すばらしい結婚 14
第十話 初めての
1月4日 金曜日
いつもと変わらない朝。
アイリスが用意してくれた朝食をとっているときのことだった。
ピリリリリッ、ピリリリリッ
突然携帯が鳴った。
サブ画面を見ると親父から。
どうせまたくだらない用事なんだろうな……
無視するわけにもいかないので、しぶしぶ電話に出る。
「もしもし?」
「修矢、ヘリオトロープが機能停止した」
「……は?」
一瞬、何を言われたのかわからなかった。
親父にしては珍しく真面目な声だったせいかもしれない。
なじみのない単語が使われたせいかもしれない。
いずれにしろ、俺の頭がそれを理解するのにはたっぷり数秒が必要だった。
「えっ、ちょっ……ヘリなんとかってアイリスのお姉さんだよな。機能停止ってどういう意味だよっ」
「えっ……!?」
ごとんっ
アイリスが持っていたカップをテーブルに落とした。
しまった、失言だったかな……
「聞いての通りだ。アイリスの姉は、活動を停止した。……人間で言えば、死んだということだ」
「そんな……」
そんなのって……
「もうすぐ幸矢のところにつくんだが、お前も来るか? アイリスも来たがるだろう」
「……ああ、行くよ」
「わかった。アイリスはかなりショックを受けるだろうから、お前がしっかりしてろよ」
「わかってる」
ピッ
「修矢さん、どういうことですかっ?」
アイリスが掴みかからんばかりに聞く。
アイリスにしては珍しい態度だった。
「アイリス、お姉さんが機能を停止したそうだ。これから親父がお姉さんのところに行くから、俺たちも行こう」
「……はい」
兄・幸矢のアパートについた。
俺と同じ大学に通っているので、アパートは徒歩で数分の距離だ。
もうすぐ卒業する兄は、大学院進学を決めている。
和室にこだわりを持つ俺と違って、幸矢の部屋は洋室だ。
幸矢のベッドには、横たわったまま動かない女性と、その脇にひざまずいて様子を見ている親父。
姉妹だけあって、アイリスの面影がある気がする。
というか、かなり似てるかもしれない。
ただ、その雪のように白い顔には血の気がなく、二度と目を開かないということが伝わってくる。
「お姉様……」
アイリスはぽろぽろと涙をこぼし、膝からがくんと崩れ落ちた。
それをすんでのところで受け止める。
「どう? もう動かないの?」
幸矢が親父に話しかける。
「……ああ、もう完全に機能を停止している。もうヘリオトロープは動くことはない」
「そんな……」
「そっかー。残念だなー。結構気に入ってたんだけど」
「それじゃ、父さんは研究所に戻るよ。ヘリオトロープはどうする?」
「ああ、親父んとこ連れてってよ」
「そうか……」
親父はヘリオトロープを抱き上げ、アパートを出ていった。
「……あ、そうだ、修矢、メイドロボットいらながってたじゃん。それ、俺にくれよ」
「なっ……!?」
今、何て言った?
『それ』だって?
