同じような怪我をしていても、Aさんがさほど痛がっていないのに対し、Bさんがひどく痛がっているというのはよくある事です。
逆に怪我をしているAさんとBさんを比べてみて、Aさんの方がBさんより痛がっていないからといって
Aさんの怪我がBさんより必ずしも程度が軽いということにはなりません。
これが体の表面にある病気であれば、こちらも目で見たりして程度を類推することは出来ますが
内臓の病気であったりして外からは見えない場合、患者さんの訴えだけでは病気の重大さは分かりません。
このため、採血検査や画像検査など、様々な「他覚的所見」を知ることの出来る方法があります。
何度も書きますが、私は医師ではありますが産婦人科医ではないので
実際に見た出産は研修医時代に経験した数十例といったところです。
そのほぼ全ての症例で、患者さんは陣痛時に非常に痛がっていました。
中には痛みのあまりパニックになったのか「もう産めない!」と泣き叫ぶ人がいたり
隣の分娩室まで聞こえるぐらいの叫び声を上げる人がいたり
一体どれほど陣痛は痛いのか…と心配になるぐらいのお産も数例経験しました。
ところが、私の場合なぜか陣痛は全然問題ないレベルの痛みでした。
今までに人生一番の痛みだったのは腕の骨を骨折した時の痛みですが、それと比べると
余裕で我慢できるぐらいの痛みです。
骨折の時はまさに悶絶、というぐらいの痛みだったので…

出産中「いや…確かに痛いけど、全然暴れたり泣いたりするほどじゃないな…いつ痛くなるのかな…」とかずっと考えてたら産まれたという

むしろ痛みより、いきみ感を逃すのが辛くてそっちばっかりに気を取られてました。
出産前に結構他の方の出産ブログを見てみたんですが、陣痛の辛さを描写している所は多くても
このいきみ感の辛さに触れているブログはあまり見つかりませんでした。
なので私の出産体験も結構珍しいのかもしれません。
とにかく出産途中から尋常じゃないいきみ感が来て、それに合わせて勝手に下腹部の筋肉という筋肉が全て収縮し、いきんでしまうという今までにない感覚でした。
その時はまだ子宮口が9cmほどと全開大ではなかったので、いきんではいけないと頭では分かっていたんですが
どう力を抜こうとしても、駄目なんです。
陣痛に合わせていきんでしまい、助産師さんに何回か叱られたりと大変な思いをしました。
これに比べたら、陣痛はほんと笑い飛ばせるレベルの痛みでした。
そもそも私の場合、入院した時も子宮口が5cmちょっと開いていて子宮収縮も5分おきだったのにもかかわらず
痛みは殆ど自覚しなかったので、もともと痛みに強いのか、あるいは陣痛をあまり感じない体質なのかもしれません。
助産師さんに「子宮口開いてますしかなり子宮収縮してますけど、痛くないんですか?」と聞かれたぐらいですので、他覚的所見としては結構お産が進んでいたみたいです。
普段の自分の診療でも「自覚所見は当てにならない」というのは肝に銘じていたつもりですが
今回の出産はそれを身を持って体験した一例でした。