党主導で新しい街、廃虚は遺跡に…四川地震3年
読売新聞 4月24日(日)15時36分配信


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四川大地震から3年。住宅(奥)が再建され、壊滅した学校周辺は震災遺跡に
 【成都=角谷志保美】四川大地震から3年になるのを前に、中国四川省の被災地に入った。

 世界第2位の経済力を背景に、あらゆる権力を独占する共産党が主導した強力な復興事業によって、真新しい街が次々と出現している。

 ◆党の力業◆

 山あいの盆地に、レンガ造りの外壁と瓦屋根の家々が並ぶ。一面のがれきと化した震源地・ブン川(ぶんせん)県映秀には、約14億元(1元=約13円)が投じられ、統一感のある街並み、記念碑や博物館が整備された。(ブンは、さんずいに「文」のつくり)「震央(震源)記念地」に生まれ変わった「廃虚」は、21日、観光客でにぎわっていた。

 隣の水磨鎮では、震災前に60社あった工場を立ち退かせ、地元の少数民族チャン族の伝統的な街並みを再現した。飲食店や土産物店が軒を連ね、多い日には1万人以上の観光客が訪れる。「何もかも地震前よりよくなった」と、思わぬ復興景気を喜ぶ住民は多い。

 四川省政府によると、公的資金、民間融資など総額8658億元に上る復興事業の約93%が3月までに終了した。被害が特に大きかった18地区については、党中央・政府の指示で、上海、北京など18省市がマンツーマン方式で支援。中央への服従姿勢を示す各地が競って復興に協力した。これまで投入された国費約2200億元に対し、18省市の資金は約780億元に上る。

 「国家と人民が団結したからこそできた」と張通栄・ブン川県長(39)が胸を張る復興は、一党独裁体制の力業でもあった。

 地元女性(59)は「国と党には感謝しないと」と言い、口ごもった。地震で農地を失い清掃員になった。「今の暮らしには慣れない」と漏らしてみても他に選択の余地はない。

最終更新:4月24日(日)15時36分

地震から3年。
廃虚を遺跡という“逆転の発想”もあるんだね。

暗黒の稲妻