登録、通知、確認――ケータイ&スマートフォン向け「災害用伝言板」利用ガイド
+D Mobile 4月22日(金)21時2分配信


ケータイ、PHS、スマートフォンなどさまざまな端末から災害用伝言板を利用できる
 東北地方を中心に襲った東日本大震災は、日本に未曾有の被害をもたらした。今もなお余震が続き、被災地はもとより、直接的な被害の少なかった地域でも不安を抱えながら過ごしている方々は多いだろう。今回の震災を経て、緊急地震速報や災害用伝言板、ワンセグなど、あらためて携帯電話の機能が見直され、注目を集めている。家族の安否を確認したり、ライフラインの途絶えた場所で情報収集をしたりする上で、携帯電話の果たす役割は大きい。本コーナーでは災害時に効率よく、そして正しく携帯電話を活用する方法を紹介したい。第1回では「災害用伝言板」に焦点を当てた。

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●災害用伝言板を利用する意味

 災害が発生すると、被災地やその近隣に住んでいる家族の安否を確認しようとして通話が集中するため、電話回線へのアクセスが通信設備の許容量を超え、つながらなくなる「輻輳(ふくそう)」が発生しやすい。3月11日の震災発生後も、ネットワークのシステムダウンを防ぐためにドコモが最大90%、KDDIが最大95%、ソフトバンクモバイルが最大70%の通信規制(発信規制)を行い、電話発信しにくい状態が続いた。さらに、ドコモは宮城県のみ30%のデータ通信規制を実施。KDDIはCDMA 1X端末に対して発信とデータ通信を規制し、CDMA 1X WIN端末に対しては発信規制がメインで、データ通信規制はほとんど実施しなかった。データ通信ユーザーが多いイー・モバイルは発信規制をいっさい行わず、ウィルコムはPHSから他社網へかける電話のみ、発信規制を実施していた。

 このように、通信事業者は音声通信とデータ通信を個別に規制することができ、今回各社が実施した規制の対象は「発信」がほとんどだった。災害発生時には、パケット通信の回線も混雑するだろうが、メールやブラウザによるデータ通信の方が、通話よりも利用しやすい状況だったといえる。

 多数のユーザーがいっせいに発信することで、救急車や消防車、警察などへの緊急電話さえもつながりにくくなる恐れがあり、最悪の場合、人命にも関わりかねない。災害発生時には極力通話をせず、メールやブラウザを用いて安否情報を確認し合うことを心がけたい。災害用伝言板は、家族や友人と容易に安否情報を共有できるツールであることはもちろんだが、発信が減ることで、携帯電話の音声ネットワークの負荷を抑えることにも貢献する。

●最大10件の安否状況を登録できる

 災害用伝言板は、震度6弱以上の地震など大規模な災害が発生した際に、ケータイから自分の安否を登録し、家族や知人の安否を確認できるサービス。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・モバイル、ウィルコムの5社が提供しており、2011年4月22日現在、いずれのキャリアの端末からも全国から登録できる。「無事です」「被害があります」「自宅に居ます」「避難所に居ます」といった項目を選ぶほか、メッセージを入力することで登録できる。ドコモ、ソフトバンク、ウィルコム端末から登録したメッセージは、1つの災害における伝言板サービスが終了するまで、auとイー・モバイル端末から登録したメッセージは登録から最大744時間(31日間)保存される。ただし、10件を超えるメッセージは古いものから順に上書きされる。

 なお、災害用伝言板へ「登録」するには、利用している携帯キャリアの3GまたはPHSネットワークに接続している必要があり、無線LANや他社のアクセスポイント経由では登録できない(PCや他社ケータイ向けの災害用伝言板サイトから「確認」することは可能)。例えば、ドコモのスマートフォンで災害用伝言板を利用できるのはspモード契約者なので、アクセスポイントを「spmode.ne.jp」に設定しておかないと、伝言板に登録できない。災害発生時は、災害用伝言板にアクセスが集中、パケット通信回線が混雑するなどの影響で、スムーズに登録できない可能性があることは留意しておきたい。ケータイ以外から安否の登録と確認をする方法として、固定電話や公衆電話から利用できる「災害用伝言ダイヤル(171)」と、PCから利用できる「災害用ブロードバンド伝言板(web171)」が提供されていることも覚えておきたい。

●登録された安否情報の「通知」も可能

 安否情報が登録されると、その旨を指定したユーザーにメールで通知する機能(お知らせメール)も用意されている。ドコモとauは最大5件、ソフトバンク、イー・モバイル、ウィルコムは最大10件のメールアドレスを設定できる。安否情報の登録後に、お知らせメールを送るかどうかを聞かれるので、ここから送信を決定すればよい。ドコモ以外の端末は災害用伝言板のトップ画面からもあて先を設定できる。ドコモの災害用伝言板トップページにはお知らせメールの設定が用意されていないので、少々不便だと感じた。また、auのISシリーズではお知らせメールを送信できないので、早期の実装を望みたい。

