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老夫婦は十九の少女の
祖父母にあたる夫婦だった
祖母は少女の姉を可愛がったが
少女は生まれながらの持病がある
とゆうだけで幼少から
少女を毛嫌っていた
それを見兼ねてか
祖父は二人の姉と同様に
少女を可愛がった
しかし少女は物怖じするためか
祖母の不平等な態度のためか
なかなか老夫婦には
懐かなかった
少女が祖父に懐いたのが
いつかは知らない
外に遊びに行くのを
昔から母に禁じられていた少女は
ある日ふらっと
祖父母の居間に入った
暑い夏の日だった
少女はそれまで
部屋に入ると
姉や祖母に怒られていた
おそらく少女は
小学生くらいだろうか
祖父の背中を
その部屋で見た
初めてまじまじと見る
祖父の背中だった
家には一人
今の家族では広すぎる家
かつてそこは
全ての部屋に
それぞれ部屋主が居た
だが今は主の居ぬ部屋が
ひとつ..ふたつ....
いくつあるだろうか
何故主は消えたのか
部屋は主の行方を知らぬ
全ての部屋が栄えた頃
赤子の声が家に響き渡る
どの部屋の後継者であろうか
主と共に部屋達も
待ち遠しかった
あの日々が懐かしい..
以前は常に何処ぞの部屋に
一人は必ず存在していた
だが今は....
あの泣き声の主は
見事部屋の後継者となった
が、あの毎日の
賑やかさは
もう数年もの前に
枯れ果ててしまった
家主は八人いた
しかし今の家主は四人
最後にやって来た家主は
十九の年をもう迎えていた
平和で騒がしい日々は
風に溶けて消え
隣の部屋主は
今年留学する
笑い声が飛び交った
二階の廊下
今は淋しげに主の行方を尋ねます
二階主の老夫婦
決して
歳をとりすぎたわけでも無く
ただ平凡に過ごしたその二人は
とうに姿を消していた
