デング熱 大流行の兆し 東南アジアで死者数拡大
毎日新聞 9月16日(木)11時35分配信


拡大写真
200人近くのデング熱の患者が診察を待つサンラサロ公立病院の待合室=マニラ首都圏マニラ市で、矢野純一撮影
 【マニラ矢野純一】東南アジアでデング熱が大流行の兆しを見せている。フィリピン、ラオスではすでに感染者数、死者数とも昨年1年間の数を超えた。大流行の原因は明らかではなく、旅先で感染する日本人感染者も増えている。

 世界保健機関(WHO)西太平洋事務局によると、8月下旬時点で、フィリピンでは感染者6万2503人、死者数465人で最も拡大している。次いで、マレーシアが感染者3万1529人、死者数101人。マレーシア、シンガポールもすでに、昨年1年間の感染者数に迫っている。

 また、感染地域から日本に帰国した旅行者が国内で発症するケースも増え、国立感染症研究所によると、8月末時点で、感染者は126人。昨年の感染者数92人をすでに超えた。

 フィリピンでは、都市部の貧困地域での発生が目立つ。保健省は国内290地区を指定して警戒するよう指示する一方、週末も病院を開き、デング熱専門の窓口を開設するよう要請している。マニラ首都圏のサンラサロ公立病院では、連日200人以上の患者が順番待ちをしている。待合室にいた50歳代の男性は熱で目を真っ赤にしながら、「2時間以上も待っている。いつになれば、診てもらえるのか」と、弱々しい声で話した。

 フィリピン熱帯医学研究所(モンテンルパ市)で、感染症の共同研究を行っている東北大大学院の斎藤麻理子助教(微生物学)は感染者数の急増について、「蚊など節足動物を媒介とする感染症は、気候など環境の要因を受けやすく、地球温暖化が流行の一因とする研究もあるが、現段階では断定はできない」と説明している。

 【ことば】デング熱

 ネッタイシマカやヒトスジシマカを媒介とし、感染後、3日から1週間で発症。高熱が続き全身がだるくなる。血小板が減少し、消化管から出血する場合もある。適切な治療を行えば致死率は数%以下といわれる。デングウイルスの型は4種。ひとつの型に感染すると免疫ができるが、他の型には再感染する。再感染の場合、重症化しやすいといわれる。

最終更新:9月16日(木)11時45分

テング熱に関してWikipediaによると
デングウイルス

デングウイルス
寄り集まった小さな黒丸に見える。
分類(ウイルス)
群 : 第4群(1本鎖RNA +鎖)
科 : フラビウイルス科
属 : フラビウイルス属


デング熱の発生域(赤) ネッタイシマカの生息域(橙)も併せて描いた(2000年時点)
デング熱(デングねつ、dengue fever)は、デングウイルス(dengue virus)による感染症。英語ではその強い痛みから「break bone fever」とも呼ばれる。
ネッタイシマカ(Aedes aegypti)やヒトスジシマカ(Aedes albopictus)などの蚊によって媒介される。ただしヒトスジシマカにとってヒトは主な吸血対象ではなく、デング熱の媒介はまれである。
「テング熱」、あるいは当て字して「天狗熱」と記されることがあるが、これらは誤りである。英語での発音は「デング」ではなく「デンギ」もしくは「デンゲイ」で、日本語でもまれにデンゲ熱と呼ぶ。

症状
潜伏期間は4日から7日。発症時は悪寒を伴って急に高熱を出すが、3日程で急に37度あたりまで解熱、1日おいて39度あたりまで上昇し、2日程で再び急に解熱というようなM字型の熱型を示すことが多い。
他に頭痛、眼窩痛、筋肉痛、関節痛が現れる。食欲不振、腹痛、便秘を伴うこともある。発症後3~4日後より胸部から非特異性の発疹が出現し、四肢、顔面へ広がる。四肢にかゆみを伴うことが多い。こういった症状は通常3~7日程度で消失し、回復する。致命率は0.01~0.03%である。
しかし再感染した場合にはデング出血熱となって、口、目、鼻などの粘膜から大量に出血したり、また血管壁透過性の亢進による循環血漿量低下がショックを引き起こすデングショック症候群という病型となり、この場合の致命率は3~6%になる。