そもそも、なぜヘリオトロープが機能停止したのに、こんなにあっけらかんとしていられるのだろう。
わずかしか会ったことがないというアイリスでも、こんなにも悲しんでいるのに。
その何十倍、何百倍もの時間を共に過ごしたはずのこの男は、なぜ悲しくないのだろう。
「いらないんだろ? 俺にくれよ」
「……嫌だ」
俺は、ヘリオトロープと会ったのは、今日が初めてだ。
いや、正確には『会った』とは言えないだろう。
ヘリオトロープは機能を停止していたのだから。
だから、俺にはヘリオトロープの人柄はわからない。
でも、きっとアイリスと同じように、自分を犠牲にしてでも、幸矢のことを考えて、幸矢に優しくしていたに違いない。
そんなヘリオトロープに対して、なぜ……
「……なぜ、泣かないんだ?」
「は? 泣く? 何で?」
心底意外そうな顔をされた。
「普通、モノが壊れたくらいじゃ泣かないだろ?」
「っ……」
……理解した。
幸矢は、ヘリオトロープもアイリスも、『モノ』としてしか見てないんだ。
だから、こんな態度が取れるんだ……
「……モノなんかじゃない」
「は?」
「アイリスもヘリオトロープも、モノなんかじゃないっ! 二人とも、生きてるんだ!」
少なくとも、俺の目には、目の前のこの男よりもずっと、アイリスのほうが人間らしく見える。
「……あー、はいはい、親父みたいなこと言わなくていいから。さっさと帰んなよ」
面倒くさそうに手で追い返すようなジェスチャーをする。
「アイリス、行こう」
「……はい」
最悪な気分の帰り道だった。
無言のまま、アパートについた。
本当は話したいことがあったのに。
ショックを受けているアイリスを慰めてあげたかったのに。
俺は、アイリスのことを、モノではなく、人間として見てると言いたかったのに。
サークルの友達だって、同じように見てくれているはずだと言いたかったのに。
……なんとなく、言い出せなかった。
「修矢さん」
口火を切ったのは、アイリスだった。
「私、修矢さんに『モノなんかじゃない』って言ってもらえて、とてもうれしかったです」
「…………」
「修矢さんはやっぱり、お優しいのですね」
「……違うよ」
俺は、アイリスが思っているような立派な人間なんかじゃない。
「俺は、アイリスが好きだから……だからしてるだけなんだ。優しいからじゃない」
言葉にしてしまったら、歯止めが利かなくなった。
思わず、震える華奢な体を抱きしめた。
「あ……」
一瞬びっくりしたようだったが、そっと身を任せてくれた。
「修矢さん……」
おずおずと背中に両手が回される。
その感触がくすぐったくて、気持ちよくて、ぞわぞわした。
「……私も、修矢さんのこと、好きです」
「……よかった」
なんだか、胸のつかえが取れたような思いだった。
不意にアイリスが腕を俺の首に回し、くいっと下を向かせた。
そして、その瞬間――
ちゅ
唇に、柔らかくて温かい感触。
「……私の、ファーストキス、です」
「……俺もだ」
二人で小さく笑いあった。
「アイリス、もう一回、してもいいか?」
「……はい」
目を閉じたアイリスに、そっと口付ける。
さっきよりも長いキス。
アイリスからは、媚薬のような甘い香りが漂ってくる。
長く触れ合っていると、もっと触れ合いたい衝動に駆られる。
その衝動に身を任せ、舌でアイリスの唇をなぞった。
「んむぅ……!? ん、ちゅ……」
驚いたのは最初だけ。
薄く開いた唇の間から、アイリスの口内へと侵入する。
「ん、ちゅ……ちゅうっ……んふぅ……」
アイリスの口内は熱く、めまいがしそうだ。
甘い唾液は媚薬のようで、もっとアイリスがほしくなる。
その中で、柔らかい果実のような舌を探り出し、自分の舌を絡める。
「んはぁ……ぴちゅ……んむ……ちゅ……」
アイリスの舌を吸い出し、甘噛みする。
二人の混じりあった唾液を嚥下する頃には、もう我慢できなくなっていた。
「ごめん、アイリス、俺、もう我慢できない……」