●他キャリアユーザーの安否も確認できる

 登録された安否情報は、全国から、災害用伝言板の「確認」を選んで電話番号を入力することで確認できる。同キャリアのケータイはもちろん、特定のURLにアクセスすると、他キャリア端末やPCからも安否の確認は可能だ。災害用伝言板は、かつては異なる携帯キャリアの安否は確認できない不便な仕様だったが、2010年3月1日から「全社一括検索」が提供された。これにより、他キャリアユーザーの番号も検索できるようになったので、相手が加入しているキャリアを知らなくても問題ない。例えばドコモの災害用伝言板からソフトバンクユーザーの安否を確認する場合、ソフトバンクの災害用伝言板にアクセスする形で確認できる。

 各キャリアは、他社の端末やPCからアクセスできる災害用伝言板のURLを公開している(以下を参照)が、全社一括検索により、他社ユーザーの安否をケータイから調べる際に、必ずしもURLからアクセスする必要はない。

●ドコモ同士なら“登録のお願い”も可能

 災害用伝言板は、ケータイに慣れ親しんでない人にとってはハードルがまだ高く、電話やメールのように手軽に利用できるツールとは言い難い。そこで便利なのが、ドコモが提供している「登録お願いメール」だ。この機能では、電話番号を入力したものの、被災者が安否情報をまだ登録していない場合、被災者へ登録を依頼するメールを送信できる。受信したメールには災害用伝言板のリンクが案内されているので、ケータイでブラウジングをしない人でも登録しやすいだろう。なお、この機能を利用するには、双方がiモードかspモードに契約している必要がある。

 このほか、ドコモの災害用伝言板には、個別にあて先設定せずにファミリー割引のメンバーにお知らせメールを通知し、電話番号を入力せずに安否情報を閲覧できる機能が用意されている。上記の登録お願いメールとファミリー割引との連携機能は、現時点ではドコモ端末のみで利用できる。他キャリアもぜひ採用してほしい機能だ。

●料金は基本的に無料だが、有料の場合も

 災害用伝言板の利用料金は無料だが、ドコモはiモードかspモード、auはIS NET、EZ WIN、EZwebmultiのいずれか、ソフトバンクはS!ベーシックパックかS!ベーシックパック(i)、イー・モバイルはEMnetに申し込んでおく必要がある。ドコモ、au、ソフトバンクは、3G通信をする際にはこれらISPへの契約が必須なので大きな問題ではないが、イー・モバイルのEMnetは、キャリア独自のサービスが不要なら申し込む必要はないので、災害用伝言板を利用する可能性があるなら申し込んでおきたい。

 安否情報の登録と、同キャリアユーザーの安否確認については、通信料も基本的には発生しない。ただし、他キャリアが提供する災害用伝言板へアクセスして安否を検索、お知らせメールを受信するなどの際には通信料が発生する。auのISシリーズ(IS NET契約者)については、災害用伝言板のどの機能を利用する場合でも通信料が発生する。

●キャリアと端末別 災害用伝言板の利用方法

 災害用伝言板は、当初はケータイ、いわゆる「フィーチャーフォン」向けに提供されており、スマートフォンからは伝言板の閲覧はできるものの、登録はできないことが多かった。しかし今回の震災を受け、ドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルはスマートフォン向けにも災害用伝言板を提供し、現在はほぼすべての端末から登録と閲覧が可能になっている(ドコモのspモード非対応機種やauの「SIRIUS α IS06」「HTC EVO WiMAX ISW11HT」など一部機種を除く)。

 ケータイとドコモ、ソフトバンクのスマートフォンは、各社の公式サイト(iモード、EZweb、Yahoo!ケータイ、ドコモマーケットなど)のトップページから、auのISシリーズとiPhoneは、専用アプリをダウンロードして災害用伝言板を利用する。イー・モバイルとウィルコムについては、スマートフォンとフィーチャーフォンを問わず、専用のWebサイトから災害用伝言板を利用できる。

 以下にキャリアとデバイス別に災害用伝言板の利用方法を紹介するので、参考にしてほしい。4月22日時点では、全キャリアの端末で全国から登録ができるので、まだ使ったことがない人は、今後大規模な災害が再び発生した際に備え、試してみることをお勧めする。

