探査機がテンペル第1彗星に接近
ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト 2月15日(火)20時6分配信
写真を拡大

テンペル第1彗星からまぶしい煙が上がっている。2005年、ディープインパクトのインパクター(衝突体)が命中した瞬間だ。
(Image courtesy NASA/UMD)
 NASAは氷の彗星と宇宙探査機のバレンタインデートを設定していた。地球から3億3600万キロ先でのこの縁結びは成就し、米東部標準時14日午後11時39分(日本時間15日午後1時39分)、両者は最接近を果たした。

 テンペル第1彗星と宇宙探査機は、深い付き合いで知られている。2005年には、NASAのディープインパクトが接近、氷の天体の核にインパクター(衝突体)を撃ち込んで破片を舞い上がらせた。証拠の写真を山ほど激写したディープインパクトは、次のランデブーに向けてスピードを上げて立ち去った。

 直径6キロのテンペル第1彗星にとって、“初恋”を忘れる時間は十分だったに違いない。ディープインパクトの衝撃から既に太陽を1周している。

 そして14日夜、テンペル第1彗星は新しいダンスパートナーとのデートを迎えた。お相手はNASAの宇宙探査機スターダストで、事務机ほどの大きさだ。これによって太陽を周回する間に彗星の表情がどう変わったかを確かめることができる。

 スターダストの調査に携わるピーター・H・シュルツ氏は、「太陽を1周した彗星の核に何が起きているかをまず知りたい」と話す。同氏はアメリカ、ロードアイランド州にあるブラウン大学で宇宙地質学を研究している。「新しい地物や氷などによって地形は変わっているのか。今回のミッションは初めてのチャンスだ」。

 スターダストとテンペル第1彗星は181キロまで接近した。その際、スターダストは高解像度の写真を72枚撮り、周囲のちりの密度や組成を調査している。

 もしシュルツ氏らの計算が正しければ、5年半前にディープインパクトが作ったクレーターも撮影されている可能性がある。これも科学の歴史上で初となる。

 アメリカ、シアトルにあるワシントン大学の天文学者で、スターダストのチームに参加するドン・ブラウンリー氏は、「2005年のミッションでは衝突によって彗星の破片が“浮遊”し、クレーターそのものを撮影できなかった」と話す。

「クレーター、さらにはディープインパクトの接近後に起きた変化を是が非でも写真に収めたい。また彗星全体、特に前回の接近では陰になっていた部分の立体画像も手に入れるつもりだ」。

 14日夜のデートはスターダストにとっても、彗星と寄り添う初めての経験ではない。12年前から太陽系を動き回っているからだ。

 2004年、スターダストはビルト第2彗星の試料を採取した。そして2006年、地球に接近通過する際に試料が入ったカプセルを投下している。彗星の破片を地球に届けた探査機はスターダストが初めてだ。

 しかし、今回の接近はおそらく、勇敢なスターダストにとって最後の彗星とのデートになるだろう。推進剤が底をついて近々、ソーラーパネルを太陽に向けて充電できなくなるからだ。バッテリーが空になっても、年老いたスターダストは静かに太陽を周回し続ける。しかしそれも、大きな天体との重力相互作用により軌道が変わるまでだ。

「調査対象である彗星たちと同じ運命をたどるだろう。つまり、木星との相互作用によって軌道が変わり、太陽の影響圏から脱出することになる」とブラウンリー氏は予測する。「いったん太陽系から出たら、きっと数十億年は生き永らえる。その前に地球は無くなってしまうかもしれない」。

Andrew Fazekas for National Geographic News

最終更新:2月15日(火)20時6分

こういう記事は天文ファンにはたまらん記事だなぁ。
しかし軌道を外れた後の行方も気になるのではあるが。

暗黒の稲妻
BGM:ジョナサン・ケイン キーボード・ソロ(Byジャーニー)