治療
治療は、対症療法薬と輸液である。
低用量アスピリンは抗血小板作用があるため、アスピリンパラドックスに精通した医師のみが用いるべきである。
アセトアミノフェンもまた、その有効性・安全性は不明なので十分に経験のある医師のみが用いるべきである。

各地のケース
日本での流行
日本でも第二次世界大戦中、戦地から持ち帰られたウイルスが、日本にも生息するヒトスジシマカによって媒介され、長崎市、佐世保市、広島市、神戸市、大阪市など西日本で流行し20万人が発病したことがある。その後、日本国内での流行は無いが、海外からの輸入症例(海外で感染してデング熱を発症する症例)は、毎年数十例(2005年は73症例)報告されている。

東南アジアでの発症例
かつては東南アジアのみで発症とされてきた風土病であるという説がある。しかし、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)によれば、記録されている中で、最初の流行は、1779年から1780年にかけて、アジア、アフリカ、北アメリカで起こったそうだ。また、少なくとも、1922年(大正11年)頃は、台湾や東南アジアで、たびたび、流行していた。例えば、1915年(大正4年)5月~10月に、台湾全土で流行した。もっとも、台湾軍内では、141名(治療日数:1369日)と、一般住民と比較して、比較的少数の罹患だった。また、東南アジアなどの熱帯地方に熱帯地方以外の居住者が転居すると、大多数が本病に罹患する、と当時の台湾に赴任する軍医向けの医学書に書かれていた。中華人民共和国南部の温暖な一部の地域や台湾(中華民国)での感染が報告されている。また最近では2007年10月、台湾(中華民国)南部の台南市において511人の感染が報告されたほか、2010年9月には、フィリピン、マレーシア、シンガポール、ラオスなどで、それぞれ数万人規模の感染が報告され、拡大の恐れが出ている。
これら東アジア諸国での発症の原因の一つには地球温暖化が考えられているが、台湾南部では清朝統治時代にもマラリアとともにデング熱は発生しているので、台湾に関しては気候が一部熱帯気候であることも大きい発生誘因である。

ハワイ
ハワイでは1950年代にネッタイシマカが根絶されてデング熱も撲滅されたと思われていたが、2001年9月からマウイ島で、タヒチから移入されたデング熱がヒトスジシマカによる流行を起こし、100人あまりが感染した。運悪く9・11同時多発テロによる航空規制と重なり、本土のCDCへのサンプル移送が妨げられるなどの問題が起こった。またテロの影響とあわせ、島の観光産業は大きな痛手を受けた。

カンボジア
カンボジア国内においては、内陸部に少なく、海岸沿いでの感染が多いようである。しかし、2007年雨季(カンボジアでは大体4月末から10月末)にはアンコール遺跡観光拠点の町シェムリアプで主に子どもを中心として流行が認められた。シェムリアプは急速に都市化しており排水事情がそれに比して整備されていないため、蚊の発生が多く、今後も流行には注意が必要である。

関連項目
World Community Grid :新薬開発の為の分散コンピューティング

参考文献
・湾軍軍医部編『熱帯衛生並ニ熱帯病提要』。1922年(大正11年)12月25日出版(2008年3月6日現在、国立国会図書館『近代デジタルライブラリー』で閲覧可能)

外部リンク
長崎大学-熱帯医学研究所
地球温暖化に伴う蚊媒介性疾患の分布拡大の可能性について 津田良夫
国立感染症研究所 ウイルス第一部第2室
  ・虫除け剤の安全な使い方
症状や発生地域 仙台検疫所
Dengue Virus Net Information site for dengue symptoms, prevention, treatment, vaccine research and outbreak news.
・CDC. “Dengue Fever Fact Sheet – CDC Division of Vector-Borne Infections Diseases(DVBID)” (英語). 2008年3月8日閲覧。
東京大学医科学研究所附属病院感染免疫内科ホームページ

注:文中のリンクは省略してあります。
(Wikipedia テング熱より転載:フリー百科辞典)

去年は新型インフルエンザで、冬になる前から大騒ぎで死者も出て大変だったが、今度はデング熱の心配をしなきゃいけないのかな。
フィリピン、ラオスでは感染者数と死者数も 去年よりも多いそうです。
旅先で感染する人も出て来てるだけに注意が必要だが、海外に旅行する人はくれぐれもご注意を。

暗黒の稲妻
BGM:長い猫(By井上陽水)