最近は、字の練習をしています。

 

一番売れているという

「ペン字練習帳」を買いました。

 

練習のためにページを切って使ってます

 

何故、この歳で

練習しているのかというと

字が圧倒的に汚いからです。

 

取材メモなどを見返すと

自分で読めないほど

昔から字が汚いです。

 

恥ずかしいと

この歳になって思いました。

 

「愛蔵版それいぬ」のサイン会で

為書きを書く時、

デザイン化して書いてはいるけど

本来、字が綺麗なら

もっと美しく書けるのにと

非常に後悔しておりました。

 

4000円もする本に

こんな汚い字でサインをするとは

申し訳ないとガチで思いました。

 

なので、字の練習を決意しました。

 

まだひらがなの段階ですが、

トレーシングペーパーを上に重ね

暇が見つかればコツコツと

何度もお手本の字をなぞっています。

 

進展しないけど昨日より今日の方がマシと思いたい

 

全然、上手くなりません。

始めてまだ一ヶ月半くらいなので

当然ですね。

 

努力を厭い、

子供の頃から、計算問題や

暗記問題は捨てて

得点の高い応用問題で点を稼ぐ

人間でした。

 

でも、

積み重ねと基礎が大事なのは

知っています。

 

文章が上手いのは、多分、

知らない間にそれをしていて

それをするのが

苦でなかっただけの

ことだと思います。

 

字を綺麗に書けるには

基礎練しかないでせう。

 

普通に読める字を書ける

ようになるまで

一年以上は掛かると思います。

 

キーボードを叩くばかり

普段、

字を書く機会もありませんし。

 

でもこうして

コツコツとやるしかないことを

している時間って

良いなぁと思っています。

 

次のサイン会には

少しは今より

上手くなっているはずだし

努力の蓄積がそのまま反映される

行為が愛しいです。

 

滑るので下敷きを使いましょう

と書いてあったので

ダイソーで

透明な下敷きを買いました。

 

最近、ボールペンではなく

鉛筆の方が滑らないし

手が字の形を覚えるし

良いことが解りました。

 

鉛筆がおすすめです

 

横着をせず、

狡いこともせず

真摯に字と向き合います。

 

文章を書く

仕事をしているのだから

字をある程度綺麗に書くのは

読者に対する礼節だとも思うので。

 

「あ」とか「な」とかは

少しだけ掴めてきましたが

「い」とか「し」は

ホント、丸暗記、身体に覚えさせる

しかありませんよね。

 

頑張りますよ。

関係ないけど伊藤軒のチョコいちご畑と私

 

 

 

書く内容や

自分のポジションを変更しなければと

岐路に立った時期があります。

 

映画のヒットもあって

メディアへの露出も多くなった、

多分、一番、売れていた時期です。

 

サイン会の雰囲気が

少し変化したのを感じました。

 

それまではリスカ常習者とか、

凍りついて只、泣くばかりとか、

困った人達が多かったのですが、

一寸、ポップな空気感が漂い始めました。

 

スターに逢いに来ているような感じ、

カジュアルに参加する人が増えました。

 

それは嬉しいことでもあったので、

それならば今までのようなもの

限られた人しか

受け入れないものではなく

もう少し間口の広いものを

書かないといけない

のだろうなと思いました。

 

結局、そうしませんでした。

なんか、違う気がしたのもあるし

そもそもそれが出来るような

作家ではなかったのかもしれません。

 

この岐路は、創作をする者だけでなく、

ある段階までくると

他の仕事をする人も

経験するものだと思います。

 

屋台から始めたラーメン屋が評判になり、

店を構えるようになり、支店をだし、

デパートからうちのレストラン街に

出店しませんか? 

 

誘いがくるに至る時とかね。

 

レストランへの出店は

嬉しいことだし、

端的にいって成功ですよね。

 

でもそうするには、

やっぱり屋台を一人で

切り盛りしていた

時代とは違うやり方で

ラーメンを作らねばならなくなります。

 

味や品質に妥協はしないのですが、

屋台の頃と

同じものが出せないのは当然です。

 

どこかで上手く

マスプロダクト化の

調整をしなければならない。

 

本当はあの時、

レストランへの出店を

するべきだったのだろうと

今でもよく思います。

バラエティ番組のレギュラーの

オファーを断らなきゃ良かったとか

文壇の中央に積極的に

食い込むべきだったとか、後悔します。

 

思い返せば、青臭い意地を張りました。

 

僕がそうなれば

「それいぬ」や「ミシン」を

ボロボロになるまで読んでくれる人は

何処に行けばいいのだと……

しょうもない意地を張りました。

 

結果、皆が思っているより

僕は意外と貧乏で

老後、大丈夫か?

