デンマーク準決勝進出、大荒れの欧州選手権 | デンマーク・ハンドボール観察日記

デンマーク準決勝進出、大荒れの欧州選手権

一年ぶりの更新である。

デンマークリーグどころか、好きなブンデスリーガもまったくフォローしてなく、夏明けからは生観戦は友達にフリーチケットをもらって一度行ったきりという低落で、ネタがなかった。。

 

しかし、1月といえば、国際大会。これだけは見逃せない。

しかも今回は、新監督Nikolaj Jacobsenの初めての大会ということで、どんな采配になるのか楽しみだった。なんといっても、彼はブンデスリーガのトップクラブである、Rhein-Necker Löwenの監督として、かなり戦略的な采配をする。

去年の世界選手権は、オリンピックあたりのスキャンダルで監督がかわいそうなことになっており、そのせいか準々決勝戦にでさえ進めないという低落であったが、今回は人事一新でけじめもついたことだし、新チームとしてどんな試合をみせてくれるのか楽しみにしていたのである。

 

その期待を裏切らず、Nikolaj Jacobsenの戦略的采配は毎回形を変えてみせてくれた。

 

一次リーグ

対ハンガリー戦:イマイチな展開であったが、Mikkel Hansen3度の2分退場でレッドカードになってからは、3度目のペナルティが理解しがたいものに闘志がわいたのか、皮肉にもそれで流れが変わった。3人のバック選手、Michael DamgaardMorten OlsenRasmus Lauge3人ともよかった。しかも、最後20分で変わったキーパーJannick Greenもめちゃくちゃよかった。

対チェコ戦:イマイチで敗退。やっぱりサウスポーバック不在って苦しい。それに、なぜRene Toftがあまり入らなかったのか謎。

対スペイン戦:うまく戦略が生かされた勝利試合。さすがにサウスポーバックがいないと、右からの攻めが手薄になり、ディフェンスの強いスペインに簡単に左半分のディフェンスを強化されてしまうのを恐れて、やーーーっとサウスポーバックの新入りPeter Ballingを投入。彼がなんとトップスコアという。。なおかつ、守りはMikkel Hansenがセンター入っちゃうと2分とられちゃうことを学んだのか、Mikkel Hansenにあえてサイドを守らせ長身だけにサイドからの攻めを難しくし、なおかつサイドのMagnus Landinを左センターに配置し、サウスポーバックのAlex Dujshebaevをマークさせ、センターにはToft兄弟という最高のディフェンス・ラインナップに。それが極めて効果的にスペインの攻めを骨抜きにし、しかもスペインの51アグレッシブディフェンスも、キーパー不在の7人攻めに変えることで2人ライン上でスクリーニングして60ディフェンスにさせるという。。なかなか点の入らないもどかしい試合展開だったが、意外と危なげない試合運びというか、スペインがそれほど脅威に感じられなかった。

 

結局、まさかのハンガリー敗退で2ポイントのみで二次リーグへ。しかし、別のグループもマケドニアの3ポイントが最高で、幸い強豪チームもなく、なんとなく準決勝に行けそうなラインナップ。

対スロベニア戦:意外と苦戦。守りとして堅かったMagnus Landinがまさかのシュート失敗2連発。で、Casper Mortensenに変えたら、これが素晴らしいシュートの正確さ。ただ、そのかわりディフェンスのラインナップも変更で、サイドを守っていたMikkel Hansenも従来いたセンター寄りに戻ることに。。で、Rene Toft2度も2分退場。。レッドカードを恐れ、フレンスブルグのポストバックAnders Zackariassenが交代して入ったが意外と悪くなかった。。そして、ずっと故障していてイマイチだったSvan11点得点と大活躍してくれたおかげでなんとか勝利。。

対ドイツ戦:監督がドイツリーグの監督だし、選手半分はブンデスリーガでプレーしていて、ドイツチームも1人をのぞいて全員ブンデスリーガなので、どんな試合になるのだ、、と懸念したところ、案の定ものすごい試合に。。。お互いに知り尽くしているせいか、全然点が入らず。。。かろうじて7mで点を重ねるという。。イライライライラ。後半戦は、お互いにキーパー不在の7人攻めで、今度は点取りゲームに。しかしデンマークのキーパー不在ゴールへのロングシュートの精度も低く、イライライラ。。ずっとデッドヒートで、残り2分くらいでデンマーク勝利かな?と思いきや、最後の最後で一点差にされた挙句、究極のアグレッシブディフェンスでまったくボールを進めることができずパッシブをとられてしまい。。あわや同点か?とヒヤっとしたが、かろうじて1点差のまま試合終了してくれ、辛勝した。。心臓が止まるかと思った。。

