バイオ燃料、先走る期待 国「200万キロリットル」調達に懸念
5月12日8時16分配信 フジサンケイ ビジネスアイ
植物由来の燃料、バイオエタノールを混合したバイオガソリンが今春から、地球温暖化対策の一環として本格的に流通し始めた。政府が今年度の目標に掲げるバイオエタノールの普及量のうち、石油業界が4割強の36万キロリットルを受け持つためだ。政府は目標を今後さらに引き上げる構えだが、大半を輸入に頼っていることから調達できる量には限りがあり、コストもかさむとあって、課題山積ともいえる多難な前途が待ち構えている。
◆一気に販売量4倍
「バイオガソリン取扱店」-。ドライバーにアピールする水色ののぼりが、都市部などのガソリンスタンドで見られるようになった。新日本石油系列は東京、神奈川など関東の約1000店舗。全国の系列店の約1割にあたり、今年度末までに倍増させる計画だ。コスモ石油系列は関東、関西の計410店舗。こちらも系列店の1割強を占めており、さらに拡大していく。
一方、販売店を固定しないのは出光興産やエクソンモービル系。バイオガソリンとうたうには1%以上の混合が必要だが、「流通や工程の効率化で1%以上を確保できないケースもある」(出光)ためという。
バイオガソリンは2007年度に全国の50店舗で試験販売が始まり、順次拡大。販売量も徐々に増え、今年度は前年実績の4倍強へと一気に伸びる。
通常のガソリンと比べて「性能は変わらない」(元売り各社)こともあり、店頭ではドライバーの反応は「環境に優しい」とおおむね好評という。
もっとも、バイオガソリンには1リットル当たり20~30銭のコストがかかるとされる。バイオエタノールをそのまま混入すると、揮発性が高まって光化学スモッグを誘引しやすくなる恐れがあり、石油の成分の一つであるブタンと混合しガソリンになじみやすいようにしているからだ。
ただ、ガソリンは販売競争が激しく、価格に転嫁しにくいため、コストは各社の持ち出しだ。バイオエタノール36万キロリットルは原油に換算すると21万キロリットルで、国内で年5500万キロリットル程度にのぼるガソリン需要の約0.4%に過ぎないが、石油需要の減退で収益が悪化する中、コスト削減に取り組む各社はこれ以上の負担を避けたいのが本音だ。
しかし、政府が策定を進める地球温暖化の中長期ロードマップでは、20年までにエタノールを含むバイオ燃料を原油換算で200万キロリットル導入するという目標も議論の俎上(そじょう)にあがっている。
石油業界関係者は「ほかに引き受けられる業界はなく、積み上げの大部分を求められるのは確実」と身構える。石油連盟は、政府による財政支援と安定供給の確保などを条件に「50万キロリットルを上限に最大限協力していく」と牽制(けんせい)している。
◆国産5万キロリットル程度
ただ、バイオエタノールの量を増やしながら安定的に調達するのは容易ではない。OECD(経済協力開発機構)とFAO(国連食糧農業機関)によると、バイオエタノール輸出は、ブラジルがほとんどを担う。ブラジルから09年に輸出された約400万キロリットル(推定)のほぼ全量は日本と米国、欧州連合(EU、加盟27カ国)が2対3対4程度の比率で輸入している。
ブラジルの輸出量は18年には約1163万キロリットルに増える見通しだが、一方で米国が輸入を急増させ、日米欧全体の3分の2を占めると予想されており、日本の調達増に支障が出る恐れは強い。日本国内で生産可能とされるのは年5万キロリットル程度。目標引き上げにはバイオエタノールの確保が欠かせないのが実態だ。(粂博之)
最終更新:5月12日8時16分
Wikipediaのバイオ燃料の項目に記述があったので載せておこう。
課題
バイオ燃料が普及する、あるいは増産するに当たり、以下の課題が存在している。
