フラガール、復興の旗振る 45年ぶり全国巡業復活へ(1/2ページ)
2011年4月4日15時2分


スパリゾートハワイアンズ・フラガールたちのショー=昨年10月、福島県いわき市常磐藤原町、西堀写す拡大

開業のころ、舞台衣装を着て炭鉱のボタ山のふもとに立つ初代フラガールたち=小野恵美子さん提供拡大

斎藤一彦さん

小野恵美子さん
 炭鉱町の再起を描いた映画「フラガール」の舞台となった福島県いわき市の温泉レジャー施設「スパリゾートハワイアンズ」が、45年ぶりにフラガールたちの全国巡業を復活させる。震災被害と原発事故の「風評被害」に苦しんでいるふるさと。笑顔で、復興への願いを発信する。

 いわき市では3月11日の地震と津波で277人が犠牲になった。施設もガラスが破損するなど4億~5億円の被害が出て、休業している。黄金週間前の部分再開を目指したが、原発事故で見通しは立っていない。

 「風評被害は炭鉱閉山より深刻」と、同施設を運営する「常磐興産」の斎藤一彦社長(66)は話す。市内の炭鉱住宅で育ち、いわき市の盛衰をずっと見てきた。今回の原発事故は、観光業だけでなく、農業や製造業にも大きな被害を及ぼす様相を見せる。昭和30年代以降の石炭離れで町が衰退したときよりも深刻に感じるという。

 同社は1966年、石炭採掘時の副産物だった温泉を生かし、フラダンスショーを盛り込んだレジャー施設「常磐ハワイアンセンター」を炭鉱そばに開業。炭鉱作業員らの娘をダンサーとして育てて人気を集め、地元の危機を乗り越えた。

 開業前、新人ダンサーのチームが宣伝のために全国を巡業し、自らも成長し、地元の人たちを元気づけた経緯は、俳優の蒼井優さんらが演じた映画「フラガール」(2006年)で描かれている。

 再びフラガールに復興の象徴になってほしい――。斎藤社長は、不便な生活を続ける被災者を励まし、福島を苦しめる風評を振り払いたいと考え、あの当時の全国巡業を復活させることにした。復興の状況を見ながら、巡業を始める時期や訪れる場所を決める。なるべく広く巡りたいという。

 「炭鉱には『一山一家』という言葉があった。事故などにも力を合わせて立ち向かってきたDNAがわれわれにはある」と斎藤社長は言う。「私たちとハワイアンズが生まれた今の場所を必ず再興させてみせる」(西堀岳路)

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 元フラガールたちも立ち上がっている。

 映画で蒼井さんが演じた初代フラガールのモデル、小野恵美子さん(67)は、いわき市内でダンス教師をしている。

 小野さんは、同じく初代フラガールで、いまは市内で飲食店を営む湯座よし子さん(63)らと協力して実行委員会をつくり、3月23日に全国の高校生を集めた初の競技大会「第1回フラガールズ甲子園」を開く予定だった。

 県内外の13校が参加を表明し、湯座さんの指導で練習を重ねてきたが、震災で開催の見通しが立たなくなった。元フラガールたちは落ち込んだが、関西からの参加予定者たちは、すぐに地元で募金活動を始めてくれた。

 それを見た小野さんたちは、地元の復興の様子を見つつ、今夏にも大会を開くことを決意した。「廃れる炭鉱町を『ハワイアンズ』が救い、いわきは復興した。今度はフラガールズ甲子園が、復興の足がかりとして恩返しする番です」。小野さんはそう意気込んでいる。(矢崎慶一)

実は映画も舞台も見にいってけど、映画見たくまた頑張ってください。

暗黒の稲妻