心配な毎日を過ごしています(笑)。

 

でもね、

そうしなくて良かったのかもと

今回の「愛蔵版それいぬ」の

サイン会をし、本日、

もらったお手紙を読み終わり、

思い直したりしています。

 

 

愛読者の貴方へ――。

 

貴方の

愛は重すぎますよ(笑)。

 

とはいえ、そうさせたのは僕だし、

責任はとるしかないですよね。

 

文学だって所詮は

エンタテイメントですので

軽い気持ちで好きになったり

嫌いになったりすれば良い。

 

一生、特別だと言ってくれたとて、

歳月が経てば忘れてしまう。

それで構わないのです。

 

解ってはいるのですけど、

多分、それでも僕という人間は

強欲で神様よりも家族や恋人よりも、

貴方の特別な

存在になりたいのでしょうね。

 

何様だと

不快に感じる人の方が多いでしょうが、

あのねぇ、自分の文章を

人に読ませようとする人間が

不遜なのは当然なので、

反省はしませんよ。

 

昨今は推し活なるものが

経済を回すので

僕も推してくださいとか

口にしますが、

お手紙を読んでいると

これは推し活とは

異なるもっとヤバいものだと

痛感します。

 

文学だって

所詮はエンタテイメントなのですが……

文学には、それだけで片付けられない

ものが配合される場合があり……。

 

そしてそれを

読んだ人が書いた人に

伝えようとする時、

SNSなど電子媒体では

伝えられないものがあって

 

表現が下手であろうと、

手紙が一番、

多く情報が詰め込まれるんだろうと。

 

綺麗な字、汚い字、

素敵な便箋、そうではないもの、

色々ありますが、

読んでいて得心させられます。

 

電子媒体は

多数に向けて発信するもの

お手紙は

僕にだけ宛てられたものですし

やっぱり破壊力がスゴいです。

 

ラーメン屋の大将だって

多分、食べログの評価を気にしつつ

カウンター越しに、

汁を全部飲み切った器を置かれ

「ご馳走様!」と言われる時にこそ

快感を覚えるでしょうし。

 

売れないと

次の本が出せないし

拡散はして欲しいのですが、

 

本はマンツーマンで書いた者と

読む者が向き合う媒体だし、

限られた人の為の

ものであってもいいですよね。

 

私だけのものだという

貴方の独占欲に

可能な限り今後も

応えたいと改めて思う。

 

サイン会の待ち時間、

互いに淑やかに

会釈を交わし合いつつ、

貴方達に野ばらちゃんの何が解ると

意地の悪いことを思う

貴方のことが好きです。

 

そういうふうに僕は貴方を育てました。

 

だから益々、貴方が混乱するよう、

一緒に写真を撮る時、

手を握ったり、頭を撫でたり、

狡い攻撃を仕掛けます。

 

 

お手紙やサイン会に来てくれた

一人ずつへの返信のつもりで書いたので

長文になりました。

 

では、またね。

 

嶽本野ばら

 

対面の際は二人きり仕様の

会場設定は聖地ジュンクならでは

開始前に少しラクガキしたクマさんのイラスト

今年のクリスマスは、というか昨日の23日は、ウクライナ国立バレエ「雪の女王」を観に行っておりました。一階15列の中央、めちゃいい席!

オーケストラ付きの公演なので多少、お高いのですけれども、生演奏で上質のクラシックバレエの公演が観られるのですから文句をいってはいけません。

今年はそこそこに頑張ったような気がするので、自分へのご褒美的な観劇でもありました。

「雪の女王」はウクライナ国立バレエが拵えた演目で、音楽はシュトラウス2世のワルツとかいろんな作曲家の曲をピックアップする形で作られていて、内容は「くるみ割り人形」に似た感じなのですけれども……僕は一等、「くるみ割り人形」が好きですので、嬉しいのです。

だって「くるみ割り人形」って金平糖の精がダンスしたりするではないですか、最強ですよ。

ハッピーエンドの内容、クリスマス付近の上演ということもあり、親子連れのお客さんも多かったです。大抵は母と娘、その娘さん(小学生くらい)は90%――髪を引っ詰めているのが微笑ましい。絶対にバレエ、習っているお子様です。

クリスマスに一人でバレエを観に行っている自分が好きです。普通に考えたら淋しいことなのかもしれないですが、そういう自分が好きだったりします。

お昼、少し遅めに一人でいきなりステーキで、ワイルドステーキを200gで単品、頼んで食べて(塩と胡椒しかかけない)、バレエの後は、ラーメンをすすって家路に着く自分をそこそこに気に入っています。

小説家デビュー25周年の節目、振り返ると波乱万丈で苦しいことの方が多かった気がします。でもどんな時も自分を自分で好きでいさせてあげる努力はしていました。

多分、お洋服を選ぶのも、本を読むのも、自分を自分で好きでいさせてあげる努力だったのだろうなと思います。自分がつまらない、結構、嫌な、下品な人間であるのは知っているのですけれど、自分は自分から離れられないので、どんな時も自分だけは自分と仲良くしてあげています。

神様が愛してくださる以上に僕は僕を可愛がってきました。

これからもそうあれればいいなと思います。

貴方も貴方を可愛がり贔屓し、一番大好きでいられますように――。

恋人より家族より自分を一番、推せますように――。

自分のいいところを一杯、書き出すことが出来ますように――。

生まれ変わっても私がいい、この人生がいいと思えますように――。

 

 

追伸

 

「愛蔵版それいぬ」が出ます。お高いです。すみません。だからサイン会に来てくださる方、無理してプレゼントとか用意してくださらなくて大丈夫です。お手紙だけで嬉しいです。

 

2025年12月24日に記す 嶽本野ばら

 

 

カーテンコールは撮影OKというサービス

 

⚫︎愛蔵版それいぬサイン会

https://honto.jp/store/news/detail_041000124404.html?shgcd=HB300