・上記の通り、バイオ燃料は植物を利用する(有力なのがサトウキビ、小麦、トウモロコシ等である)。大量に増産するには当然ながら作物が大量に必要となるが、特に政策などで推奨するなどしない限り、作物の耕作面積が急速に増えることはありえない。そのため、現在の生産量の中から穀物を利用することになるわけだが、全体的な生産量が上がっていない状態で需要だけが伸びることにより、穀物の値段の高騰を引き起こしており、供給が不足するのではないかという懸念がある。また、バイオ燃料に使用される作物への転作が行われることで、バイオ燃料としては不向きな作物も高騰、不足に陥る可能性がある。特に日本の場合、食料自給率は40%程度(カロリーベース)であり、燃料に回す分があるのかという指摘もある。食用作物以外での生産技術の開発が望まれている。
・結果的に、日本は輸入穀物の価格の高騰による影響を受けている。実際、2007年の後半から特に穀物を使うマヨネーズ、食用油、肉製品、カップ麺、お菓子などの日用品について、原材料の価格高騰によりメーカー側が値上げを発表するなど、徐々にその影響が出始めている。
・2007年4月現在は自動車用のガソリンとしてのみの利用であり、また、暖房など、他の分野でも応用できないこと等を考えるとまだまだ発展途上の段階であると言える。
・現在のところ、生産コストがガソリンのそれよりも幾分高く、日本の税制上、ガソリンと同じ扱いを受けるため、販売価格が高くなってしまう。2007年4月からの試験販売では、ガソリンとの差額分を経済産業省、石油連盟が負担している。
・バイオ燃料そのものはCO2排出量は減る[1]と言われているが、生産プラントの建設や、生産、輸送(2007年7月現在、日本で販売されているバイオ燃料はフランスから輸入されているものである)の各段階でどれほど燃料が消費され、CO2が排出されるか、実際に大量に生産を始めてみなければ分からない。プラント建設、あるいはバイオ燃料の元となる穀物を栽培する用地確保の為に森林を伐採するのでは元も子もなくなってしまう等、生産から使用までトータルで計ると環境に悪影響を及ぼすのであれば意味がないとする意見もある。ただし穀物用の畑については現在各地で農家の引退や生産者の不足などを理由に土地が余っている傾向にあり、宮城県登米市ではバイオ燃料用に休耕田で多収穫米試験栽培が始まっており、コストダウンが最大の課題だという[7][8]。
・バイオ燃料はその特性上、熱に弱く、一定温度以上の場所に置いておくと酸化されてしまう性質がある。ゆえに保存場所や容器等を選ぶ側面があるため、自動車や飛行機等の燃料として利用する場合、燃料タンクの改良が必要になる可能性もある。これらの問題もバイオ燃料の生産コストを引き上げる要因となっており、大量生産に繋げる為にはハード面の技術革新も同時並行で進める必要がある。また将来的に採算性がとれるかどうかは実際にやってみないことには分からない為、進化した先の未来像を予測することは困難である。
・一般の燃料に比べ亜酸化窒素(N2O)の放出量が2倍である。N2OはCO2の約310倍の温室効果を持つため、地球温暖化を防止するどころか、かえって地球温暖化を促進させるのではないかとパウル・クルッツェン博士などが指摘している[9][10]。
・地球温暖化は複数種の温室効果ガスが引き起こしているという面がある。その為、CO2だけを削減したとしても結果的にそれが問題の解決に繋がるかと言えば、必ずしもそうとは言えない実情がある。よって、バイオ燃料に頼るだけでなく、総合的な温室効果ガスの削減が実現できなければ、地球温暖化問題の根本的な解決に繋がらない恐れがある。
(Wikipedia バイオ燃料より一部抜粋して転載 フリー百科事典)
期待は高まるがまだ需要がそこ迄追いついていないんだろうねぇ。
この文中にあるようにエコで始めた取り組みが帰って地球温暖化を促進してしまってはまるっきり意味が無いのは言う迄もない事だが、そのための取り組みと研究が急がれるのかもしれない。
暗黒の稲妻
BGM:Raise the Dead [*][Demo Version](ByVenom)
