
ついに9年の沈黙を破りファイブスター物語(FSS)の連載が再開されました。本当に待ちに待った再開で確定ニュースが流れてからの数ヶ月がどれほど長く感じたことか。そしてその連載再開の第1話が掲載されたニュータイプ5月号の表紙は新しいスーツに身を包んだファティマ・町。本当にFSSが帰ってきたんだ、あの格好良いモーターヘッド(MH)たちにまた逢えるんだとの期待が否が応にも高まりましたね。
が、しかし、その淡い期待は数ページめくったところで完全に打ち砕かれました。『来ますっ、ゴティックメード黒騎士ダッカス!!ダッカス・ザ・ブラックナイト』って、「え?なに?何が起こってる!?バッシュじゃなくてダッカス?っていうかデザイン自体バッシュとは似ても似つかないし、モーターヘッドじゃなくてゴティックメード!?でも乗ってるのはちゃんとデコース?」とあまりに一辺に情報が流れこんできたせいで卒倒しかけました。画像が無いのでこのときの衝撃はちょっとお伝えしにくいのですが、いやもうホントに吐血するかと思うくらい驚きましたよ(笑) そう、そこにはすでに見知ったMHなるものは1騎足りとて存在していなかったのです…。

例えるならZガンダムvsTHE-Oの戦いを次回予告で見て楽しみにしていたらしばらく野球や特番で潰れ、久々に始まったと思ったら∀ガンダムvsターンXだった…というくらいデザインの変貌、進化ぶりでしょうか。ちなみに同じ番組内でひとつの戦闘の最中でパイロットは変わってないというのがポイントですね(笑)
もちろんある程度の予想はしていたんです。作者の永野護氏の傾向からいって渾身の新作であるゴティックメード(GTM)で生み出した新しいデザインラインや関節機構などがFSSに取り入れられないわけはないと。ブレン・パワードのときもそうでしたからね。
上の画像は「ゴティックメード ワールドガイド」というガイドブックですがその表紙のカイゼリンを見てもエンプレスを彷彿とさせますし、GTMのOPでは新デザインのKOGが公開されていました。GTMの内容にしてもメロウラにネプチューンと同じエンブレムが付いていたりとFSSとの繋がりは明確に描写されていたので、きっと連載再開されたらGTMのストーリーが昔話として語られたり、GTMが何体か出てきたり、もしくGTMのラインでデザインされた新MHが出てくることもあるのかなと。
でもね、まさかFSSの世界からMHという存在そのものが消え去り、全てがGTMになってしまうとは、まさかここまでやるとは、全く想像もできなかったです。18メートル級のMHと25メートル級のGTMじゃ大きさだってまるで違うんですよ。まぁMHの全高自体、過去に変更されてますからまた変わっただけといえばそうなんですが、今回はデザイン自体が全て変更になりましたから次元が違います。しかも例に挙げたエンプレスやKOGはまだ面影がありますがバッシュに至っては本当に全くの別物で面影ゼロですからね。。。。
そしてそう、さっきからバッシュだKOGだと言ってますがこれも最早FSS世界には存在しない名称なんです。デザインだけではなく各MH改めGTMの名称が全て変更になりました。ごく一部だけですがこんな感じになってます。
LED・ミラージュ → GTM ツァラトゥストラ
ゴウト・ミラージュ → GTM ゼノア ( GTM カイゼリン )
ヤクト・ミラージュ → GTM イエンホウ
ナイト・オブ・ゴールド → GTM マグナパレス
オージェ → GTM モルフォ・ザ・スルタン
プロミネンス(Vサイレン)→ GTM ディー・ウィリーズ
ネプチューン(Vサイレン)→ GTM メロウラ
サイレン → GTM ユーレイ
Aトール → GTM バーガ・ハリ
破烈の人形 → GTM リッター・ジェット
シュペルター → GTM デムザンバラ
バッシュ(黒騎士) → GTM ダッカス
エンゲージ SR.4 → GTM エンドレス
ベルリン → GTM ワイマール
アシュラ・テンプル → GTM ホウライ
ヘルマイネ → GTM グロアッシュ
青騎士 → GTM ボルドックス

