菅財務相、就任会見「財務省ではなく、国民の代表」
1月7日17時52分配信 産経新聞

 辞任した藤井裕久前財務相の後任に就いた菅直人副総理兼財務相は7日、財務省内で記者会見し、予算執行の透明性を高めることで、ムダの排除を徹底する考えを表明した。

 会見での冒頭発言、質疑は以下の通り

  [写真で見る]就任会見で笑顔が多かった菅財務相

 《約100人の報道陣でごった返す財務省内の会見室。主役である菅氏はやや緊張した面持ちで登場した》

 「財務大臣に就任いたしました菅直人です。就任にあたっての会見ということで少し私の方から申し上げて、後は皆さんのご質問に答える形で進めたい」

 「私は10数年前、厚生大臣になったときも申し上げたが、大臣というのはその役所の代表ではなくて、国民が役所に送り込んだ国民の代表。これは市町村(長)や知事の場合はわかりやすい。市長というのは市役所の代表である前に、市民の代表として市役所に入っていく」

 「基本的には大臣も同じだ。国民の皆さんが選んだ国会議員が選んだ総理大臣が任命する。今回も財務大臣の任命を総理からいただいたが、財務省の代表となるという前に、国民の代表として財務省に(来た)。国民のために働く役所であるようにということで大臣に就任した。それを改めて私なりに確認している。

 加えて私の場合、副総理という役割もある。財務省はもちろんだが、内閣全体のことについても総理を支える立場で十分に目配りをしていかなければならないと考えている」

 「今日改めて財務大臣ということを拝命したわけだが、予算をめぐっては財務省との間でいろいろ意見交換をしたり、協力をしたり、いろいろな形でかかわりを持ってきた。また、これまで担当した国家戦略室においても税財政の骨格をつくるという形で財務省のかかわる問題に、別の立場から取り組んできた。これを踏まえて、財務省についてぜひ推し進めたいと思っていることがある」

 「一つは予算案はすでに出来上がって、いよいよ国会が始まるが、予算執行についての「透明化」ということだ。これはマスコミの皆さんもそういうところがあるが、(予算案の編成過程では)非常に多くの情報が国民に伝えられるわけだが、予算がいったん成立して、例えばある項目に100億円予算がついたと。じゃあ、その100億円が具体的にどのような形で使われて、当初の目的通りに本当に効果的に働いたのか。こういうことについて必ずしも十分なフォローができていないように思う」

 「国家戦略室でも議論をしてきたが、財政の体質、いわゆる予算執行の中身をできるだけ国民の皆さんに公開していく。それを通して、その予算が本当に国民のためになっているのかどうかを判断することができるような(財政)運営、支出管理ということ。国家戦略室でも取り組んでいただくことだと思っているが、一番多くの情報を持っている財務省がそれを実行していきたいと思っている」

 「また、民主党のマニフェスト(政権公約)の中で207兆円の総予算、つまり一般会計、特別会計を含む総予算について、全面的に見直すとなっているわけだが、この3カ月半では着手という段階にとどまっている。そういった意味では、ありとあらゆる特別会計や独立行政法人、公益法人について、主に行政刷新会議が担当していただくことになると思うが、財務省の立場でもこの問題にしっかりと取り組んでいきたいと思っている」

 「もう一点付け加えると、経済財政担当(大臣)は、そのまま継続をするよう総理から仰せつかった。これまでマーケットのことや景気のこと、あるいは日銀との関係など、いろいろとかかわりを持ってきたが、私のイメージから言うと、やはり日本を元気にしていくことについては、経済財政という観点から明るい未来を展望する。すでに成長戦略の基本方針を打ち出しているが、この肉付けも含め取り組んでいきたい」

 「どちらかというと、財務省の仕事はある意味では予算編成のような調整事項や、税制といった夢を語るというよりも現実の社会の中での仕事が多いわけだが、ややもすれば現実の中に埋もれることがないように。やはりそれこそ、『坂の上の雲』を目指して歩めるような、そういう方向性を経済財政担当という立場の中でも合わせて追い求めていきたいと考えている」

 《冒頭発言に続き、質疑に入る》

 --予算執行の透明化とあったが、厳しい財政をどうやって再建するのか。また消費税や環境税についてどう考えていくのか。さらに埋蔵金については

 「今日の財政の状況に立ち入った原因というものを押さえていかなければならない。これは1、2年でできた借金ではない。バブルが崩壊で、日本は成長軌道から外れて低迷してきた。その後、投資効果の薄くなった公共事業を継続し、大きな借金をつくった。さらにその後10年、需要不足の中でマーケット至上主義が行われたために、格差が拡大し、残念ながら成長には戻らなかった。それらが積み重なったところに今日の厳しい財政状況がある。その根本から変えていかなければならないと思っている。そういう意味では12月30日に発表した成長戦略をしっかり推し進めることが第一だ」

 「税制についてだが、まずは先ほど申し上げた207兆円の国の総予算を徹底的に見直すという作業が始まったばかり。その中からさらに無駄なもの、必要のない制度、あるいは間違った制度などを変えていく。そのうえである時期に消費税といった議論も必要になるかと思うが、少なくとも増税から入っていくのではなく、まずは今までの財政のあり方そのものを徹底的に洗い出すというというところに、やっと1歩目から2歩目に踏み出したところだ」

 「環境税については若干性格を異にしており、これは環境大臣、環境省からもいろいろと提案が昨年も出てきたので、それは税制調査会、あるいは省庁間をまたぐ議論として進めると認識をしている」

 「埋蔵金という言葉も出たが、かつて埋蔵金は一切ないと言っていた政治家もかなり埋蔵金を使い、また私たちが組んだ予算の中でもいわゆる埋蔵金をかなり掘り出して予算に計上した。もちろん埋蔵金は無限ではないので、まだ使えるもの、あるいは使ってもいいものについては精査していきたいと思うが、先ほど申し上げた207兆円についていろんな見直しをしっかりとやる。すべての省庁の大臣、副大臣、政務官が先頭に立ってやっていただきたい」

 《暑さのためか、コップの水を一口すする》

 --国家戦略担当相として着手していた中期財政フレームや納税者番号制度について、財務相としてどうかかわっていくのか

 「昨日と今日で私の立場が変わったので、少しずつ整理をしている。中期財政フレームはいずれにしても内閣としては策定しなければならない。昨年の段階で今年5~6月ごろに、複数年度予算も含めて、中期財政フレームを出すということを国家戦略担当として申し上げてきた。どこが中心になるかということは、これから(後任国家戦略担当相の)仙谷(由人)大臣とも相談するが、いずれにしても財務省にもかかわりが極めて大きい問題なので、すでに閣議決定した方針に沿ってやっていく」

 「納税者番号についてもマニフェストにも盛り込まれた課題。これも国家戦略室が中心になるとしても、財務省にもかかわりが深い課題なので協力してやっていくことになると思う」 《再び水を一口すする》

最終更新:1月7日21時46分

なるほど、管さんですか。
国民の代表とおっしゃるからにはしっかりとお願いしたいもんですねぇ。

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