコアを持つ「Apple A5」となり、スピード、描画...
 アップルのタブレット型端末「iPad 2」がいよいよ日本で発売になる。昨年5月に発売された初代iPadより薄く軽くなった本体には、新たに2つのカメラが付いた。頭脳であるプロセッサーは2つのコアを持つ「Apple A5」となり、スピード、描画性能ともにパワーアップしている。タブレット市場をリードするiPadはどのように進化したのだろうか。

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速度は体感できるほど高速に

 iPadは、我々が毎日するWebページやデジカメ写真の閲覧、メールやソーシャルネットワークサービスの読み書きなどをノートパソコンやスマートフォンよりも手軽で快適にこなせるツールだ。画面をタッチする操作はいたってシンプルで直感的。使い方を少し教えるだけでほとんどの人は難なく使いこなせてしまう。9.7型の大きなディスプレイは広視野角で非常に明るい。写真やビデオを見るのに適している。ノートパソコンよりも起動が速く、バッテリー持続時間も長い。携帯性は非常に優れている。初代iPadは、発売後80日間で300万台を販売し、大ヒットした。昨今のタブレットブームの火付け役だ。

 iPad 2も使い勝手は同じだが、着実に進化している。画面の大きさと解像度は初代と変えずに、額縁が細くなり、サイズがわずかに小さくなった。形状も変わった。丸みをつけたエッジが手にフィットする。厚さは8.8mm。33%薄くなり、持ちやすくなった。背面は1枚のアルミ板から削り出した「ユニボディ」。同社のMacなどと同じ製法で、高い剛性を実現している。重さはWi-Fiモデルが601g、3Gモデルが613g。初代iPadから約80g軽くなった。薄く軽くなったことで、さらに携帯性が増している。

 Apple A5は、iPadのApple A4より2倍高速で、描画性能は最大9倍もパフォーマンスが向上している。そのスピードは体感できるほどだ。ネットサーフィンの読み込みは高速で、タブ表示から全画面への切り替えも待たされない。アプリケーションの切り替えも高速で、重たい処理をともなうものも素早く立ち上がる。描画性能はグラフィックスを多用するゲームなどでその実力を発揮してくれる。処理性能はアップしているが、消費電力はApple A4並みに抑えられている。Wi-Fiでのインターネット利用、ビデオ再生、音楽再生で最長10時間、3Gでインターネットを利用した場合は最長9時間となる。これはiPadと同じだ。

 携帯性とパフォーマンスが向上したことで、iPadでできることすべてがさらに快適になっている。家でも外でも使える万能さにさらに磨きがかかったと言える。

遠方の家族とのコミュニケーションにはiPad 2とFaceTimeがお薦め

 iPad 2は、VGA画質のフロントカメラと720pのHDビデオが撮影できるバックカメラの2つを備える。カメラを使った新機能がテレビ電話機能の「FaceTime」だ。同社のスマートフォン「iPhone 4」やMacにも搭載されているもので、無線LANを使ってテレビ電話ができる。iPad 2は、iPhone 4よりも画面が大きいので、複数の人の顔を映し出してテレビ電話ができる。複数人で顔を見ながらミーティングするようなビジネスシーンに役立ちそうだ。使い方は簡単。必要なのはApple IDとメールアドレスだけだ。パソコンが苦手な遠方の両親とテレビ電話をするのにはもってこいの機能と言える。

 バックカメラはHD画質のビデオが撮影できる。タップすると露出を自動で調整してくれる。静止画撮影時は5倍のデジタルズームが利用可能だ。

 カメラを使ったもう1つのアプリが「Photo Booth」だ。自分の顔に様々なエフェクトをかけて“変顔”の写真を撮れる。実用性はないが、Apple A5の高い描画性能を体験できるアプリだ。

iPad 2をクリエーティブなツールに変えるアプリ

 米グーグルがiPadに対抗するために開発した「Android 3.0」を採用したタブレットに比べて、iPad 2が大きくリードしているのがアプリの数だ。iPadに最適化されたアプリが6万5000以上あり、iPad 2でそのまま使える。ネットサービスを中心に利用するなら、検索大手のグーグルが開発したAndroid 3.0タブレットでも困らないだろう。しかし、タブレットは豊富なアプリがあってこそ、便利に使える。新たに3軸ジャイロを内蔵し、本体の傾きや動きをアプリに取り込めるようにもなった。

 iPad 2と同じタイミングで発表されたアップル製の音楽作成アプリ「Garage Band」(600円)。楽器とタッチ操作の相性は抜群だ。3軸ジャイロで、タッチの強弱を表現できる。ドラムのハイハットを強くタッチすれば大きな音がなり、やさしくタッチすれば小さな音がでる。2本指で触れて、その間隔を広げたり、狭めたりするとリズムが変わる。ギターはコードをタッチするだけ。オートプレイ機能を活用すれば、素人でもきれいなメロディの音楽が作れる。8トラックまで扱えるので、本格的な曲も作成可能だ。Garage BandはiPad 2の面白さを直感的に体感できるアプリだ。

