群馬県・東禅寺 雨宝殿 | 神社に隠れていたモノ

神社に隠れていたモノ

神社の彫刻を見て、何の物語か教えてほしいと思ったことがあり、調べた結果をブログします。タイトル「神社に隠れていたモノ」は覆屋の中にこんな素晴らしい彫刻が隠れていたのかという思いから付けました。

2023年5月26日 群馬県沼田市下川田町の東禅寺 雨宝殿に参拝しました。

 

由緒

雨宝殿は、土岐氏9代沼田藩主頼功が、勝軍地蔵尊を祀るため文政11年(1828)に建造した。12代藩主頼知が奉納した『雨宝殿』の額が掲げられている。土岐氏の祈願寺勝善寺の堂であったが、明治26年(1893)に東禅寺の所有となった。平成7年に沼田市西倉内町から沼田市下川田町へ移築された。

鳥居

 

雨宝殿  沼田市指定重要文化財

 

唐破風下:韓信の股くぐり
韓信が若い頃、ならず者に「お前が強いのなら、その剣で俺を刺してみろ。できないなら、俺の股をくぐれ」と言いがかりをつけられ、屈辱に耐えてその股をくぐったという。もし韓信がならず者を殺してた場合、お尋ね者となり一生を台無しにしていた。本当に叶えたい夢のために、一時の屈辱を耐え忍のんだという故事。その後、韓信は前漢の初代皇帝となる劉邦の元で数々の戦いに勝利し、国士無双と呼ばれるまでの武将になった。

中備:須佐之男命の八岐大蛇退治  (須佐之男命だけで龍が中備にいない。木鼻の龍と組合せか?)
八岐大蛇は毎年やって来て娘をひとり食べていた。今年もその時期になり櫛名田比売が生贄になるという。須佐之男命は八岐大蛇を退治するため、櫛名田比売の両親(足名椎、手名椎)に強い酒を8つ用意させ、八岐大蛇がくるのを待った。やがて八岐大蛇が現れ、門の前に置かれた酒を飲み始めた。そして、酔いが回り八岐大蛇が眠ったところで、須佐之男命は八岐大蛇を切りつけ退治した。大蛇の尾からは一振りの剣が現れ、須佐之男命はそれを「天叢雲の剣」と名付け、姉である天照大神へと献上した。

 

木鼻:龍  持送:鯉

 

 

手挟:ブドウとリス
ブドウは大きな実をたくさん実らせ、一方、リスは子だくさんの動物。そのため、「豊かさ」「子孫繁栄」「多幸」の願いが込められています。

海老虹梁まで尻尾が伸びています

 

欄間に彫刻があります

 

三顧の礼  
劉備と関羽と張飛が、まだ無名であった諸葛孔明を軍師として迎え入れるため諸葛孔明の庵を訪れ、三度目でようやく会えたという。本来は目上または年上の人が、目下あるいは年下への人へ礼を尽くすことでしたが、現在では礼を尽くして頼みごとをお願いする意味で使われます。

欄間(右):劉備が諸葛孔明の家を訪問している。

訪ねた時、劉備は家の中にさえ上げられず、門の前で対応されたという。

劉備が訪ねた時、諸葛孔明は昼寝していたという。

 

欄間(左):諸葛亮の態度が気に食わず怒り心頭な張飛、それを説得している関羽。

 

12代藩主頼知が奉納した『雨宝殿』の額が掲げられている。

 

コメント:欄間の彫刻も良いですが、木鼻の龍も海老虹梁まで尻尾が伸びていて迫力がありました。

 

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