まだ世の中がVHSテープの時代、バイト先でふと立ち寄ったショップで「おれは男だ」の市販ビデオテープを全巻揃えたことがあった。


初めは全巻揃えるのではなく、記憶に残ってた回が収められてたテープを1本ずつバラバラで買っていたのだが、買いはじめたら、なんだかんだで全巻揃えてしまった。


だが、決して放送された順番通りに集めたわけではなかったので、その当時ビデオで見た放送順はバラバラだった。


それが多少なりとも気にはなってたのて、いつか全話をリアルタイム放送された時の順番で初回から最終回まで見返そうと思っていた。


いつか見よう、いつか見ようと思ってたのだが、それを実現させた時、改めて感じたことはいくつもあった。


まあ、本数がある分、見終わるにはそれなりに日数はかかったけれど。


 


かなり薄れていた記憶は多かったのだが、晴れて改めて放映順に見たら、いろいろ気がついたり思ったりしたことは多かった。


まず、これは森田健作さんの爆発キャラありきのドラマであったことを今更ながら実感。


森田さんのその後のイメージを決定づけた作品がこの作品で、ある意味森田さんは今でもこのドラマのキャラのイメージを大事にしている感じ。


 


それと、森田さんのキャラが強烈なのは確かだが、周りを固めた共演者も豪華なら、ゲストキャラも豪華だった。改めてそう思った。


レギュラーでは笠智衆さん、京唄子さんは印象的、


ゲストでは、石橋正次さん、志垣太郎さん、沖雅也さん、石田信之さん、フォーリーブス、ゴールデンハーフなど当時の人気スターが次々と出てくる。


それと当時ヒットしていた歌謡曲がふんだんに導入されていたのは贅沢感たっぷり。もったいないくらい。時には、れっきとした挿入歌のようであった。


 


このドラマのロケ地は鎌倉とか由比ヶ浜あたりの湘南エリアなのだが、湘南の海の景色はドラマ全般的に映し出されており、ドラマ全体に広がりやおおらかさをイメージづけてるように思えた。

見てて和むのだ。


シリーズ全話を通じて、湘南の海をはじめとする景観は、ドラマ全体に大きな彩りを与え、より明るく爽やかさを印象づけている。


巷では、森田健作さんといえば「青春の巨匠」というイメージがあり、海に向かって「バカヤロー」と叫ぶようなイメージもあるが、実際にドラマ内にはそんなシーンはない。


でも、森田さん扮する小林弘二という主人公はドラマ内でよく「バカヤロー」と言うシーンはあり、ドラマ全体に湘南の海がよく出てくるので、それらが結び付いてイメージ化に繋がったんだろう。


青春ドラマのシーンに海が似合うイメージが強くなったのは、このドラマによる影響は大きいと思う。


 


このドラマには、「女と男のユーモア学園」というキャッチコピーがあったようだ。


ということは、基本路線はコメディだったのだろう。

主人公の森田さん演じる小林弘二は、二枚目というより二枚目半のキャラだったし。

話し方など、後々よくモノマネされるほど、コミカルな部分は目立った。


とはいえ、しっかり二枚目の要素もあり、そのせいか女性にモテた。


本当、羨ましくなるくらいモテた(笑)。


少なくても、メイン級の女性キャラは、こぞって小林弘二に惚れていた。



もうひとりの主役級だったヒロイン吉川操、剣道のライバルでもあった丹下竜子、後半から登場し剣道部のマネージャーになった長沢麻里。

この3人は、揃いも揃って小林に惚れていた。


他にもゲストキャラの女性にもモテてた。


当事の若い男性にとっては、こんなキャラに自分もなれるものならなりたいと思わせるものがあったのでは。


 


個人的には、ドラマ内では私は丹下竜子の大ファンだった。演じていたのは小川ひろみさんという女優さん。



↑丹下竜子。名前も凛々しい。今はどうされているのだろう。



そんなファンはけっこういたみたいで、メイン級の吉川操よりも丹下の方が好きというファンは多かったらしい。


それは吉川操は男への対抗心が強く、意地っ張りでもあり、かなりツンデレだったのに対して、竜子は剣道の腕前は弘二と互角の剣士だったが、剣道を離れれば優しくておしとやかで可愛さもあり、それでいて凛々しい女性だったからかもしれない。