そう言って、興奮した下腹部をアイリスの体に押し付ける。
「あ……はい……」
アイリスはこくりとうなずき、敷きっぱなしになっていた布団に横になった。
心臓がうるさいほどに高鳴っている。
アイリスも、体を硬くしていて、緊張しているのがありありとわかる。
緊張をほぐすように、そっと口付ける。
「ん……」
「安心して。俺も初めてだけど……絶対に優しくするから」
頭を撫でてあげると、だいぶ体から力が抜けたようだ。
「はい……ありがとうございます」
ささやくような声。
決して弱々しくはなく、耳に心地よい。
至近距離でないと聞こえない、二人だけの声だ。
頬にキスをしながら、アイリスのみずみずしい太ももに触れた。
「んん……」
くすぐったそうに身をよじる。
アイリスの太ももは、しっとりとして、手に吸い付いてくるようだった。
細いのに適度に肉がつき、いつまでも触っていたいと思った。
首筋にキスの雨を降らせながら、太ももをゆっくりと上下にさする。
「ん……ふぁ……」
「……気持ちいい?」
「えっと……よく、わかりません……頭が、ふわーっとして……」
とろんとした表情に、きらきらと光を反射する潤んだ瞳。
「アイリス、かわいい……」
「え……あの、んむ……ちゅ……ちゅう……」
思わずキスをした。
キスをしながら、アイリスの胸をまさぐる。
「んんっ……ん……ちゅ……」
そこは、メイド服の上からでもわかるほどの柔らかさを持っていた。
「んぅ……はぁ……しゅう、や……さん……」
押し当てた手をわずかに動かすだけで、アイリスの口からは甘い吐息がこぼれる。
そんな甘い声を出されると、もっと感じてほしくなる。
「アイリス、服、脱がすよ」
「え……? あの……」
アイリスは少し困惑した表情を浮かべたが、それを無視してエプロンの肩紐をするりとはずす。
続いてリボンを解き、ボタンを上から順に外していく。
ぷちっ、ぷちっ……
首筋、鎖骨とあらわになり、だんだんともっと下まで目に飛び込んでくる。
もはや、心臓の音よりも血の流れる音の方がうるさく感じるくらいだ。
メイド服の、腰から上にだけあるボタンをすべて外し、アイリスの上半身を露出させる。
「しゅ、修矢さん……」
アイリスは顔を真っ赤にし、両腕を体の前で組み、下着を隠そうとした。
「アイリス、綺麗だよ……」
頬にキスしながら、そっと腕をどかせる。
清楚でシンプルなデザインの白い下着は、アイリスによく似合っていた。
真ん中にリボンのワンポイントが入っている。
カップから覗くアイリスの胸に、吸い寄せられるようにキスをした。
「ん……ふぅ……」
すると、アイリスは俺の頭を抱きかかえるように腕を回した。
「アイリス……」
キスを続けながら、両手をアイリスの肩にかけ、抱き起こす。
そして、その手を背中に回して、ブラのホックを外した。
「あ、修矢さん……」
少しとがめるような口調で言いながらも、アイリスは嫌がらなかった。
ブラを外して、再びアイリスを寝かせる。
桜色の頂上は、つんと天井を向いていた。
その突起を口に含む。
「んん……! はぁ……っ……」
一瞬、アイリスの体がびくんっと跳ねた。
唇全体で乳房に吸い付きながら、舌のざらざらした部分で突起をこする。
「ひゃぅんっ!? あ、あ、し、しゅうやさぁん……」
アイリスの声が一段高くなった。
もう一方のふくらみを掌で包み、ゆっくりと揉みしだく。
「ふあ……! ぁん……あ……!」
突起を指先でつまむ。
「んはぅっ! ぁあ……!」
「アイリス、かわいいよ」
「しゅうやさん……」
雪のように白い頬は、桃色に上気している。
スカートをそっとめくり上げていく。
アイリスは何も言わずに、じっとその様子を見つめる。
上とおそろいの、白のシンプルなデザインの下着。
だが、愛液でぐっしょりと濡れていて、清楚というよりは扇情的だった。
「アイリス、濡れてるよ」
「……修矢さんが、いっぱい触るからですよ……」