5月12日8時16分配信 フジサンケイ ビジネスアイ
植物由来の燃料、バイオエタノールを混合したバイオガソリンが今春から、地球温暖化対策の一環として本格的に流通し始めた。政府が今年度の目標に掲げるバイオエタノールの普及量のうち、石油業界が4割強の36万キロリットルを受け持つためだ。政府は目標を今後さらに引き上げる構えだが、大半を輸入に頼っていることから調達できる量には限りがあり、コストもかさむとあって、課題山積ともいえる多難な前途が待ち構えている。
◆一気に販売量4倍
「バイオガソリン取扱店」-。ドライバーにアピールする水色ののぼりが、都市部などのガソリンスタンドで見られるようになった。新日本石油系列は東京、神奈川など関東の約1000店舗。全国の系列店の約1割にあたり、今年度末までに倍増させる計画だ。コスモ石油系列は関東、関西の計410店舗。こちらも系列店の1割強を占めており、さらに拡大していく。
一方、販売店を固定しないのは出光興産やエクソンモービル系。バイオガソリンとうたうには1%以上の混合が必要だが、「流通や工程の効率化で1%以上を確保できないケースもある」(出光)ためという。
バイオガソリンは2007年度に全国の50店舗で試験販売が始まり、順次拡大。販売量も徐々に増え、今年度は前年実績の4倍強へと一気に伸びる。
通常のガソリンと比べて「性能は変わらない」(元売り各社)こともあり、店頭ではドライバーの反応は「環境に優しい」とおおむね好評という。
もっとも、バイオガソリンには1リットル当たり20~30銭のコストがかかるとされる。バイオエタノールをそのまま混入すると、揮発性が高まって光化学スモッグを誘引しやすくなる恐れがあり、石油の成分の一つであるブタンと混合しガソリンになじみやすいようにしているからだ。
ただ、ガソリンは販売競争が激しく、価格に転嫁しにくいため、コストは各社の持ち出しだ。バイオエタノール36万キロリットルは原油に換算すると21万キロリットルで、国内で年5500万キロリットル程度にのぼるガソリン需要の約0.4%に過ぎないが、石油需要の減退で収益が悪化する中、コスト削減に取り組む各社はこれ以上の負担を避けたいのが本音だ。
しかし、政府が策定を進める地球温暖化の中長期ロードマップでは、20年までにエタノールを含むバイオ燃料を原油換算で200万キロリットル導入するという目標も議論の俎上(そじょう)にあがっている。
石油業界関係者は「ほかに引き受けられる業界はなく、積み上げの大部分を求められるのは確実」と身構える。石油連盟は、政府による財政支援と安定供給の確保などを条件に「50万キロリットルを上限に最大限協力していく」と牽制(けんせい)している。
◆国産5万キロリットル程度
ただ、バイオエタノールの量を増やしながら安定的に調達するのは容易ではない。OECD(経済協力開発機構)とFAO(国連食糧農業機関)によると、バイオエタノール輸出は、ブラジルがほとんどを担う。ブラジルから09年に輸出された約400万キロリットル(推定)のほぼ全量は日本と米国、欧州連合(EU、加盟27カ国)が2対3対4程度の比率で輸入している。
ブラジルの輸出量は18年には約1163万キロリットルに増える見通しだが、一方で米国が輸入を急増させ、日米欧全体の3分の2を占めると予想されており、日本の調達増に支障が出る恐れは強い。日本国内で生産可能とされるのは年5万キロリットル程度。目標引き上げにはバイオエタノールの確保が欠かせないのが実態だ。(粂博之)
最終更新:5月12日8時16分
Wikipediaのバイオ燃料の項目に記述があったので載せておこう。
課題
バイオ燃料が普及する、あるいは増産するに当たり、以下の課題が存在している。
