早朝にメールの着信があったと思ったら、昨日母が予定通り病院から施設へ移ったという兄からのものだった。

地震の影響もなく、昔からの病院から新しい病院へ、そしてついに施設入居となった。

何年か前、地域で一番高級な有料施設を見学し、今さら高いお金を出すの、寄付するみたいでアホらしい、と母は言っていた。そのころはまだ自分で身の回りのことはできていた。

次第にできないことが増えたころ、「今はいろいろあって、入居金の要らないところもあるし、お金は残さなくていいからね」

と言ったことがあるが、母の心は動かなかった。

 

98歳の今、ついに、という感じである。

後期高齢者の兄に、お疲れさま、今日はゆっくりして下さいと返信したら、あとで、今日は兄嫁と姉とで母の衣類を整理するというめーる。片付けても片付けても、底なしに出てくるだろうな。衣類だけではない。

古いし、サイズも違うので、もらっても困るものばかりだ。

あの年代は頂き物でもとにかくしまい込む。それが増えてゆく。

シーツをセットで買うとピンクとブルーがあって、ブルーしか使わない、なんていうこともあった。

ピンクをもらってきて、今我が家では娘と孫娘が敷パットに使っている。

 

わたしが高校生のころに建てた家。田舎から一人で出てきた父の、生涯で最も大きな買い物だった。

何度もリフォームや修理をしたが、毎年隙間風に悩まされていた。

あの家も、もう見れないかもしれない。

家をどうするかは、兄の判断次第。わたしは何も口に出さない。そう決めている。