ぷいっと拗ねたようにそっぽを向いた。
そっぽを向いたことであらわになった首筋に口付ける。
「修矢さん……」
唇を離すと、至近距離で目が合う。
そのまま唇にもキス。
「ん……」
機嫌が直ったところで、秘所へ手を伸ばす。
「ひゃんっ!?」
指先がそこに触れると、アイリスは今までで一番大きな反応を示した。
「ごめん、痛かった?」
「ちょっと……びっくりした、だけです……」
アイリスは息も絶え絶えにそう言った。
また少し緊張したように体を強張らせているので、ほぐすように優しくキスをする。
「ん……んん……ちゅ……」
すると、アイリスはむさぼるように求めてきた。
それに応えるように、俺もアイリスを求める。
「ん……ちゅぅ……ちゅ……ぴちゅ……」
舌が激しく絡みあい、口の周りは唾液でべとべとになった。
口を離すと、唾液の橋ができる。
頬やあごや首筋にキスの雨を降らせながら、秘所を指先でそっとなぞる。
「んっ……! ひゃうっ! ぁんっ! あぁ……っ!」
ぐっしょりと濡れたそこは、まるで熱湯が湧き出る泉のように熱かった。
1月4日 金曜日
いつもと変わらない朝。
アイリスが用意してくれた朝食をとっているときのことだった。
ピリリリリッ、ピリリリリッ
突然携帯が鳴った。
サブ画面を見ると親父から。
どうせまたくだらない用事なんだろうな……
無視するわけにもいかないので、しぶしぶ電話に出る。
「もしもし?」
「修矢、ヘリオトロープが機能停止した」
「……は?」
一瞬、何を言われたのかわからなかった。
親父にしては珍しく真面目な声だったせいかもしれない。
なじみのない単語が使われたせいかもしれない。
いずれにしろ、俺の頭がそれを理解するのにはたっぷり数秒が必要だった。
「えっ、ちょっ……ヘリなんとかってアイリスのお姉さんだよな。機能停止ってどういう意味だよっ」
「えっ……!?」
ごとんっ
アイリスが持っていたカップをテーブルに落とした。
しまった、失言だったかな……
「聞いての通りだ。アイリスの姉は、活動を停止した。……人間で言えば、死んだということだ」
「そんな……」
そんなのって……
「もうすぐ幸矢のところにつくんだが、お前も来るか? アイリスも来たがるだろう」
「……ああ、行くよ」
「わかった。アイリスはかなりショックを受けるだろうから、お前がしっかりしてろよ」
「わかってる」
ピッ
「修矢さん、どういうことですかっ?」
アイリスが掴みかからんばかりに聞く。
アイリスにしては珍しい態度だった。
「アイリス、お姉さんが機能を停止したそうだ。これから親父がお姉さんのところに行くから、俺たちも行こう」
「……はい」
兄・幸矢のアパートについた。
俺と同じ大学に通っているので、アパートは徒歩で数分の距離だ。
もうすぐ卒業する兄は、大学院進学を決めている。
和室にこだわりを持つ俺と違って、幸矢の部屋は洋室だ。
幸矢のベッドには、横たわったまま動かない女性と、その脇にひざまずいて様子を見ている親父。
姉妹だけあって、アイリスの面影がある気がする。
というか、かなり似てるかもしれない。
ただ、その雪のように白い顔には血の気がなく、二度と目を開かないということが伝わってくる。
「お姉様……」
アイリスはぽろぽろと涙をこぼし、膝からがくんと崩れ落ちた。
それをすんでのところで受け止める。
「どう? もう動かないの?」
幸矢が親父に話しかける。
「……ああ、もう完全に機能を停止している。もうヘリオトロープは動くことはない」
「そんな……」
「そっかー。残念だなー。結構気に入ってたんだけど」
「それじゃ、父さんは研究所に戻るよ。ヘリオトロープはどうする?」
「ああ、親父んとこ連れてってよ」
「そうか……」
親父はヘリオトロープを抱き上げ、アパートを出ていった。
「……あ、そうだ、修矢、メイドロボットいらながってたじゃん。それ、俺にくれよ」
「なっ……!?」
今、何て言った?
『それ』だって?
