上田の中澤ゆーちゃんというお友達のご親戚のお寺さんで、
この三月落語会を開いていただいた。
控え室に永平寺の高僧の立派な「福無量」という書が飾られていた。
「福無量」といえば言わずと知れた上田の地酒。
あまりに達筆で気合いが入っていたので俺はてっきり、
「お坊さんも人の子だなあ。
上田でご馳走になった地酒があまりに美味しくて、力一杯催促したんだろうなあ。
こんな字を書いてもらったら送らざるを得ないなあ」
と思っていた。
事実芸人はその手のセコよいしょを結構露骨にやったりなんかするもんだ。
が、実は、そーではなかった。
その立派な書が元であの銘酒に「福無量」という名前が付けられたのだと。
つまり、全く逆だったのだ。
あとでこの話を知ったのだが、大笑い。
で、ははあんと思った。
「人間は自分の都合のよい形で思い込みしたがる生き物なんだ」と。
俺は今回の一件は、そう考えたほうが面白いと思っただけだけど、
ネットのニュースなんか、みんな自分の都合のいいように解釈して、
それを拡散するだけなんだよなあ。
文藝春秋の社長の
「図書館には文庫を置かない!発言」
も、どうやら真意は全く異なっていた。
やっぱり吟味しなきゃなあ。
もっと言うと、人には直に会わないとダメなんだろうなあ。
何年か前茂木健一郎先生の講演会の打ち上げで鳩山由紀夫さんとお会いして、
思い切って失礼かもしれない質問をしたのだが、
それに対して鮮やかな返答をいただいて爆笑した。
先日お会いした田勢康弘さんにそのことを話したら
あのお方は笑いのセンスありますよとのこと。
何度も言う。
実際会ってから批判しなきゃなあ。
天下の大師匠 談志 の
無茶振りに耐えつづけた9年半で手に入れた、
”笑う”コミュニケーション術