
19日の東京株式市場では、原油価格の落ち着きを背景とした外国為替市場の円安・ドル高や、前日の米国株上昇を好感し、全面高となった。日経平均株価は終値が前日比598円49銭高の1万6874円44銭で、上げ幅が600円を超える場面もあった。値上がりは3営業日ぶり。
東証1部上場銘柄の92%が上昇した。自動車や電機などの業種では、熊本地震によるサプライチェーン(部品供給網)の寸断の影響が懸念されているものの、被害の程度が判明してきたことも買い戻し要因となった。
ただ、日経平均は4月に入って1万7000円を下回って推移している。市場全体では「株式投資に慎重な雰囲気が根強い」(国内運用会社)という。
東証1部全銘柄の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)は42.88ポイント高の1363.03。
熊本県を中心とする地震が発生して21日で1週間。東京株式市場に先行きへの不安が強まっている。工場の稼働停止などが長引くと、企業業績を悪化させ、株価にも悪影響を与える恐れがあるためだ。
当初、市場の受け止めは冷静だった。最初の大きな地震発生から一夜明けた15日は、米ワシントンで20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開催され、「投資家の関心は円高是正に関する議論に集まっていた」(大手証券)からだ。
しかし、次第に「企業の部品供給網の寸断が長期化しかねない」(銀行系証券)との懸念が浮上。原油価格の先行き不安という悪材料が重なった週明け18日は、日経平均が前週末比572円安と急落、円相場も1ドル=107円台に上昇した。
市場では、4月末から本格化する主要企業の2016年3月期決算発表を注視している。17年3月期の業績に与える地震の影響が市場の予想以上に深刻な場合、「日本株は再び売られ、安全資産とされる円を買う動きが強まりかねない」(外資系証券)という。
22日の東京株式市場は、外国為替市場での円安を好感して、自動車などの輸出関連株や銀行、不動産株に買いが入った。日経平均株価の終値は前日比208円87銭高の1万7572円49銭と4日続伸し、2月2日以来ほぼ2カ月半ぶりに1万7500円を上回った。
為替相場が1ドル=110円台に乗せる円安となり、投資家がリスク資産に資金を振り向ける動きを強めた。27、28の両日開催される日銀の金融政策決定会合での追加金融緩和に対する思惑も高まり、投資意欲が活発化した。