とはいえ、ドラマでのメインヒロインは操だったのも事実。



ヒロインである吉川操と丹下竜子は人気を二分していたと言っていいだろう。


ファンは吉川操派と丹下竜子派に別れていた感はあった。



改めてドラマを見返してみると、竜子が人気がでたのは、今の感覚でもわかる気がした。

今見ても実に魅力的だもの。


 


ちなみに私にはこれまで女性芸能人に夢中になったことはあまりないのだが、そんな私でもこれまでに3人程大ファンになった女性芸能人はいた。


ひとりはウルトラセブンのアンヌ隊員、それとシンガーソングライターのリリィさん、そしてもうひとりが前述の丹下竜子であった。

そう、丹下竜子は私にとってそれくらいのキャラだった。



竜子はシリーズの終盤に弘二から身を引き、離島のほうへ嫁いでいったが、ドラマ内から竜子がいなくなると妙に寂しくなったのを覚えている。


ドラマ内から大きな華と輝きがひとつ失われた気がして。


 


このドラマ放送時、ウーマンパワーがよく社会で取り上げられていたのだろう。


巷ではウーマンリブという言葉も話題になっていたのもあって。


ウーマンパワーの前でおとなしくなっていた男性たちに、「男たちよ、もっとしっかりしろ」というテーマのドラマではあった。


その辺が、このドラマが男にも女にも受けた理由のひとつでもあったろう。



ドラマ前半では特に元気な女性と、それに対抗する男性の対立が描かれ、対抗する男性のリーダー的な存在が森田さん演じる小林弘二であった。


でもドラマが進むにつれ、男と女が協力しあう展開も増えていった。


その裏には主役の小林弘二とヒロインの吉川操の恋もあり、その二人は対立してるように見えながらも二人の恋はだんだん周知の事実になっていった。



その対立や恋は、結局はっきりした決着はつかず、二人は協力しあうようになっていった。

そんな点もまた、このドラマのテーマでもあったのだろう。へんに対立するより、協力しあっていこうよ・・という感じ。



当時の世相にあって、小林弘二は男の憧れでもあり、女の理想とする男性像でもあったのだろう。


男はこんな男であってほしい…みたいな。


 




森田さんの強烈キャラ、湘南のおおらかで広がりのある風景、当事人気のあった様々なヒット曲の導入、個性豊かな登場人物、多彩なゲスト、番組のテーマ…などなど、このドラマが当時一世を風靡した理由が伝わってくる。

青春ドラマの金字塔のひとつであることは確かだ。


放映回順に見返すと、シリーズ構成としての全体の流れもつかみやすかった。



まあ、現代の感覚で視聴すると、「今ならこれはありえないな」とか、「今こんなことを言ったり、やったりしたら、問題になるだろうなあ」などと思える部分はあったけど、まあ、それはそれ。

古いドラマだしね。


 


それにしても、どんなに若い人であっても、どんなに若い頃に輝いた人も、時の流れは情け容赦なくオジサン、オバサンにしてしまうんだよね(笑)。


もちろん私自身も。


そして代替わりした「若い人の席」には、次々に現れる新たな若い人が座ってゆくのだ。

こればかりはどうしようもない。

それはこれまてもそうだったし、これからの未来も同じだろう。

時間的な現実なのだから、席は譲るしかないのだ。

世の中は、過去から現在まで、代替わりして、新しい未来へ向かっていく。



 まあ、年齢を重ねたことや、年月を経たことで出てくる魅力もあるけどね。


 

なにはともあれ、リアルタイム放送時、私に多大な影響を与えたドラマではあった。


私かこれまで見てきたドラマの中で、当時の私への影響力や印象度、熱中度でNo.1の作品が、この「おれは男だ」であったことは変わらないと思う。

ちなみに第2位は「俺たちの旅」。

僅差だけど。

私にとっては忘れられない「心の2大青春ドラマ」ではあった。