そもそも、なぜヘリオトロープが機能停止したのに、こんなにあっけらかんとしていられるのだろう。
わずかしか会ったことがないというアイリスでも、こんなにも悲しんでいるのに。
その何十倍、何百倍もの時間を共に過ごしたはずのこの男は、なぜ悲しくないのだろう。
「いらないんだろ? 俺にくれよ」
「……嫌だ」
俺は、ヘリオトロープと会ったのは、今日が初めてだ。
いや、正確には『会った』とは言えないだろう。
ヘリオトロープは機能を停止していたのだから。
だから、俺にはヘリオトロープの人柄はわからない。
でも、きっとアイリスと同じように、自分を犠牲にしてでも、幸矢のことを考えて、幸矢に優しくしていたに違いない。
そんなヘリオトロープに対して、なぜ……
「……なぜ、泣かないんだ?」
「は? 泣く? 何で?」
心底意外そうな顔をされた。
「普通、モノが壊れたくらいじゃ泣かないだろ?」
「っ……」
……理解した。
幸矢は、ヘリオトロープもアイリスも、『モノ』としてしか見てないんだ。
だから、こんな態度が取れるんだ……
「……モノなんかじゃない」
「は?」
「アイリスもヘリオトロープも、モノなんかじゃないっ! 二人とも、生きてるんだ!」
少なくとも、俺の目には、目の前のこの男よりもずっと、アイリスのほうが人間らしく見える。
「……あー、はいはい、親父みたいなこと言わなくていいから。さっさと帰んなよ」
面倒くさそうに手で追い返すようなジェスチャーをする。
「アイリス、行こう」
「……はい」
最悪な気分の帰り道だった。
無言のまま、アパートについた。
本当は話したいことがあったのに。
ショックを受けているアイリスを慰めてあげたかったのに。
俺は、アイリスのことを、モノではなく、人間として見てると言いたかったのに。
サークルの友達だって、同じように見てくれているはずだと言いたかったのに。
……なんとなく、言い出せなかった。
「修矢さん」
口火を切ったのは、アイリスだった。
「私、修矢さんに『モノなんかじゃない』って言ってもらえて、とてもうれしかったです」
「…………」
「修矢さんはやっぱり、お優しいのですね」
「……違うよ」
俺は、アイリスが思っているような立派な人間なんかじゃない。
「俺は、アイリスが好きだから……だからしてるだけなんだ。優しいからじゃない」
言葉にしてしまったら、歯止めが利かなくなった。
思わず、震える華奢な体を抱きしめた。
「あ……」
一瞬びっくりしたようだったが、そっと身を任せてくれた。
「修矢さん……」
おずおずと背中に両手が回される。
その感触がくすぐったくて、気持ちよくて、ぞわぞわした。
「……私も、修矢さんのこと、好きです」
「……よかった」
なんだか、胸のつかえが取れたような思いだった。
不意にアイリスが腕を俺の首に回し、くいっと下を向かせた。
そして、その瞬間――
ちゅ
唇に、柔らかくて温かい感触。
「……私の、ファーストキス、です」
「……俺もだ」
二人で小さく笑いあった。
「アイリス、もう一回、してもいいか?」
「……はい」
目を閉じたアイリスに、そっと口付ける。
さっきよりも長いキス。
アイリスからは、媚薬のような甘い香りが漂ってくる。
長く触れ合っていると、もっと触れ合いたい衝動に駆られる。
その衝動に身を任せ、舌でアイリスの唇をなぞった。
「んむぅ……!? ん、ちゅ……」
驚いたのは最初だけ。
薄く開いた唇の間から、アイリスの口内へと侵入する。
「ん、ちゅ……ちゅうっ……んふぅ……」
アイリスの口内は熱く、めまいがしそうだ。
甘い唾液は媚薬のようで、もっとアイリスがほしくなる。
その中で、柔らかい果実のような舌を探り出し、自分の舌を絡める。
「んはぁ……ぴちゅ……んむ……ちゅ……」
アイリスの舌を吸い出し、甘噛みする。
二人の混じりあった唾液を嚥下する頃には、もう我慢できなくなっていた。
「ごめん、アイリス、俺、もう我慢できない……」
そう言って、興奮した下腹部をアイリスの体に押し付ける。
「あ……はい……」
アイリスはこくりとうなずき、敷きっぱなしになっていた布団に横になった。
心臓がうるさいほどに高鳴っている。
アイリスも、体を硬くしていて、緊張しているのがありありとわかる。
緊張をほぐすように、そっと口付ける。
「ん……」
「安心して。俺も初めてだけど……絶対に優しくするから」
頭を撫でてあげると、だいぶ体から力が抜けたようだ。
「はい……ありがとうございます」
