八郎湖水質改善なるか 大潟村“本腰”水路流動化など提言 秋田
4月7日7時56分配信 産経新聞

 秋田県の八郎湖の水質改善策について「水質改善大潟村会議」(会長・高橋浩人村長)が先月6日、水路の流動化促進と調整池の水の入れ替えを柱とする提言を打ち出した。これまで県が主体となって進めてきた水質改善だが、村がより積極的にかかわることで、新たなステージを迎えつつある。平成18年度に全国ワースト3を記録した八郎潟の水質は改善されつつあるのか。官民のさまざまな取り組みを紹介する。(原圭介)

 村会議の提言では、流れが悪く、水質の改善がなかなか進まない潟西側の「西部承水路」の水を4つの取水口から水路に引き込んで、「中央幹線排水路」に流すようにする。流れる水は、途中で湿地帯や、アシなど水生植物が生える場所を通過することで浄化される仕組みだ。

 さらに、南部の「調整池」の防潮水門付近と馬踏(ばぶみ)川付近にたまった泥を掘り、掘った泥を深い部分に埋め立てて池の深さをならすことで、流れを良くし、汚れた水やアオコの発生を抑えるのがねらい。県は提言について「関係市町村が具体的に取り組むのは大変いいこと」(佐々木次郎・八郎湖環境対策室長)と歓迎している。八郎湖の水質汚染の要因にかかわっているのは、大潟村内の田んぼが4分の1。ほかの4分の3は、周辺の農地や市街地、山林などから流れ込む物質が汚染原因。

 今回、大潟村が提言を打ちだすことで、周辺市町村への協力をアピールすることにつながる。ただ、提言を実現させるには、かなりの財源が必要だ。とくに調整池の浚渫(しゅんせつ)と埋め立てには100億円規模の費用が見込まれる。大潟村は、会議に学識経験者らを加えた「推進会議」に組織強化し、今後、県や国へ支援を求めていくことにしている。

 県が20年3月に策定した第1期の「八郎湖にかかる湖沼水質保全計画」(19~24年度)は進んでいるのだろうか。県八郎湖環境対策室によると20年度末で、1リットル中のCOD(化学的酸素要求量)は平均6・8ミリグラム(18年度8・8ミリグラム)と改善し、順位もワースト15位まで浮上。21年度末の数値は、速報値で6・8ミリグラムと横ばいだ。主な対策は、下水道整備▽農業集落排水施設、合併浄化槽の高度処理化▽工場・事業場の排水規制▽水生植物など湖岸の自然保護▽農業濁水の減量化▽ブラックバスなど未利用魚の捕獲・肥料化-などだが、農業濁水の減量化では、水田農家の協力がカギになる。

 大潟村が提言を発表した3月6日には、シンポジウムが開かれ、大学関係者やNPO法人(特定非営利活動法人)、自然保護団体の取り組みが発表された。

 とくに興味深かったのは、濁水流出を抑える農法「無代かき栽培」の研究。発表した秋田県立大学の金田吉弘教授によれば、大潟村の土壌は粘土質が強く、代かきで田んぼをかき回すと、細かくなった粘土が反発し合い、濁りがいつまでも続く。また、粘土の粒子が表面に水をつけるために、イネが水を吸いにくくなり成長に悪影響が出るそうで、無代かき農法は「環境にも経営にもメリットがある」と説明した。ほかにも、「大潟の自然を愛する会」の堤朗代表、「コガムシの会」の今野克久会長、NPO法人「アサザ基金」の安保満貴氏が、八郎湖の多彩な生態と保護活動について報告した。

 基調講演した東京大学大学院工学系研究科・水環境制御研究センターの古米(ふるまい)弘明教授は、これからの水質改善に向けての取り組みについて「汚染の実態を把握するモニタリング、実際にやってみるモデリング、これを土台にした規制、管理のマネジメントが大切。そのためには、わかりやすい情報を発信して、流域の民の参加意識を高める必要がある」と締めくくった。

 「流域の民」の参加意識が高まる環境は少しずつ整いつつあるようだ。

最終更新:4月7日13時39分

水質汚染の形態は色々あるとは思うが人間の意識の改革も必要な時代になりつつあるのは確かだと思うのだが。

暗黒の稲妻
BGM:赤い砂漠の伝説(By島谷ひとみ)
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