「七三歩き」「こぶし腰うかせ」 江戸に学ぶエコとマナー
産経新聞 2月6日(日)14時27分配信


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喫煙のマナ-を感じさせる「東都四季名所尽 隅田川橋場之渡」=二代歌川広重、三代歌川豊国、文久2(1862)年(写真:産経新聞)
 天下太平が2世紀半以上も続いた江戸期。市民は戦乱に怯えることもなく、各地では流通が進み、経済活動が活発となる一方、江戸では生活習慣や文化を次々と発達させた。山形県天童市の広重美術館で開かれている「江戸を学ぶ」展では、現代でも見習いたいエコ社会や、思いやり文化が浮世絵を通して浮かび上がってくる。

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 江戸時代は衣食住に「エコ」が溢(あふ)れていたようだ。

 町民が着ていたのは主に麻で、原料の大麻は育ちが早く、値段も安いという利点があった。町民は大麻の茎の繊維を「砧(きぬた)うち」といわれる手法で水に浸しながら棒でたたき、柔軟性とつやをもたせた。

 機織りした着物は古くなると仕立て直し、別の着物に蘇らせた。さらに古くなると江戸期に流行(はや)った回収業者(古着屋)が集め、雑巾やおむつに替え、その後は燃料として使った。

 コメは食料としてはもちろん、わらの部分はむしろや俵、壁材などに利用し、使えなくなったら燃料として再利用していた。もちろん、灰や町民の排泄物は田んぼで肥料に返し、循環化していた。

 食事中の方には少し申し訳ないが、町民たちの大便も大切な資源だった。農民は町民たちの大便をお金や野菜と交換し、畑や水田に肥料としてまいていた。江戸っ子はグルメだったので、大便も品質がよかったそうだ。

 広重美術館の土屋明日香学芸員は「電気も石油もないなか、最小限の資源で流れに逆らうこともなく、自然とともに生きていた。今を生きるヒントは、この循環型社会にあるのではないか」と話している。

 100万都市だった江戸は、高い人口密度をカバーするマナーも発達していった。

 【会釈のまなざし】見ず知らずの人でも、すれ違う際は目を合わせ、さりげなくあいさつした。「その場が和み、独りよがりでは生きていけないことが自然と身についたのではないか」(土屋学芸員)

 【七三歩きのしぐさ】町民が道路を通るときは、道の左側の三分を通った。残りの七分は公道で、火事の火消しや病人の搬送などの緊急用に空けておいたという。

 【傘かしげ】雨の日に狭い路地をすれ違うとき、お互いに反対側に傘を傾けた。

 【喫煙しぐさ】江戸時代の喫煙率は、一説には98%もあったという。大半の町民が吸う計算だが、(1)歩きながら吸わない(2)灰皿がない場所では吸わない(3)相手が吸わない場合は吸わない-という暗黙のルールがあった。

 【こぶし腰うかせ】今でも、満員電車で荷物を座席に置いたまま知らんぷりの乗客は珍しくない。江戸期は渡し船などの公共交通機関に乗る際は、少しでも多くの人が座れるように、こぶしで腰を浮かせ、譲ったという。

 土屋学芸委員は「何も言わなくても、自然にできるのが粋な江戸っ子だったようです」と話す。現代にも十分通用するマナーである。「江戸に学ぶ」展は27日まで。

最終更新:2月6日(日)17時2分

何となくこの記事が昔の江戸時代を賛美してるだけという風にも思えてしまうのだが、昔の人から学ぶ事もあるしね。
まぁマナーとして学ぶべきモノもあるだろうね。

暗黒の稲妻
BGM:ロッカ・ローラ(Byジューダス・プリースト)