ネットでの誹謗中傷に関しての備忘録
近年、インターネット上で人を傷つける誹謗中傷が問題となっています。人格否定、侮辱など、SNSには激しい言葉が並びます。5月にプロレスラーの木村花さんが亡くなったこともきっかけに、政府では規制や対策の強化の検討が始まっています。匿名で自由に発信できる現代、越えてはいけない一線とは何かを一緒に考えていきましょう。1. 誹謗中傷とはまず、誹謗中傷の言葉の意味を考えていきましょう。誹謗とは、悪口、陰口、誹り(そしり)を意味します。中傷とは、根拠のないことで名誉を傷つけることを意味します。この2つの言葉が合体して、誹謗中傷という言葉になりました。今日では、いわれのない悪口を意味して使用する場合が多いようです。2. 実際のネットでの誹謗中傷に苦しんでいる被害実例かつて、誹謗中傷が法的問題となるのは、印刷物、とりわけビラ、怪文書の配布による事例が一般的でしたが、ネット社会となり、ネットの掲示板やSNSなどの書き込みなどによる誹謗中傷の事例が増大しています。代表的なもので次のような被害例があります。 容姿や性格を罵倒される 「ブス」とか「きもい」などの人格否定。 人格否定とは、その人の持つ人間性を否定したり、 性格などの本質的な部分を否定することです。 プライバシーが侵害された 公開していない住所や顔写真をネット上にアップされた等 真実でない犯罪歴を書かれる 犯罪とは一切無関係なのに、そのサークルに所属していたというだけで、犯行グループの一員であると掲示板に書かれ、コピー&ペーストされて拡散してしまった。3. 法律で裁くことってできるの?誹謗中傷をした者は、どのような法的責任を問われるのでしょうか。まずは、誹謗中傷をした者が問われる刑事責任(刑罰)を説明します。ネット上で誹謗中傷してる人や、やってないと思う人も見て当てはまるものあったら、当本人から訴えられることがあるので、心しているように。①名誉毀損罪名誉毀損罪は、公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した場合に、その事実の有無にかかわらず成立する犯罪です。「公然と」とは、不特定の人又は多数の人が認識できる状態を指しますので、ネットでの書き込みは、当然にこれに該当します。摘示される「事実」とは、人の社会的評価を低下させるような具体的な事実です。例えば、「Aは不倫をしている」、「Bは、金銭を着服している」などです。これに対し、「Cは不美人だ」、「Dは馬鹿だ」という記載は、具体的な事実とはいえず、名誉毀損罪には該当せず、後述の侮辱罪にあたります。「名誉を毀損」とは、人の社会的評価を低下させることですが、実際に低下したか否かは問題ではありません。名誉毀損罪は、事実の有無にもかかわりません。たとえ、ネットに記載した内容が真実であっても、犯罪となることが原則です。被害者が個人でなく、特定の団体・法人であっても名誉毀損罪は成立します。②侮辱罪誹謗中傷は、侮辱罪に該当し、拘留又は科料の処罰を受ける場合があります。侮辱罪は、事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した場合に成立します。「事実を摘示しなくても」とは、具体的な事実を指摘していない場合でもということで「侮辱した」とは、他人に対する軽蔑の表示をすることです。人の容姿や体型を、あざ笑うような書き込みは、侮辱罪に該当する危険があります。③信用毀損罪と業務妨害罪誹謗中傷は、信用毀損罪又は業務妨害罪として、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金で処罰される場合があります。信用毀損罪及び業務妨害罪は、虚偽の風説を流布して、人の信用を毀損したり、人の業務を妨害したりする場合に成立します。「虚偽の風説の流布」とは、客観的真実に反する噂や情報を不特定の人又は多数の人に伝えることです。④脅迫罪誹謗中傷は、脅迫罪として、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金で処罰される場合があります。単なる悪口にとどまらず、よくネットで見かける「殺すぞ」、「やってやるぞ」など、被害者(又はその親族)の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知する行為が脅迫罪です。