ここまで3回にわたって、

断捨離を学んで、私の仕事がどう変わってきたのかを書いてきました。


「一発でできる自分でなければならない」

「楽しい仕事で100点満点を出したい」

「私のやり方が正しい」


そんな思い込みを、一つずつ手放してきました。




振り返ってみると、仕事の仕方が変わったことで、もう一つ、大きく変わったことがあります。


それは、


「今」にいられるようになったこと。



以前の私は、

とにかく「今」を生きるのが苦手でした。


仕事中もそうです。


会議に参加しているのに、頭の中では、


「あの資料、まだ終わってないな」

「あの人に返信しないと」

「次のタスク、どうしよう」


別の仕事のことを考えている。


目の前で話している人の言葉を聞きながら、

意識は別の場所にありました。


家庭でも、同じでした。


子どもと遊んでいるのに、


「このあと夕飯を作らなきゃ」

「お風呂にも入れなきゃ」

「明日の準備もしなきゃ」


あるいは、


「この子の将来、大丈夫かな」


と、まだ起きてもいない未来のことを考えたり。


さっき子どもに怒ってしまったことを思い出して、

「あんな言い方しなければよかった」

と、もう終わった過去に気持ちを持っていかれたり。


身体は家族と一緒にいる。

でも、頭はいつも、

過去か未来にいました。


子どもから、


「これやりたい!」

「あっち行きたい!」


と言われても、


「今は無理」

「次にこれをやらないといけないから」


と、反射的に断っていた気がします。


次の家事があるから。

予定があるから。

時間がなくなるから。


私の中にはいつも、

「次にやるべきこと」

がありました。


だから、目の前の子どもの気持ちよりも、

頭の中にある予定表の方を見ていたのです。




ところが、断捨離を続けるうちに、

仕事の仕方が少しずつ変わっていきました。


今、自分は何をするべきなのか。

この仕事の目的は何なのか。

その中で、自分の役割は何なのか。


全部を抱え込まず、その場で判断する。

区切るところでは、きちんと終わらせる。

必要なら、人に任せる。


目の前の仕事に向き合いながら、

目的を見失わない。


そんなことが、

少しずつできるようになっていきました。



そしてある時、

これ、家庭でも同じなんじゃないか

と思ったのです。


私が家族と過ごす目的って、何だろう。


家事を予定通りに終わらせること?

子どもを自分の思った通りに動かすこと?


もちろん、夕飯も、お風呂も、明日の準備も必要です。


でも、それらは全部、手段です。


もっと大きなところでは、


私は、家族と一緒に、この人生を楽しみたい。


そう思っています。


だったら、今、この子が何を求めているのか。

どんな顔をしているのか。

何を一緒にしたら楽しいのか。


そこを見て、その時その時で判断すればいい。

そう思えるようになりました。




もちろん、子どもの要求を全部聞くわけではありません。


「今日は無理」

と断ることもあります。


でも、

「次にこれをしなければならないから、ダメ」

と自動的に答えるのではなく、

一度、今に戻って考える。


家族とこの時間を楽しむという目的から考えたら、今はどうしたい?

そう考えてみる。


すると、

「まあ、今日はそれやってみようか」

と言えることが増えました。


子どもたちは、以前よりずっと、

「あれしたい」

「これしたい」

と言うようになった気がします。


昔の私が見たら、

「そんなにわがままを聞いていいの?」

と思うかもしれません。


でも、今の私は、そうは思いません。

私が何でも言うことを聞いているわけではない。

その都度、自分なりに目的に照らして選んでいるからです。


そして何より、

子どもは楽しそうです。


私も楽しい。


だったら、

私たち家族が一緒に人生を楽しむ、

という目的には適っている。


それでいいんじゃないかと思えるようになりました。




考えてみれば、仕事も同じです。


別のタスクを抱えたまま、

目の前の会議に参加する。

終わった仕事をいつまでも頭の中に残す。

まだ起きていないトラブルを心配する。


全部、自分で何とかしようとする。


そうして私は、自分で「今」を埋め尽くしていました。


断捨離を通して、


今、この場で判断する。

抱え込まない。

終わらせる。

任せる。

目的に戻る。


そんな働き方ができるようになるにつれて、

私の頭の中にも、少しずつ余白ができてきました。


断捨離を始めた頃の私は、

家の中のモノを減らしたかっただけだったかもしれません。


でも、手放していったのは、モノだけではありませんでした。


「一発でできなければ」

「100点にしなければ」

「私のやり方が正しい」

「次はこれをしなければ」


そんな、今の自分を、

過去や未来へ連れていってしまう思い込みも、

少しずつ手放してきました。


この連載の最後に、私が仕事で断捨離したものを一つ挙げるなら、


「今を生きられない自分」


なのだと思います。


過去を後悔するのでもなく。

未来を先回りして不安になるのでもなく。


今、ここで。

何のためにいるのか。

自分にできることは何なのか。

目の前の人は、どんな顔をしているのか。


それを見ながら、その時の自分で選んでいく。


仕事でも。

家庭でも。


私は、そんなふうに生きられる時間が、少しずつ増えてきました。




そして、この連載を書きながら、


10月8日のやましたひでこ講演会のテーマ、


「なぜ、今、断捨離®なのか?」

を、改めて考えています。


私にとっての答えの一つは、


断捨離が、

「今、本当に大切なものに気づき、

今を選び直していくためのもの」

だからなのかもしれません。


家を片づけるためだけではなく。

仕事をうまく進めるためだけでもなく。


自分の人生を、

目の前にいる大切な人たちと、

ちゃんと味わうために。


だから私は、

今、断捨離なのだと思います。

 

 

あなたにとって、なぜ、今、断捨離?


 




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※断捨離は、断捨離提唱者やましたひでこの登録商標です。