ずいぶんご無沙汰しております。
転勤などを経たため、まとまった時間が取れずに今に至ります。
駄文であっても書き残したいものはたくさんあるのですが筆(手)が重くって。
ただ、大好きなバンド、フジファブリックが超大傑作を世に放ってくれたため
「この嬉しい衝動はデジタルタトゥーのなったとしても残したい!
なにがなんでも、なにがなんでも、なにがなんでもさ」と
止められなくなり今にいたります。
前作『I LOVE YOU』は、フジ流のシティポップへの挑戦やコラボの妙に
スポットをあてた意欲作だと思った(もちろん嫌いではないんだけど)。
けど個人的には少しポップによりすぎ、きれいにしすぎという感想でして。
回顧厨といわれても仕方ないかも。
もちろん『LIFE』『F』といった2009年以降のアルバムも大好きです。
そこに嘘はない。
でも、正直いうと、実際は、「山内さんボーカルのアルバム、曲を聴くぞ。」と
脳内のモードを変えるというか、フィルターをかけるというか
意識的に聞き分けてきた節があって。
「志村さんがいたら、歌ったらまた違った感じになってたかも。」
これを思ったら絶対失礼だと思うから。
しっかり昔の曲も歌い継いでいるメンバーに対して失礼だと思うから。
ただ、やっぱり、ほんの少し、「もしまだ生きてたら…」を思ってしまうわけで。
原点回帰を謳った今作がリリースされると聞き、
もちろん期待もあったけど、自分の中の悪い回顧厨が出てくるんじゃないかという恐怖じみたものも
あったわけです。
(プラス仕事のストレスで)あまり健全なメンタルでないまま聞いてみたわけです。
今作はそんな荒んだ自分を見事吹っ飛ばしてくれた!!
軽く各曲の感想書くけど先に伝えたいことは
このアルバムのおかげで
過去と現在と未来のフジファブリックがようやく融合したという感覚をもたらしてくれたこと。
(熱心なファンの皆様、今更こんなこと言ってる僕を寛大な目で見てやってください)
どの曲も、昔のフジファブリックの良さ、今のフジファブリックの良さが交互に現れる感覚。
前述のお気持ち表明が杞憂に、嫌な回顧厨をぶっ飛ばしてくれた超快作であることは先に伝えときます。
①KARAKURI
1曲目にプログレッシブロックを持ってくるなんて普通思わんて!(笑)
ベースとキーボードの怪しい性急なユニゾン、変拍子のように聞こえるフレーズ。
7.80年代ハードロックのような展開。
歌謡の匂い(蒼い鳥のような重たいリズム)
ロックバンドとしてのフジファブリックを象徴する曲として今後もこの曲は立ちはだかるだろう。
②ミラクルレボリューションNo.9
レボリューション9とありますが、ちゃんと曲です。w
捻くれたダンスロックは十八番でしょうが、それの最新版。
変な曲ってやっぱ最高ですね。なにがなんでもさ。
③Portrait
今作のロックバラード枠。
ラスサビの
「空っぽな僕が何者かになれたのは
同じ景色を見てきたからさ
映るものがすべてじゃないけど
清濁携えて刻まれていくよ」
いままでも近い感情を歌にしてくれていたけれど
このフレーズで僕の中にあった無用な呪縛が解き放たれましたね。
あとラスサビ後のアコギのかき鳴らしがたまらん。
④プラネタリア
今作のストレートな、パワーポップ(クロニクル期を彷彿)
いや、ストレートなふりしてるけどブリッジ部分でハチロクだし、アウトロもコード進行、転調でひねっている。
にくいね!
⑤Particle Dreams
そしてこの曲では今の時代に合わせている、フジの最先端。
ギターロック感が無い寂しさは正直あるけど、メロの強さやギターの代わりにキーボードが潤沢。
このような曲は前作の挑戦がなかったら出なかったかも。と考えると前作も大事な作品だったなと再確認。
⑥音の庭
捉えどころのない今作の不思議枠。
マイナースケールのアコギ、3拍子で歌っている内容は難解じゃないくせにかなり怪しい。不気味さもある
なのにサビは謎の祝祭感。明るい進行。最後はハッピーエンドみたいなコードで締めるし。
途中はシューゲイズの匂いもするし。
はい、そんな感じのフジファブリックが好きなんです。
⑦音楽
自分に向けて歌われている箇所と、フジファブリックの決意表明も伝わる曲で
ちょうど仕事帰りの帰路で少し涙出た曲でもありやす。
歌詞を拝借すると
フジの新譜が良かったよなぁ 歌詞は何だっけか なぜか震えたんだ
ですよ。
「音楽聞けるだけまだマシなのかな 今日がダメでも明日はどうだ
そんな思いにさせて僕を救済する」
これがあるから音楽は最高なんだ。いつも僕を助けてくれる。
⑧月見草
アコギ、鍵盤ハーモニカが特徴の暖かい曲。
このノスタルジック感は『夜汽車』に通じてる。
⑨瞳のランデブー
PVで女の子に変なダンスさせる2大バンドの共演(笑)。
フレデリックも好きな某にとってはイントロ聞くだけで踊りたくなるもんで。
ソロの掛け合いに各々の性格やプレイスタイルが出ててにやける
ライブで聞きたいな…
⑩ショウ・タイム
(まだ接しやすいけど)プログレッシブロックで締めるとは思わんわい(笑)
この曲はとんでもなくて
5.60年?のような古き良きブルーズ、野太い渋いボーカルから
そこから八分の六拍子で推進力があるパートから
一転小気味よいカントリーな味わいの4つうち
と思ったら不思議進行のキーボードから
カッコよいロックサウンド
王道なJpop感もある。
この曲でも泣きそうになった。なぜなら
志村さんがいたころのヘンテコな、クセがありながらも人懐っこくてカッコいい面も
山内さんがボーカルを引き継いでからの器用にポップでありながら捻りをいれている面も
今まで見てきた聞いてきたフジファブリックの姿も
この先、それこそ清濁全部かき混ぜてまだ新しい面もみせてきたから。
今後も最高なロックでポップなショウを見せてくれるんだと思うと
涙腺が緩んだわけで
全然言い表せない!言葉がたりないすくないw
今後の動向がやっぱり楽しみだし、このバンドを好きでよかったと思える超名盤です!
(志村さん時代のまま止まってしまっている人にこそおすすめです!)
総評★★★★★
今後もうすこしコンスタントに書けたらと思います。ベボベや中村一義さんはじめすばらっしい音楽には浸ってるからなんか残したいし。