このところ毎日のニュースで、ウクライナ情勢が伝えられる。
ソビエト連邦がいくつかに分かれて、できた国の一つで、チェルノブイリを含んでいる。
わたしの知識はそんなものだった。
何年か前、ウクライナの映画を見た。「ウイスキー」というタイトル。
主人公は、靴下工場で働く一人暮らしの初老の女。
多少の粗悪品もいっしょくたに、激安店のような店に卸すような安い靴下を作る工場。
経営者はやはり初老の一人物の男性。
毎朝近所の喫茶店で朝食を獲る。 そのテーブルに、日本のラーメン屋さんで見かけるように
自由に使えるティッシュの箱が置いてあるのが、妙に印象に残った。
豊かではない国で、紙をふんだんに使うことに違和感を持った。
その工場主には、ブラジルで、やはり靴下工場を経営する弟がいて、近々母の法事に来るという。
弟の手前、妻がいることにしたいので、主人公の女性に、
弟が滞在する間、妻のふりをしてほしいと頼むのだ。
そのために、部屋をきれいにし、二人で撮った写真もなければということで、写真を撮る。
写真を撮るとき、「ウイスキー」と言うと、「チーズ」というのと同じように口元が笑ったようになる。
これがタイトルの由来。 「ウイスキー」はCAの研修などでも使われるようだ。
外国映画を見るとき、わたしはいつもそのストーリーよりも、映画の背景にある、
その国の人々の生活や文化や価値観に興味を持ってみる。
ウクライナという国を、この映画で少しは知ったと思っていたが、クリミア半島の歴史を、
つい最近少しかじって、一本の映画で知識を増やしたなどと思うのは間違いだと気付いたところだ。