さて、紫雲殿との打ち合わせの続きである。

紫雲殿から、人数を把握したいと言われる。

もっともな話なので、父の友人を、1人ずつ顔を思い出しながら数える。

「えーと、○○先生と、××先生と・・」(父は享年85歳であるが、60歳まで教師をやっていた。)

 

そうしたら、紫雲殿の人から、このような話をされた。

「この『一日葬』は、身内以外呼ぶことができないプランです。お父様のご友人を呼ぶなら、こちらのプランにしてください」と、パンフレットの値段の高いプランを指さす。

「ご友人たちにも迷惑ですよ。先生は平日は授業があるでしょう」と。

私は説明した。

「父が教師だったのは、25年以上前の話です。親しくしていただいていた元同僚の先生も、ずうっと昔に定年退職していて、年金生活者しかいません。」と。

それでも、担当者の言は変わることがなく、私は尋ね返した。

「私は勘違いをしていました。一日葬というのは、通夜を省略して、告別式1回にまとめるから安いと思っていたのですが、そうではなく、身内以外呼んではいけないプランだから、安くなっているんですね?」と。

担当者は、ハッキリと答えた。

「そうです。」

 

そう言われては仕方ない。式に出たいというご友人方の期待に背くことにはなるが、父は生前、「式はやらなくていい、浮いた金で旨いものでも食え、それが一番の供養だ」と、言っていた。ここで葬儀社のいいなりいなって、高いプランを選択しては、故人の遺志に背くことにもなる。

うちには血縁が少なかったため、わずか数名のさみしい式になってしまった。

あまりにも少ない人数だった。

伯父が、あまりにも少ない人数に憐みを感じたのか、急きょ、神戸から従兄夫婦を呼んでくれた。

 

後日、イオンから電話があり、「式はどうでしたか?」と言うので、この辺の事情を説明し、こういう重要なこと(=血縁以外は呼んではいけないプランだということ)は、ホームページに載せておくべきだ、と言った。そしたら「それは、担当者の説明が間違っています。身内以外を呼んではいけないというプランではありません。」と。

 

今さら、そんなことを言われても、もう式は終わっており、どうにもならない。

取り返しのつかない間違いだ。

 

そういえば、遺体が紫雲殿に運ばれた日、父の遺体のそばで、一晩過ごそうとしたら、そのときも「泊って良いのは、一つ上のプランからです」と、再度(実際には再々々度くらいだったが。)値段の高いプランを提示された。これもホームページに載っていないが、担当者の独自の判断だったかも知れない。

 

この時点で、僕は、イオンのお葬式を選んだことを本気で後悔し始めていた。

だが、後悔はこれで終わらなかった。