東日本大震災 犬28匹を無償で預かる 訓練所経営の女性
毎日新聞 4月6日(水)10時51分配信


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犬の世話をする斎藤由美さん(右)と鎌田猛さん(左)一家=宮城県気仙沼市で2011年4月3日、畠山哲郎撮影
 大津波で壊滅的な被害を受けた宮城県気仙沼市で、犬の訓練所を経営する斎藤由美さん(52)は犬28匹を無償で預かっている。飼い主が自宅を津波で流されるなどして飼えなくなったペットたちだ。「ペットも家族。寂しい思いをさせたくない」。訓練所に身を寄せている知人の会社員、鎌田猛さん(38)一家とともに、飼い主と離ればなれになった犬の世話をしている。

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 斎藤さんは05年、山間部の同市松崎上金取に訓練所を設け、飼い犬を預かり「トイレトレーニング」などをしている。ボランティア活動にも興味があり、10年3月に市の「防災対策協力企業」に登録、地震があったら被災者の犬を無償で預かることにしていた。

 震災時、訓練所では食器が落下し、コンクリート製の床に幅5センチ、長さ5メートルのひびが入った。「犬をおいて逃げられない」。とどまっていると、客として親交があった鎌田さんの妻、明美さん(41)と長女の愛美(まなみ)さん(15)が犬3匹を連れて軽乗用車でやってきた。

 自宅は床上浸水し水道も電気も使えず、3匹も連れて避難所にも行きづらい--。そんな事情を聞かされた斎藤さんは犬を預かり、一家には訓練所内にあったキャンピングカーに寝泊まりしてもらっている。その後も、犬を預けに来る人が増え、今では鎌田さん一家も世話をしている。

 朝6時に起床し、鎌田さん一家、夫の会社員、勇二さん(52)と5人で分担し、犬を1匹ずつ散歩に連れていき、スキンシップを図る。餌はボランティア団体から寄付された。犬は環境変化のストレスで食べなかったり下痢をしたりすることもあるので、注意深く見守っているという。

 犬がほえるなどして周囲から苦情を言われ、仕方なく避難所を出る被災者も多い。「期限は設けず、自宅を再建するまで世話をさせてもらいます」。斎藤さんは、預かった犬が飼い主とともに暮らせる日が来るのを切に願っている。【畠山哲郎】

最終更新:4月6日(水)10時56分

犬に限らずペットは大事な家族のはず。
早く飼い主の元に戻れる事を願いたい。

暗黒の稲妻