個人商店で店番をしているわたしと同じような歳の女性が、いつもおしゃれだった。
ちょっと高そうなセーターなどを着、マニキュアもきれいにしていた。
食品店で店番をし、子供が三人いて、お姑さんもいるのに。
近所の人が、「あれはストレスの発散よ。他に何もできないから」 と。
なるほど、そういうことかと、妙に納得した。 もう二十年以上前のこと。
息子が幼稚園のころ、仲良しの友達のおかあさんがやはりおしゃれだった。
息子と同じ年が長男で、生まれたばかりの男の赤ちゃんがいて、舅姑と同居し、家事をすべてしていた。
それでもいつもきれいなセーターなど着ていて、「どこで買い物するの?」などと聞いたこともある。
あれも、ストレスの発散だったのかもしれない。 今のわたしにはわかる。
自分のための買い物は、何かのついででもいいし、行って成果がなくてもいい。
気まぐれで済むことには責任もない。 生活に支障ない範囲で、好きなようにできる。
わたしは今、夫と娘と孫娘の四人で生活をしていて、家事のほとんどを担っている。
夫と二人ならやらなくてもいいことを、ずいぶん負担している。
食品の買い物や調理する量が多いし、洗濯物も多い。 干すのは重労働だ。
時々、無性に腹立たしくなり、そんなときは、何か買っちゃえ! と思ったりする。
大したものは買えない。 セールの服や靴、ネットで買うにしてもたいていは安く済ませる。
それでも、大した外出もしないのに、もったいないかしらと思ったりもする。
でも、角度を変えてみよう。
洋服を買うのは、どこかへ出かけるためではなく、それが趣味だから、と。
趣味のために、少々のお金を使ってもいいじゃないか。
ずうっと、倹約しながら、子供を学校へやり、習い事もさせ、成人させたのだから。
趣味のための時間をなかなか得られない今、
ピンポイントの消費は、手っ取り早いストレス発散なのだ!
そう、今のわたしの趣味は 「おしゃれ」!