●ドコモユーザー:iモード端末

 iMenuのトップページに「災害用伝言板」のアイコンが表示されるので、ここから利用する。お知らせメールのあて先は、自分の安否情報を登録した後の画面から設定できるが、災害用伝言板のトップページには設定が用意されていない。自分の安否を登録せずにお知らせメールのあて先を設定したければ、iMenu→「お客様サポート」→「各種設定(確認・変更・利用)」→「その他サービス設定・確認」→「災害用伝言板登録お知らせメール設定」にアクセスすればよい。

●ドコモユーザー:スマートフォン(spモード対応機種)

 ドコモマーケットトップページの「災害用伝言板」から利用する。利用できるのは、spモードに契約した機種。「BlackBerry Bold 9700」と「BlackBerry Curve 9300」については、メニューキー→「ダウンロード」→「docomo service portal」→「災害用伝言板」から利用する。

 スマートフォン向けの災害用伝言板も、安否情報の登録後にはお知らせメールのあて先を設定できるが、災害用伝言板のトップページからは設定できない。自分の安否を登録せずにお知らせメールのあて先のみを設定する場合は、ドコモマーケット→「お客様サポート」→「こちら」→「災害用伝言板登録お知らせメール設定」にアクセスし、暗証番号を入力して設定画面にアクセスする。

●auユーザー:EZweb端末

 EZweb(au one)のトップページから「災害用伝言板」を選択して利用する。トップページからもお知らせメールのあて先を設定できるほか、義援金サイトのリンクも用意されている。災害関連情報として、地震や津波など最新の災害情報や、災害時ナビ、バッテリーを長持ちさせる方法なども案内されており、情報収集にも役立つ。

●auユーザー:ISシリーズ

 au one Marketの「災害対策アプリ」から「災害用伝言板」をダウンロードすることで利用できる。2011年4月22日時点での対応機種は「IS01」「IS03」「REGZA Phone IS04」「IS05」。利用には「~ezweb.ne.jp」のメールアドレスを取得しておく必要がある。バッテリーを長持ちさせる方法も案内されている。現時点ではお知らせメール機能と英語表示に対応していないのが欠点だ。

 なお、ISシリーズ向け災害用伝言板は、ポータルサイト「au one」のトップページ→「災害用伝言板 提供中」からも利用できるが、電話番号とメールアドレスを入力する必要があるので、アプリを使った方が楽だ。その他のスマートフォンについては、http://dengon.ezweb.ne.jp/から安否の確認のみできる。

●ソフトバンクユーザー:Yahoo!ケータイ端末

 Y!ボタンを押してYahoo!ケータイのトップページから「災害用伝言板」を選んで利用する。災害用伝言板トップページの「自動Eメール送信設定」からお知らせメールのあて先を設定できるほか、「S!電話帳バックアップ」に保存したアドレス帳から、任意のデータをお知らせメールのあて先にする設定も用意されている。

●ソフトバンクユーザー:スマートフォン(Xシリーズ含む)

 ソフトバンクのスマートフォン向け「Yahoo!Japan」などから「My SoftBank」にログインし、「災害用伝言板」を選んで利用する。UI(ユーザーインタフェース)はケータイ版と同じだが、スマートフォンはS!電話帳バックアップに対応していないので、S!電話帳バックアップとの連携機能は利用できない。

●ソフトバンクユーザー:iPhone

 App Storeから「災害用伝言板」アプリをダウンロードして利用する。UIはスマートフォン版と同様で、トップページからお知らせメールのあて先を設定できる。S!電話帳バックアップとの連携機能は利用できない。

●イー・モバイルユーザー

 EMnetに契約したケータイとスマートフォンが、http://dengon.emnet.ne.jp/ またはWebサイト「EMnetサービス」→「災害用伝言板」から利用できる。EMnetに契約していない端末や、他社ケータイ、PCからも上記のURLから安否の確認は可能。トップページからお知らせメールのあて先を設定できる。

●ウィルコムユーザー

 公式サイト「H"LINK」のトップページに「災害用伝言板」が表示されるので、ここから利用する。http://dengon.clubh.ne.jp からもアクセスできる。「HONEY BEE 4」などの音声端末と、「HYBRID W-ZERO3」などのスマートフォンのどちらからも利用できる。なお、HYBRID W-ZERO3は3GとPHS両方のネットワークでパケット通信できるが、災害用伝言板を利用する場合は、PHS通信に切り替える必要がある。通信方式の切り替えは、HYBRID W-ZERO3用の「3G・PHS切替ツール」を使うと便利だ。

最終更新:4月22日(金)21時59分

こういうのって災害伝言板はキャリアを越えて統一しないと意味が無いんんじゃないのかな。
国民全部がドコモしか使ってないとかいう訳でもないんだし。

暗黒の稲妻