 iPad 2のHDカメラで撮影した映像が編集できるビデオ作成アプリ「iMovie」も同じだ。映像のつなぎ目のエフェクトは、かなり細かいところまで編集できる。

 2つのアプリを使っていて、マウスやキーボードがあったら良かったと思うシーンはほとんどなかった。Garage Bandは、音源が豊富で何時間でも熱中してしまいそうだ。タブレットはコンテンツを消費する(見る)ものと言われるが、2つのアプリを体験すると、クリエーティブなツールとしても使えることが分かった。キーボードやマウスがあれば良かったと思う人はアップルストアなどで一度、Garage Bandに触れてもらいたい。マウスやキーボードに制約されずに自由に音楽を楽しめる。

 グーグルのAndroid 3.0は登場したばかり。アプリも少なく、用途はグーグルのサービスやWebページの閲覧が中心だ。これではパソコンとできることが変わらない。パソコンでは味わえないアプリが豊富にそろうiPad 2の優位性は当面揺ぎそうもない。

使い方いろいろの賢いiPad Smart Cover

 iPad 2の専用ケース「iPad Smart Cover」にも注目だ。マグネットで固定し、iPad 2の薄さを損なわずにディスプレイ面を保護できる。ケースを本体の左側面に近付けると、決まった場所にぴたりと付く。ケースの開け閉めに画面のロック/ロック解除が連動しており、画面の消し忘れを防げる(設定でオン・オフが可能)。スマート(賢い)な仕掛けはそれだけではない。画面に触れる裏地はマイクロファイバーで、指紋や汚れをきれいにふき取ってくれる。

 3つ折りにすればスタンドにもなる。ソフトウエアキーボードを使って文字入力するのに適した角度に調整可能だ。別の角度で立てれば、ハンズフリーでビデオ通話をしたり、映画を視聴したりするときに便利だ。フォトスタンドとしても使えるし、縦向きで使う際のハンドル(持ち手)としても使える。外す場合は、ケースを少し傾けると簡単に取れる。

 ポリウレタン製(3980円)の5色と革製(6980円)の5色がある。革製カバーは上質なアニリン染めのイタリア製レザー。やわらかくて手触りがよい。売り上げの一部を「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」に寄付する(PRODUCT)REDも用意する。

価格4万4800円から、多くの可能性を秘めるiPad 2

 iPad 2の価格は4万4800円(Wi-Fiモデル、16GB)から。初代モデルよりも4000円ほど安くなっている(発売開始時の価格)。メモリー容量は16GB、32GB、64GBの3タイプ。それぞれ3GモデルとWi-Fiモデルがあり、3Gモデルはソフトバンクモバイルとの契約が必要だ。Wi-Fiモデルは契約はいらない。月々の通信料もかからない。月々数百円から利用できる公衆無線LANアクセスポイントを使えば、駅やファストフード店などでインターネットに接続できる。

 iPad 2は、基本的な使い勝手は初代iPadと変わらない。しかし、パフォーマンスがアップし、利用頻度の高いWebの閲覧やアプリの使い勝手がより快適になった。iOS 4.3への進化も大きい。全体的に底上げされている。本体が薄く軽くなったので、持ち運びもしやすくなっている。カメラが付いたことで、コミュニケーションツールとしても進化した。ゲームやAR(拡張現実)などカメラを使ったiPad向けのアプリも今後登場するだろう。Garage Bandのような時間を忘れて楽しめるアプリの登場にも期待したい。

 iPad 2はいろいろなシーンで使える万能なツールだ。アプリを切り替えることで、遊びの道具にもなるし、教科書や書籍にもなる。ビジネスパーソンならドキュメントビューワーとして、商談やプレゼンテーションに活用できる。オプションの「Apple Digital AVアダプタ」を使えば、iPad 2の画面をHDMIで薄型テレビなどにそのまま出力できる。主婦にとってiPad 2は、レシピ帳になるし、友達との長電話の道具にもなる。根底にあるのは、直感的でシンプルなタッチ操作であり、豊富なアプリ群だ。多くの人のライフスタイルに溶け込み、仕事の仕方や余暇の楽しみ方を変える可能性をiPad 2は秘めている。

(文/三浦善弘=日経トレンディネット)

最終更新:4月27日(水)21時59分

こういう記事見ると欲しくなってくるのだが・・でもまぁ今必要かと言うと別段必要でも無いし、暫く様子見と言う事で・・。

暗黒の稲妻