害悪の告知方法は問わないので、ネット上の書き込みも、脅迫罪に該当する可能性があります。⑤強要罪誹謗中傷は、強要罪として、3年以下の懲役刑で処罰される場合があります。誹謗中傷が脅迫を含む内容のもので、それによって被害者に義務なき行為を行わせたり、逆に権利の行使を妨害したりしたときに、強要罪が成立します。例でいうなら「〇〇をしないと晒すぞ」とかですね。4. で、被害にあった時どうするんだって話①自分で削除要請を行うプロバイダに対して、権利を侵害する記載の削除を要請することができます。プロバイダ責任制限法では、プロバイダによる削除を「送信防止措置」と呼んでいます。基本的にこのページ(http://www.isplaw.jp)を利用して申請します。ただ、削除するかしないかは、プロバイダ側の判断です。②法務省人権擁護局を利用する法務省の人権擁護局では、各地の法務局で、ネット上の誹謗中傷やプライバシー侵害といった人権侵害について、人権擁護委員が相談に応じ、事実を調査したうえで、書き込みを削除するようサイト運営者に対して要請をしてくれます。ただ、その削除要請も上記のプロバイダ責任制限法に則って要請されるため、削除するかしないかは、プロバイダ側の判断です。③弁護士に依頼するサイト運営者に対する削除要請は、弁護士に依頼することもできます。人権擁護局と異なり、弁護士費用はかかります。しかし、削除要請だけでなく、書き込みをした者への損害賠償請求や刑事告訴、その前提としての発信者の情報開示請求手続など、侵害された権利を回復し、今後の被害を防止する一連の対策を全て担当できるのは弁護士だけです。法律に詳しい人にやってもらい、自分自身が安心できる方法はこれだと思います。その他、総務省などが開設した特設サイト「No Heart No SNS(ハートがなけりゃSNSじゃない!)」(https://no-heart-no-sns.smaj.or.jp/)では、不快な投稿から身を守るSNSの機能や削除依頼の手順などを紹介しています。また、IT企業でつくる団体「セーファーインターネット協会」も「誹謗中傷ホットライン」(https://www.saferinternet.or.jp/bullying/)を6月末に設置し、中傷被害の相談や削除依頼の代行を始めているのでこの辺も利用する価値はあると思います。5.最後にネットで誹謗中傷をした者が、どのような法的責任を負うのか、また、その対策方法をご理解いただけたと思います。詳しいことは、また後日投稿させていただきますが、私自身もネットで誹謗中傷など受けてる身です。警察に「気にしなければいい」とアドバイスもされました。でも、もしあなたが中傷されたら気にしないでいられますか?私は書き込みを読まずにはいられなかった。中傷を信じた多くの知り合いが去っていった。人によっては、仕事を全て失ってる人もいると思います。まるで世の中の全員から責められているように感じ、極度に追い詰められました。警察に被害を訴えましたが、当初は取り合ってもらえませんでした。近年、インターネット、特にSNSへの誹謗中傷の書き込みで芸能人に大きな心の傷を負わせています。俳優・三浦春馬さん(享年30)が7月18日、女子プロレスラー・木村花さん(享年22)が5月23日、亡くなった時、大きな衝撃が列島を駆け巡りましたが、ひとごととは思えなかった。例えば「死ね」と言われ続けると、死なない限り終わらない、死ななきゃいけないのかなという気持ちになるのです。現在、ネット言論対策が協議されているようですが、ネット私刑、悪事を働いたとされる人物の個人情報を暴くことで処罰を図る「ネット自警団」と呼ばれる人たちの存在、それに伴う人が死ぬまで問題を放置する社会にうんざりしています。誹謗中傷は、違法行為であり、損害賠償責任を生じさせ、刑罰を受ける犯罪行為である可能性を有しています。もしもあなたが被害にあっていたとしても、誹謗中傷を止めさせ、相手を摘発し、法的責任をとらせる方法があります。弁護士や法務局は、あなたの味方です。もう、一人で抱え込まず、不安を抱えることはありません。勇気をもって、相談してみましょう。きっと穏やかな毎日を過ごせるようになります。この備忘録が困った人たちに役立ちますように。