・上記の通り、バイオ燃料は植物を利用する(有力なのがサトウキビ、小麦、トウモロコシ等である)。大量に増産するには当然ながら作物が大量に必要となるが、特に政策などで推奨するなどしない限り、作物の耕作面積が急速に増えることはありえない。そのため、現在の生産量の中から穀物を利用することになるわけだが、全体的な生産量が上がっていない状態で需要だけが伸びることにより、穀物の値段の高騰を引き起こしており、供給が不足するのではないかという懸念がある。また、バイオ燃料に使用される作物への転作が行われることで、バイオ燃料としては不向きな作物も高騰、不足に陥る可能性がある。特に日本の場合、食料自給率は40%程度(カロリーベース)であり、燃料に回す分があるのかという指摘もある。食用作物以外での生産技術の開発が望まれている。
・結果的に、日本は輸入穀物の価格の高騰による影響を受けている。実際、2007年の後半から特に穀物を使うマヨネーズ、食用油、肉製品、カップ麺、お菓子などの日用品について、原材料の価格高騰によりメーカー側が値上げを発表するなど、徐々にその影響が出始めている。
・2007年4月現在は自動車用のガソリンとしてのみの利用であり、また、暖房など、他の分野でも応用できないこと等を考えるとまだまだ発展途上の段階であると言える。
・現在のところ、生産コストがガソリンのそれよりも幾分高く、日本の税制上、ガソリンと同じ扱いを受けるため、販売価格が高くなってしまう。2007年4月からの試験販売では、ガソリンとの差額分を経済産業省、石油連盟が負担している。
・バイオ燃料そのものはCO2排出量は減る[1]と言われているが、生産プラントの建設や、生産、輸送(2007年7月現在、日本で販売されているバイオ燃料はフランスから輸入されているものである)の各段階でどれほど燃料が消費され、CO2が排出されるか、実際に大量に生産を始めてみなければ分からない。プラント建設、あるいはバイオ燃料の元となる穀物を栽培する用地確保の為に森林を伐採するのでは元も子もなくなってしまう等、生産から使用までトータルで計ると環境に悪影響を及ぼすのであれば意味がないとする意見もある。ただし穀物用の畑については現在各地で農家の引退や生産者の不足などを理由に土地が余っている傾向にあり、宮城県登米市ではバイオ燃料用に休耕田で多収穫米試験栽培が始まっており、コストダウンが最大の課題だという[7][8]。
・バイオ燃料はその特性上、熱に弱く、一定温度以上の場所に置いておくと酸化されてしまう性質がある。ゆえに保存場所や容器等を選ぶ側面があるため、自動車や飛行機等の燃料として利用する場合、燃料タンクの改良が必要になる可能性もある。これらの問題もバイオ燃料の生産コストを引き上げる要因となっており、大量生産に繋げる為にはハード面の技術革新も同時並行で進める必要がある。また将来的に採算性がとれるかどうかは実際にやってみないことには分からない為、進化した先の未来像を予測することは困難である。
・一般の燃料に比べ亜酸化窒素(N2O)の放出量が2倍である。N2OはCO2の約310倍の温室効果を持つため、地球温暖化を防止するどころか、かえって地球温暖化を促進させるのではないかとパウル・クルッツェン博士などが指摘している[9][10]。
・地球温暖化は複数種の温室効果ガスが引き起こしているという面がある。その為、CO2だけを削減したとしても結果的にそれが問題の解決に繋がるかと言えば、必ずしもそうとは言えない実情がある。よって、バイオ燃料に頼るだけでなく、総合的な温室効果ガスの削減が実現できなければ、地球温暖化問題の根本的な解決に繋がらない恐れがある。
(Wikipedia バイオ燃料より一部抜粋して転載 フリー百科事典)
期待は高まるがまだ需要がそこ迄追いついていないんだろうねぇ。
この文中にあるようにエコで始めた取り組みが帰って地球温暖化を促進してしまってはまるっきり意味が無いのは言う迄もない事だが、そのための取り組みと研究が急がれるのかもしれない。
暗黒の稲妻
BGM:Raise the Dead [*][Demo Version](ByVenom)