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『 おもい 』
辺りは冷たい闇に包まれているのに、この墓の前だけは温かい光に包まれている感じがした。
「…俺も早く逝きたい…」
芳井 涼(よしい りょう)
享年23歳
死亡原因 事故
――俺が11歳の時に逝った。
「…っか、ばぁか…何先に逝ってんだよっ。誰もいなくなったじゃねぇかよ!!!…っ」
涼は俺の家に来て、俺の面倒を見てくれた。
両親は俺を邪魔物扱いし、面倒は涼が見てくれた。
家が金持ちというだけで、学校でいじめられた。
それで泣いて帰っても両親は「あっち行って!!」と言うだけ。
でも、涼は…涼だけは慰めてくれた。
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「ぅっ…おれもぅ、学校行きたくなっ…っつ…い…ょお。」
空き部屋で掃除をしていた涼の足元で言う。
すると、涼は俺の身長に合わせてしゃがみ、ぎゅっ と長い腕が体に絡みつく。
――涼のいい匂いがした。
「どうした、翔?
そんなに泣いてたら、鬼がくるぞ??」
耳元でそう囁かれると、まだ小さい俺はその言葉を信じ、少しづつ泣き止んだ。
「落ち着いた?」
「ぅっ…ん///」
頭を撫でられ、嬉しいやら恥ずかしいやら。
「翔…おまじないしてあげる。」
低い声で優しく囁かれ、ちょっとびっくりした。
「目、閉じて」
「えっ、ぅん」
――ちゅっ…
「!!!」
唇が触れるだけの優しいキス。
驚いてまばたきをしていると、涼は翔のあごに手を添えて上を向かせると、啄むようなキスを何回もした。
俺はこれで確信した。
涼が『好き』友達としてではなく、恋人として。
俺が涼に「好き」と言ったら、「俺も好きだよ…翔。」と言って
お互い顔を赤らめて、微笑み合いまたキスをした。
そして、いつかこの家を出て二人で密かに暮らしたい、と思っていた。
涼はその後ひっそり教えてくれた、両親を早くに亡くし今はアパートで兄弟と暮らしていて、俺の家でアルバイトしていること。
いつも大きくて、力強い背中。
涼は憧れであり、自慢の恋人。
とある日曜日、涼と遊園地へ行く約束をした。
涼が俺を迎えにきてから、遊園地へ行って、夜は涼の家で…
言葉では、「子供じゃない」と口では言うものの、内心ものすごく舞い上がってる。
しかも、これが初めての野外デートだったりする。
俺は、楽しい時間が続くと思っていた。




