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「雰囲気にのまれかけた」

 初めて立つ甲子園の大舞台に、これまでになく緊張している自分がいた。

 2点差に迫られた五回2死満塁。一打逆転の窮地で大江竜聖(りゅうせい)投手(一年)はマウンドに上がった。東東京大会から継投で4試合に出場し、12回1失点とチームの甲子園初出場に大きく貢献してきた。

 「プレッシャーを感じたことはない」とひょうひょうと話し、市原勝人監督も「本当に腹が据わっている」と評価するが、最初の打者を死球で押し出してしまう。

 しかし次の打者をスライダーで三振にとり、この回を切り抜けると、あとはいつもの投球に戻った。「いつも窮地をイメージして練習しているから、厳しい状況での方が楽しく投げられる」

 難しい飛球もしっかりと捕る 野手陣にも支えられ、4回1 /3を無失点に抑えた。六回以降は一度も相手に三塁を踏ませなかった。

 チームが勝てたのは「満足 」と素直に喜ぶ。だが「得意 の内角直球があまり決まらず、外角ばかりになってしまった」と、自身の投球内容は厳しく評価した。

 「次の試合 では、一球一球、厳しく内角を突いていく。優勝 だけをイメージしている」ときっぱり。

 常に強気の投球で、今村大輝捕手が「同じ一年とは思えない」と舌を巻く大江投手だが、「甲子園で投げられたのはうれしい」と話す時には、あどけなさの残る笑顔を見せた。 (林朋実)