左のミンクは結婚15年の時、夫が買ってくれたもの。 当時はうれしくて、寒い日を心待ちにして着たものだ。でもここ何年もしまったまま。 今どきミンクなんて着て歩いたら、動物を愛する人から石をぶつけられそうで落ち着かない。 それによほど寒い日でもダウンがあれば怖くないし。 軽くて暖かいという条件も、ダウンは満たしている。安くていろいろ替えられるのも楽しい。


右は娘が勤めていたころに買ったもので、上質である。都心への通勤に着ていた。もう娘は着ないが、わたしがお通夜の時に着れるからと、保有しているものだ。 娘が買ってから18年ほどの年月が過ぎている。わたしがお通夜に着たのは一度だけ。


さて、どうしたものか。


何事も買ったものは減価償却しないと気が済まない夫は、いまだに思い出して、「こんな日はミンクがいいじゃないか」なんて言い出すことがある。 着ないけれど、ゴミに出すのはためらわれる。


黒いコートも、いくら何でも骨董品の雰囲気を醸し出している。 捨てていいとは思う。 お通夜にしても、コートのまま焼香するわけではないので、地味な色目のものを着ていればいいわけだし。


棄てない、棄てる、棄てるとき、棄てれば、棄てろ。


娘にひとこと相談してからにしようっと。