ささやくような声。
決して弱々しくはなく、耳に心地よい。
至近距離でないと聞こえない、二人だけの声だ。
頬にキスをしながら、アイリスのみずみずしい太ももに触れた。
「んん……」
くすぐったそうに身をよじる。
アイリスの太ももは、しっとりとして、手に吸い付いてくるようだった。
細いのに適度に肉がつき、いつまでも触っていたいと思った。
首筋にキスの雨を降らせながら、太ももをゆっくりと上下にさする。
「ん……ふぁ……」
「……気持ちいい?」
「えっと……よく、わかりません……頭が、ふわーっとして……」
とろんとした表情に、きらきらと光を反射する潤んだ瞳。
「アイリス、かわいい……」
「え……あの、んむ……ちゅ……ちゅう……」
思わずキスをした。
キスをしながら、アイリスの胸をまさぐる。
「んんっ……ん……ちゅ……」
そこは、メイド服の上からでもわかるほどの柔らかさを持っていた。
「んぅ……はぁ……しゅう、や……さん……」
押し当てた手をわずかに動かすだけで、アイリスの口からは甘い吐息がこぼれる。
そんな甘い声を出されると、もっと感じてほしくなる。
「アイリス、服、脱がすよ」
「え……? あの……」
アイリスは少し困惑した表情を浮かべたが、それを無視してエプロンの肩紐をするりとはずす。
続いてリボンを解き、ボタンを上から順に外していく。
ぷちっ、ぷちっ……
首筋、鎖骨とあらわになり、だんだんともっと下まで目に飛び込んでくる。
もはや、心臓の音よりも血の流れる音の方がうるさく感じるくらいだ。
メイド服の、腰から上にだけあるボタンをすべて外し、アイリスの上半身を露出させる。
「しゅ、修矢さん……」
アイリスは顔を真っ赤にし、両腕を体の前で組み、下着を隠そうとした。
「アイリス、綺麗だよ……」
頬にキスしながら、そっと腕をどかせる。
清楚でシンプルなデザインの白い下着は、アイリスによく似合っていた。
真ん中にリボンのワンポイントが入っている。
カップから覗くアイリスの胸に、吸い寄せられるようにキスをした。
「ん……ふぅ……」
すると、アイリスは俺の頭を抱きかかえるように腕を回した。
「アイリス……」
キスを続けながら、両手をアイリスの肩にかけ、抱き起こす。
そして、その手を背中に回して、ブラのホックを外した。
「あ、修矢さん……」
少しとがめるような口調で言いながらも、アイリスは嫌がらなかった。
ブラを外して、再びアイリスを寝かせる。
桜色の頂上は、つんと天井を向いていた。
その突起を口に含む。
「んん……! はぁ……っ……」
一瞬、アイリスの体がびくんっと跳ねた。
唇全体で乳房に吸い付きながら、舌のざらざらした部分で突起をこする。
「ひゃぅんっ!? あ、あ、し、しゅうやさぁん……」
アイリスの声が一段高くなった。
もう一方のふくらみを掌で包み、ゆっくりと揉みしだく。
「ふあ……! ぁん……あ……!」
突起を指先でつまむ。
「んはぅっ! ぁあ……!」
「アイリス、かわいいよ」
「しゅうやさん……」
雪のように白い頬は、桃色に上気している。
スカートをそっとめくり上げていく。
アイリスは何も言わずに、じっとその様子を見つめる。
上とおそろいの、白のシンプルなデザインの下着。
だが、愛液でぐっしょりと濡れていて、清楚というよりは扇情的だった。
「アイリス、濡れてるよ」
「……修矢さんが、いっぱい触るからですよ……」
ぷいっと拗ねたようにそっぽを向いた。
そっぽを向いたことであらわになった首筋に口付ける。
「修矢さん……」
唇を離すと、至近距離で目が合う。
そのまま唇にもキス。
「ん……」
機嫌が直ったところで、秘所へ手を伸ばす。
「ひゃんっ!?」
指先がそこに触れると、アイリスは今までで一番大きな反応を示した。
「ごめん、痛かった?」
「ちょっと……びっくりした、だけです……」
アイリスは息も絶え絶えにそう言った。
また少し緊張したように体を強張らせているので、ほぐすように優しくキスをする。
「ん……んん……ちゅ……」
すると、アイリスはむさぼるように求めてきた。
それに応えるように、俺もアイリスを求める。
「ん……ちゅぅ……ちゅ……ぴちゅ……」
舌が激しく絡みあい、口の周りは唾液でべとべとになった。
口を離すと、唾液の橋ができる。
頬やあごや首筋にキスの雨を降らせながら、秘所を指先でそっとなぞる。
「んっ……! ひゃうっ! ぁんっ! あぁ……っ!」
ぐっしょりと濡れたそこは、まるで熱湯が湧き出る泉のように熱かった。
