ネタバレしかない

ネタバレしかない

覚えておきたいことを書いています。

Amebaでブログを始めよう!

まりぱか先生の「みのりの森」を読んでの感想。

ネタバレがふんだんにあるので未読の方注意。この作品はネタバレなしで読まれることをオススメします。

 

 

 

 

 

 

 

 

久しぶりにズシンとするBLに出会った。

新刊コーナーで一番売れてたし帯の大号泣必至てやつに惹かれて全く知らなかったのに買ったんですがめっちゃ考えさせられるストーリーだった。

舞台は富山かどこかの架空の田舎?かな。亡き慎太郎の葬儀に東京からやってきた謎の青年渋谷実(受)と慎太郎の親友だった昌典(攻)の話。

1話からいきなり葬儀なんですよね。慎太郎って誰かなニコニコと思って読み出したら慎太郎自殺なんですよ死因。

 

え、不穏。

 

わたしはちょっと幸せな気持ちになったりキュンとしたいからBLを読んでいるので基本嫌な気持ちになる題材のものは選ばないようにしてます。地雷地雷うるせーやつは嫌いなので地雷っていうようなものではないのですが、あえては選ばないかなって感じで。

 

なのであまり誰かが死んだりするような話もそんなに好きじゃなく。

 

失敗したかも~って思いつつ読み進めると、

な、な、なんだこれは!!!おもしろい!!!!

最初から不可思議なことが多い始まりだったのでどんどんその謎な部分が明かされていきます。

東京からきた渋谷実は誰なのか、慎太郎とどういう関係だったのか、なぜ昌典のことを知っていたのか。

 

 

とにかく情報量が多い!!!

 

単行本かなり分厚いけどこれは上下巻レベルの話だと思いました。もう少し伸ばして心理描写や昌典と慎太郎の思春期の話とか増やしても良かったと思う。

基本は生きてる昌典と実にスポットが当たってるストーリーなので慎太郎がどういう人間だったのかはあまり掘り下げられていません。

ここでもっと慎太郎と昌典の思い出エピでもぶち込まれていたら読了後の印象はかなり変わっていた気がします。

 

昌典と慎太郎の地元にある「みのりの森」と呼ばれる森がストーリーに密接に関係していて、どこか不気味な印象もあるその森に惹きつけられます。

物語終盤まで渋谷実が何の目的で慎太郎の地元に来て昌典のそばにいたのか全く分からなくて展開に予想がつかない所も魅力的です。

 

蓋を開けてみたらそんなに大きな秘密があったわけではないのですが、そこに至るまでの伏線とか話のもっていき方が映画のようでした。

ミステリー要素もあり、ちゃんとBもLしてる。

 

 

こんな感じのストーリーではありますが、どろどろしてるとか鬱々としてるとかそういう展開ではないです。暗い雰囲気ももちろんありますがちゃんと前向きに話は終わっていますし受け攻めの共依存というわけでもないです。

なので読後感がテーマの割には悪くないです。明るい気持ちで読み終わります。

 

 

作中最後まで慎太郎がなぜ自殺したのかという決定的な理由は明かされていません。

わたしはそこが妙にリアルに感じました。

慎太郎のように表向きは健康で明るくて自殺とは無縁のような人でも毎日生きていることに違和感を覚えている人って少なくないと思います。

常に水がコップいっぱいであと一滴入ったら簡単にこぼれてしまうような、慎太郎はそんな人間だったのかなって想像した。

 

本当はもうずっと前に慎太郎は死んでいてあとは物理的に肉体が死ぬだけの状態だったのかもしれない。

だから周りから見たらなんの前触れもなく急に死んでしまったように見えるけど慎太郎にとっては自然なことだったのかな。

 

死のうと思ったら偶然にも実っていう面白い人に出会えて故郷や親を思い出し、古い友人を思い浮かべて書きながらまた会いたいと思ったであろう遺書を書いても尚、生きることを選べなかった慎太郎の心の闇は深かったと思う。

 

最後の方で慎太郎の遺書を読む場面があるけどそこが一番読んでてつらかった。

内容が普通なんですよ、普通の手紙。

もっと自分の人生がどれだけ辛かったとか世間への不満とか書いてくれてた方がこの選択で楽になれたのかなって思えるのに本当に普通の他愛ない内容で。じゃあなんで死んでしまったのって気持ちにしかなれない手紙は昌典のこと思うとめっちゃ感情移入して辛かったな。

 

 

慎太郎は死ぬ前に昌典に電話したけど、昌典は寝てて朝気づいて後でかけ直せばいいやってその時はかけなかったのよね。その後慎太郎は死んでしまうわけだけど。

あの時自分が電話気づいたときかけてれば慎太郎は死ななかったんじゃないかって思ってる昌典がつらい。こういうのって一生消えない心の傷になっちゃうから。

きっと慎太郎はただ昌典の声が聞きたかっただけだと思うからあまり背負わないでほしい。

 

 

虫の知らせってよく言うけど本当にほしい時にはないんだよね、そんなの。

 

 

慎太郎のお母さんが実に慎太郎のことは「振り返った時に蘇る懐かしい友人として持っとってやって」って最後に言うんだけど

 ここもめっちゃグサッときたな。

 

 

 

このお話はあくまでも昌典と実の話なんだけど、私はどうしても慎太郎はどんな人間だったのかなって考えてしまった。

 

月並みな言い方だけど昌典と実は慎太郎の分も生きてほしいし幸せになってほしいな。

 

 

 

いやぁ久しぶりに色々考えちゃった。みんな読んで。オススメだよ「みのりの森」照れ

「みのりの森」特典情報 - 株式会社幻冬舎コミックス (gentosha-comics.net)