 

最後の1試合を残してデンマークは6ポイントでトップに。最終戦で引き分けだったら準決勝に進める、というところで、翌々日、4ポイントのスペインがスロベニアに敗退。そのあとのチェコ-マケドニア戦で、引き分けでなければデンマークが無条件で準決勝に進めることに。

 

それで補足したいのだが、実は勝敗だけでなく、どれだけ点差がつくかも実はあとになって重要な意味をもつ可能性がある。この大会はまさにそうであった。

もし、Aチーム、Bチーム、Cチームが獲得ポイント数が同じである場合、A-BB-CC-A3試合で、それぞれの獲得点数で順位が決まる。例えば、AチームとBチームだけが競うことになれば勝ったほうが優位になるが、もしそこにCチームが加わったら、Cチームとの試合での点差が突然意味をもってくるのである。

 

もしチェコが勝てば、最悪デンマークと、ドイツかスペインが6ポイント、チェコが6ポイントになるが、デンマークはドイツにもスペインにも勝っているし、チェコは一点差でデンマークに勝ってるのみ、スペインには大敗、ドイツに3点差で負けているのでデンマークのほうがいい。マケドニアが勝てば、最悪マケドニアが7ポイント、デンマークとドイツかスペインが6ポイントでこれもよし、ただし引き分けになると、デンマークが負けてマケドニアも6ポイントになるかもしれず、マケドニアはスペインに11点差で大敗しているので、スペインがドイツに勝って6ポイントになれば、突然スペインのほうが優位になるのである。で、マケドニアにそれなりの点差で負ければそれでデンマークは下位になる可能性がある。

だから、どっちが勝ってもいい、とにかく引き分けになるな、と念じていたら、なんと、最後の最後でチェコが一点リードでマケドニアがペナルティシュートという局面に。。。もうダメだ~~と思ったら、なんと外してくれた。。。

 

ふぅ~~と思ったら、今日、しょっぱなでチェコ対スロベニア戦でまさかの引き分けになったため、チェコが候補から外れ、対象がドイツかスペインだけになったので、デンマークは一位通過で準決勝進出が決まり、マケドニア戦はまったくの意味なし試合となったのだった。わたしは、途中でスウェーデン対ノルウェー戦に変えたが、デンマークは大勝した。

 

そう、準決勝の対戦相手が決まる、別リーグの試合のほうが興味深かった。フランスをもっとも避けたいが、開催国のクロアチアも嫌な相手である。

なので、少なくとも、フランスには是非クロアチアに勝って一位通過して欲しかった。

最高のシナリオは、なおかつスウェーデンが勝って、クロアチアを退けて二位通過してもらうこと。

しかし、そううまくいくわけもなく、、、スウェーデンはノルウェーに3点差で敗退。。ただ、もしクロアチアがフランス戦でポイントとれなければ6ポイントで、スウェーデンとノルウェーと同ポイントになり、スウェーデンは4点差でクロアチアに勝って3点差でノルウェーに負けてプラス1なのに、クロアチアは4点差でノルウェーに勝っているからプラマイ0。ノルウェーはマイナス1。こ、これは、、スウェーデン実は優位???ノルウェー、、2点足りなかった。。実は。。

おおおおフランス、、勝ってくれ、、引き分けでもダメ。。

そしたら、途中までフランス余裕だったので、最後の局面で一点差になり、おおお引き分けになるかも???とひやひやしたが、結局は逃げ切ってくれた。。

  

デンマークの準決勝は対スウェーデンとなった。簡単な試合では全然ないけど、これまた隣国対決で独特の盛り上がりになるから楽しみである。

あ、ちなみに、スペイン対ドイツ戦は、スペインが勝ち、フランスと対戦する。フランスが勝つと思うけど、スペインにもがんばってほしい。