
7日の東京株式市場では、米連邦捜査局(FBI)が米大統領選のクリントン民主党候補を私用メール問題で訴追しないと伝えられたため、先行き不透明感が和らぎ、幅広い銘柄が買われた。日経平均株価は前週末比271円85銭高の1万7177円21銭と3営業日ぶりに反発した。出来高は概算で17億6100万株。
東京外国為替市場では、米大統領選をめぐる先行き懸念が弱まったとして、安全資産とされる円を売ってドルを買う動きが強まった。午後5時現在の円相場は1ドル=104円44~44銭と前週末比1円23銭の大幅円安・ドル高。
9日の世界の主要市場は、米大統領選で獲得選挙人を確実に積み上げた共和党のトランプ氏の勝利に対する懸念から大きく動揺した。東京株式市場ではパニック的な売り注文が殺到し、日経平均株価は下げ幅が一時前日比1000円を超えた。アジア市場も下落しており、「トランプ・ショック」による世界同時株安の様相を呈した。
日経平均の終値は919円84銭安の1万6251円54銭と、8月3日以来約3カ月ぶりの安値となった。下げ幅は、6月に英国が欧州連合(EU)離脱を決めた国民投票時の1286円に迫り、今年2番目の大きさだった。東証1部の売買代金は3兆9242億円と、2月12日以来の高水準に膨らんだ。
経済や外交面で過激な政策を打ち出したトランプ氏の政策は不透明な点が多い。「今後の世界経済がどのようになるのか分からない」(大手証券)と、市場関係者は混乱状態に陥った。日本時間9日夜から始まる欧米市場での波乱も予想されるため、投資家心理は急速に冷え込んだ。
リスク資産の株式などが売られる一方で、安全資産とされる日本円や債券は積極的に買われた。午後3時時点の円相場は1ドル=101円77~78銭と、2円64銭の大幅な円高・ドル安。101円台を付けるのは約1カ月ぶり。
財務省と金融庁、日銀は9日午後3時から金融市場に関する情報交換会合を臨時に開き、対応を協議した。
10日の東京株式市場は、米大統領選で勝利した共和党のドナルド・トランプ氏に対する警戒感が後退したことから全面高となり、日経平均株価が大幅反発した。終値は前日比1092円88銭高の1万7344円42銭。今年最大の上昇で、上げ幅は約1年2カ月ぶりの大きさだった。外国為替市場では1ドル=105円台となり、約2週間ぶりの円安水準を付けた。
政策が不透明なトランプ氏の勝利を懸念して急落した「トランプ・ショック」から一転して、日経平均は上昇した欧米市場の流れを引き継いで1万7000円台を回復。前日の下落分(919円)を取り戻した。東証1部の売買代金は前日に続き3兆円を超え、活況の目安とされる2兆円を上回った。
市場では、これまでトランプ氏のリスクが注目されていたが、「勝利演説で過激な発言を控えていた。政策も現実路線に転じるのではないか」(大手証券)との期待が広がった。一方、具体的な政策や人事を見極めるには時間が必要だとの声もあり、当面は神経質な動きが続きそうだ。
東証1部全銘柄の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)は、75.19ポイント高の1376.35。出来高は概算で32億株。
一方で、安全資産とされる円や債券は売られた。円相場は、一時105円台後半まで下落した。「政権運営に対する不安感がやや後退し、投資家のリスク回避姿勢が和らいだ」(大手銀行)という。午後3時時点の円相場は、1ドル=105円28~29銭と、1円96銭の円安・ドル高だった。
東京債券市場では、長期金利の指標となる新発10年物国債の流通利回りが一時、マイナス0.035%まで上昇(債券価格は下落)し、約1カ月半ぶりの水準となった。
11日の東京株式市場は、次期米大統領に決まったトランプ氏の経済政策を期待した買いで続伸し、日経平均株価は取引時間中に2月2日以来ほぼ9カ月ぶりの高値まで値を上げた。終値は前日比30円37銭高の1万7374円79銭。利益を確保する動きもあって上げ幅は限られた。
外国為替市場では、円相場が約3カ月半ぶりに1ドル=106円台まで下落した。午後3時時点は106円50~51銭と、88銭の円安・ドル高。出来高は概算で33億9500万株。