もう十数年、月に二回都内まで電車に乗ってピアノレッスンに通っている。その前は同じスクールで英語のクラスに入っていた。ところがそのクラス、なぜかお金持ちの奥様がほとんどだった。病院長夫人とか社長夫人とか。

よく海外に行き、お土産を、それも安いものではなくいただいたりした。なんだか付き合いきれないなと思いながら行っていた。

 

当時、わたしは夫と二人暮らし、娘は九州にいて、息子は都内で一人暮らしをしていた。

ある日夫が、ピアノ、処分しようかと言い出した。確かに誰も弾かないピアノがリビングにでんと鎮座している。

でも、娘がたまに帰った時弾きたいだろうし、今手放したら絶対二度と買えない。

そう思って、数日後に私ピアノ習おうかなと言った。そして英語をやめて、ピアノのクラスに入った。

 

それから十数年。小学校のころに二、三年習ったので、発表会のために繰り返し練習した曲は指がまだ覚えていた。

 

今さら音大目指すわけでもなく、ピアノの先生になる気もない、そんなシニアのクラス。

だから弾きたい曲を指導してもらい、きれいに弾けるようになりたい、私はそんなスタンス。ツェルニーやハノンの教本は正直楽しくない。

曲のときも必ずしも自分のやりたい曲を選べるわけではなく、家で練習する気が起きない。練習しないと、次のときに練習不足が露呈し、なかなか仕上がらない。

 

この二、三カ月そんなことを思ううち、止めればいいじゃんと、心の中で私が言い始めた。ピアノは家で時間のある時好きな曲を弾けばいい。そうだ、そうよね、止めればいいわ。

 

娘が3歳くらいのころに買ったピアノ、年長のころから中二までと、高校生の二年ほど、レッスンに通った。孫娘も小学校の6年間習って、二人とも今でも来ると弾く。

 

ピアノ、捨てなくてよかった。

6月分まで会費は払ってあるが、6月の二回、行くか行かないか、まだ迷い中。