心から笑える日は来るのだろうか。
あの日、人を殺してしまった僕に――
『天使のナイフ』『友罪』『Aではない君と』
贖罪の在り方に向き合い続けてきたからこそ辿り着いた、慟哭の傑作長編。
――罰が償いでないならば、加害者はどう生きていけばいいのだろう。
飲酒運転中、何かに乗り上げた衝撃を受けるも、
恐怖のあまり走り去ってしまった大学生の籬翔太。
翌日、一人の老女の命を奪ってしまったことを知る。
自分の未来、家族の幸せ、恋人の笑顔――。
失うものの大きさに、罪から目をそらし続ける翔太に下されたのは、
懲役四年を超える実刑だった。
一方、被害者の夫である法輪二三久は、“ある思い”を胸に
翔太の出所を待ち続けていた。
~講談社BOOK倶楽部より~
やっぱ薬丸岳さん、引きつけられて一気読みでした。
最後まで読んで、
もし被害者側だとして、じゃあ、赦せるかって聞かれたら・・・
多分、赦さない。
命を奪うって、そのくらい重いこと・・・ですよね。
赦されないとわかって上で、どう生きるか。
そういう部分で、憎しみや悲しみを癒す方法も、
少しはあるのかな・・・
これ、加害者側被害者側の心理描写が読んでいて苦しく
気付けばじんわりと目が潤む・・・そんなことが何度かありました。
法輪二三久の、“ある思い”
そういうことか・・・と思いつつ、
もし自分が、「妻」という立場だったとしたら、
やるせないな・・・
この感じたやるせないという感情。
これを、どうやるせないんだ?と言葉にすると、なんだろう・・・
わたしのことは?・・・かも。
そんなこと考えていたら、泣けてきた。
赦し・・・って、なんだろう?