と、全ての元MHたちがこんな具合でもうわけが分かりません(^^; ちなみに上の画像はGTMパンフレットからの画像ですがこれがGTMボルドックス=青騎士。…まさかこれが青騎士だとはGTMを劇場で観た誰が想像したでしょうか(笑)ボルドックスという名称もそうですが青騎士といえばMHのなかでもトップクラスに無骨な鎧武者感の溢れるMHですからね、それがこの細身かつスパルタンなデザインになるのですから私の好きなヘルマイネを筆頭に重装甲系MHがどうなってしまうのか考えただけでも恐ろしいですね。GTMの設定的に過剰な重装甲はありえなくなってしまったのですが「魔導大戦は乱戦が主体だから重装甲バージョンのMHが主流」って言ってたじゃないですか!と叫ばずにはおれません(笑)
と、まぁ他にもファティマという名称が正式なものではなくオートマティックフラワーズ(AF)になっていたり年表の端から端までGTM要素が加わっていたりと変更点を上げればキリがないのですが、とにかくこの連載再開は他に味わったことがないほど衝撃的でした。同じFSSファンのなかでもFSSのストーリーが好きなのかキャラクターが好きなのかMHが好きなのか設定が好きなのか永野護が好きなのか…のブレンド具合でそれぞれ受け止め方が違うと思うのですが、模型をやっていることもあってMHが好きという部分が若干強めな位置にいる私としてはかなりダメージが大きかったです。
いずれ荒れ狂う日が約束されていたLEDミラージュ、ようやく戦場に送り出されようというタイミングだったカナルコード・エリア・ナイン、そしてまだ姿を見せたことのないラインシャル・ヒューメトリなどの名称のみが分かっているMHたちの活躍を今度こそ見たかったのですが、それはもう叶わぬ夢となりました。「FSSのファンを長くやってきたのならこれぐらいの改変は余裕で処理できる」…なんて意見も聞きますが、それはそれとしてやっぱり残念というか惜しいというかそういう気持ちは隠せないものがあります。
ただ…、MHのデザインひとつ取っても業界の先端を突っ走ってきた永野護氏ですから常に新しいことに挑戦するという姿勢は理解できますし、ある意味当然と言えば当然というか、だからこそ永野護が好きだと思えるのも確か。それにFSSが姿を消していた9年の間に気がつけばMH的な美的要素を持った亜流ともいえるメカデザインがアニメでもゲームにも氾濫するようになった昨今の状況のなかで「俺がオリジナルだ」と言い張るよりも誰も追いつけない更に先へ進んでやろうと行動を起こすのは永野護氏にとっては極々真っ当な選択だったのかもしれません。
それでも、いくらなんでも同じ作品内でしかもエピソードの途中でいきなりメカデザイン全取り替えとは殺す気か!と思いますし、その変更したGTMのデザインにしても、もう少し分かりやすい格好良さの記号をまぶしてくれてもいいじゃないか…という気もするのですが彼にしたらそんなものは古臭くて仕方がない…ということなんでしょうね(^^;
でも実際、GTMを劇場で観たときの感動は未だに鮮明ですし、今回登場したGTMのデザインにしてもMH時代の面影を追わなければこれはこれで今まで見たことのない独特の魅力があると思います。良い方向に解釈するば、ここまで来てようやくエルガイムからの呪縛を断ち切って、例えるならば大衆向けでないミニシアター映画のような魅力と毒を持ったデザインに打ち込み始めたのかもしれないと思うと今後が楽しみでもあります。なのでいまだに色々と消化できない部分はありますが(ブログに取り上げるのが4日も遅れた理由ですねw)、これから毎号新しいデザインが登場するということは格別のご褒美でもあると考えて、なんとかFSSに食らいついていこうと思います。
それに、ストーリーやキャラクターはほぼそのままで既刊の12巻の続きそのものが始まったわけですから決して別の作品になったわけでもなんでもなく装いを新たにFSSの続きがそのまま始まったことは事実なんですからこれを読まないでいられるか!という気持ちもありますしね。これが1年も続いてGTMのデザインがあらかた出揃い(デザインズ4が秋に発売ですし)、GTMが組み込まれたおかげで真の主人公とヒロインに格上げされたようなダイ・グぼっちゃまとクリスの顔でも見ればだいぶ落ち着くと思うので極力楽しんで新しいFSSを追っていきたいと思います。
と、いうわけでショックが大きすぎてとりとめのない長文になってしまいましたが、書くだけ書いて少しスッキリしました(笑)まだ連載再開号を読んでいないという方はぜひ読んでみてください。感想お待ちしてます♪